motoの徒然なるままに…

日々是好日日記

村上春樹「ノルウェイの森」

2009年01月11日 | 日々徒然
昨年末から読んでました。20年以上前に購入してましたが、初めて読みました。上巻が赤で下巻が緑なので、クリスマス前に手に取り読みたくなりました。帯に著者が「激しくて、物静かで、哀しい100パーセントの恋愛小説です」というコピーが気になっていたのもあったのでしょう。小説はワナタベ君37歳になってドイツ行きの飛行機の中で偶然聞いたBGMでビートルズの「ノルウェイの森」が18年前にフラッシュバックさせることから始まります。友人のキズキの自らの死とその彼女の直子への思い、サナトリウムの直子の姉貴役のレイコさん、そして我が儘ですがワタナベ君に一途な大学生の緑…。これらの若者たちの心の歪みを村上春樹が好きなビートルズの曲目やクラシックに絡ませて描いております。さすが自身がピアニストでジャズ喫茶も経営していただけありまして造詣が深いです。小生もどうしてもビートルズの「ノルウェイの森」が聞きたくなりCDアルバム「ラバーソウル」を買って聞きながら読んでました。

「死は生の対極にあるのではなく、我々の生のうちに潜んでいるのだ」
たしかにそれは真実であった。我々は生きることによって同時に死を育んでいるのだ。しかしそれは我々が学ばねばならない真理の一部でしかなかった。直子の死が僕に教えたのはこういうことだった。どのような真理をもってしても愛するものを亡くした哀しみを癒すことはできないのだ。どのような真理も、どのような誠実さも、どのような強さも、どのような優しさも、その哀しみを癒すことはできないのだ。我々はその哀しみを哀しみ抜いて、そこから学びとることしかできないし、そしてその学びとった何かも、次にやってくる予期せぬ哀しみに対しては何の役にも立たないのだ。(第十一章)

この作品は村上春樹の個人的作品だと位置付けております。映画化の話もあるようです。また楽しみです。

小生も今年8月で49歳になります。「僕は今どこにいるのだ?」という小説の最後の問いかけに答えを出せないでいる自分もワタナベ君になってました。
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2 コメント

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深いノウ村上は (Ishishi)
2009-01-11 16:30:28
村上作品はロシアで非常に人気ある。ロシアで人気のある日本の作品と言うと北野武作品だな。
ドストエフスキーを生んだロシアは思考や感性が複雑に入り組んだ難しい作品をパズルを解くが如く、粘り強く一枚一枚剥がして解明するのが好きである。
数学に強い国民性と何か関連があるのだろうか?
ワシャやっぱり村上龍「限りなく透明に近いブルー」だな。30年位前に読んだ時は逝っちゃいそうになったな。
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村上 (MOTO)
2009-01-12 16:29:59
村上さんはたくさんおります。今日は作家の村上春樹のお誕生日(12日)なのであります。仏道修行は色道修行のようなものだと久米仙人が言ったそうですが、まさに文学も根っこはそこにあると思います。

MOTOー真理ってなんだんず?

Ishishi-「愛だ」
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