先達て病院の待合室でぼんやりしていた。
と背後で「あなた」と呼びかける声がした。振り返って立ち止まった年配の男の細君だったのだろう。
優しい声であった。声の主を確かめる無遠慮をしなかったが僕は心動かされた。
こういった呼びかけ自体が目立って少なくなったと思われるのに加えて、その声の調子は古風で、まるで昔の日本の小説を読む心地がした。細君と書く以外ない、そんな調子。
何の変哲もない、僕の生活点描である。
と背後で「あなた」と呼びかける声がした。振り返って立ち止まった年配の男の細君だったのだろう。
優しい声であった。声の主を確かめる無遠慮をしなかったが僕は心動かされた。
こういった呼びかけ自体が目立って少なくなったと思われるのに加えて、その声の調子は古風で、まるで昔の日本の小説を読む心地がした。細君と書く以外ない、そんな調子。
何の変哲もない、僕の生活点描である。