最近メディアでも耳にするようになってきた『テレワーク』。電話のお仕事?と思うかもしれません。
テレワークとは「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語で、情報通信技術(ICT :Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のこと。自宅にいて、会社とはパソコンとインターネット、電話、FAXで連絡をとる在宅勤務もそのひとつ。これは重度の障がいがある方にとって光明かも知れません。通勤が難しい、トイレや食事に介助を要する、呼吸器をつけている、けれどパソコンができる。そんな難病の方々に今よりもっと、就労という選択肢をもたらす可能性があります。
【難病のある人の就労のためのワークブック】
昨年度、縁あって厚生労働省難治性疾患政策研究事業『難病のある人の就労のためのワークブック』改定会議に参加させて頂きました。
執筆者である春名由一郎先生、伊藤美千代先生をはじめ、難病就労サポーター、社会保険労務士、患者会代表者、産業保健師など、筆者のような病院にいる作業療法士が普段接することのない職種の方々とそれぞれの立場から難病就労支援について意見を交わす貴重な機会を得ました。
当院には呼吸器をつけてほぼベッド上で生活し24時間介助を要する難病の方々がいます。マウスもキーボードも使えないが、スイッチ1個でパソコンを実に巧みに操り何時間もゲームやインターネットをして過ごせる。この強みを活かせないかとこの場で話したときに、はじめてテレワークという言葉に出会いました。参加者の方々から障害者法定雇用率の引き上げや、情報通信技術の発展などを背景に、短時間労働や在宅雇用の需要は増えていると話を聴き、徳川埋蔵金を掘り当てたような気分になりました(すこし盛っています)。
その後、ここでのご縁を活かして埼玉県難病就労サポーターや厚生労働省委託事業を担う在宅雇用コンサルタント等とつながり、就労を希望する難病の方へ支援機関やセミナー情報を提供しています。リハビリテーション科内で勉強会も行いました。
【障がい者雇用は福祉ではない】
埼玉の難病患者就職サポーターさんから言われたことばです。企業は自社にとってその雇用が利になるかどうかシビアに見定めると、そのことばが厳しさと共に希望のようにも感じられました。どこかで誰かに必要とされ求められることが、ひとには必要です。
筆者が難病就労に関心を抱くきっかけをつくってくれた現在就労中のデュシェンヌ型筋ジストロフィーの方が話していました。企業が障害者法定雇用率を満たしたいこともわかっている。自分は『ずっと同じ毎日で、同じ人とだけ関わる生活は嫌だ』と。企業が厳しい目で雇用をはかるように、当事者も自分の生き方をかけてそれに臨んでいる。互いに強かでそれでいいと思わされたひとつの出来事です。
【作業療法士にできること】
社会の動向や法制度を背景にして難病の方の就労が自ずと良い方向に進むというような楽観的な考え方はありません。雇用者と当事者双方の不安をでき得る限り除き、互いに理解し行動し就労に臨むことが、発展と継続を促すものと考えます。
作業療法士として、それぞれの障がい特性あるいは作業特性を理解し、当事者が持続的な就労が可能となるよう作業姿勢や環境調整に関して力になりたい。ただそれだけでなく、当事者が働きたいという意思を自らに問うこと、一方で雇用側から見た自分という別の視点で自らを捉え周囲の理解と協力を得ていくセルフマネジメント能力を育てること。その道行を側で支えられるOTになりたいと思っています。
『1匹の魚を人に与えよ。しかれば、その人、1日空腹にあらず。魚獲りの術を人に教えよ。しかれば、その人、生涯空腹にあらざるなり』
作業療法士の座右の銘です。
最後まで読んで下さって、ありがとうございました。
参考:セミナー案内
東埼玉病院リハビリテーション科ホームページはこちらをクリック
テレワークとは「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語で、情報通信技術(ICT :Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のこと。自宅にいて、会社とはパソコンとインターネット、電話、FAXで連絡をとる在宅勤務もそのひとつ。これは重度の障がいがある方にとって光明かも知れません。通勤が難しい、トイレや食事に介助を要する、呼吸器をつけている、けれどパソコンができる。そんな難病の方々に今よりもっと、就労という選択肢をもたらす可能性があります。
【難病のある人の就労のためのワークブック】
昨年度、縁あって厚生労働省難治性疾患政策研究事業『難病のある人の就労のためのワークブック』改定会議に参加させて頂きました。
執筆者である春名由一郎先生、伊藤美千代先生をはじめ、難病就労サポーター、社会保険労務士、患者会代表者、産業保健師など、筆者のような病院にいる作業療法士が普段接することのない職種の方々とそれぞれの立場から難病就労支援について意見を交わす貴重な機会を得ました。
当院には呼吸器をつけてほぼベッド上で生活し24時間介助を要する難病の方々がいます。マウスもキーボードも使えないが、スイッチ1個でパソコンを実に巧みに操り何時間もゲームやインターネットをして過ごせる。この強みを活かせないかとこの場で話したときに、はじめてテレワークという言葉に出会いました。参加者の方々から障害者法定雇用率の引き上げや、情報通信技術の発展などを背景に、短時間労働や在宅雇用の需要は増えていると話を聴き、徳川埋蔵金を掘り当てたような気分になりました(すこし盛っています)。
その後、ここでのご縁を活かして埼玉県難病就労サポーターや厚生労働省委託事業を担う在宅雇用コンサルタント等とつながり、就労を希望する難病の方へ支援機関やセミナー情報を提供しています。リハビリテーション科内で勉強会も行いました。
【障がい者雇用は福祉ではない】
埼玉の難病患者就職サポーターさんから言われたことばです。企業は自社にとってその雇用が利になるかどうかシビアに見定めると、そのことばが厳しさと共に希望のようにも感じられました。どこかで誰かに必要とされ求められることが、ひとには必要です。
筆者が難病就労に関心を抱くきっかけをつくってくれた現在就労中のデュシェンヌ型筋ジストロフィーの方が話していました。企業が障害者法定雇用率を満たしたいこともわかっている。自分は『ずっと同じ毎日で、同じ人とだけ関わる生活は嫌だ』と。企業が厳しい目で雇用をはかるように、当事者も自分の生き方をかけてそれに臨んでいる。互いに強かでそれでいいと思わされたひとつの出来事です。
【作業療法士にできること】
社会の動向や法制度を背景にして難病の方の就労が自ずと良い方向に進むというような楽観的な考え方はありません。雇用者と当事者双方の不安をでき得る限り除き、互いに理解し行動し就労に臨むことが、発展と継続を促すものと考えます。
作業療法士として、それぞれの障がい特性あるいは作業特性を理解し、当事者が持続的な就労が可能となるよう作業姿勢や環境調整に関して力になりたい。ただそれだけでなく、当事者が働きたいという意思を自らに問うこと、一方で雇用側から見た自分という別の視点で自らを捉え周囲の理解と協力を得ていくセルフマネジメント能力を育てること。その道行を側で支えられるOTになりたいと思っています。
『1匹の魚を人に与えよ。しかれば、その人、1日空腹にあらず。魚獲りの術を人に教えよ。しかれば、その人、生涯空腹にあらざるなり』
作業療法士の座右の銘です。
最後まで読んで下さって、ありがとうございました。
参考:セミナー案内
C2(OT)
東埼玉病院リハビリテーション科ホームページはこちらをクリック