東埼玉病院 リハビリテーション科ブログ

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当院の重症心身障害児とリハビリについて~その①~

2021年12月17日 | 紹介

みなさんこんにちは。今日はみなさんに重症心身障害児(者)と、私達リハビリとの関わりを独断と偏見?の個人的認識でご紹介したいと思います。

①、②の二部作にてご紹介させていただきます。

今回は重症心身障害児とはどういう病気でどんな生活をしているのかご紹介させていただきます。

 

東埼玉病院は、独立行政法人 国立病院機構東埼玉病院といいまして、当HPによりますと、湘南新宿ラインで新宿から40分(乗り換え無し)の地域で、神経系疾患、呼吸器系疾患、回復期リハビリテーションの拠点病院として、多くの患者さんの診療にあたってきています。とあります。

https://higashisaitama.hosp.go.jp/about/index.html

 

回復期病棟や地域包括ケア病棟、筋ジストロフィーや重症心身障害児病棟などの一般床と、結核病棟からなる総数532床を有する病院です。

 

私は今年の4月に赴任しました。

私が配属されたのは重症心身障害児(者)病棟でした。

 

  • 突然ですがみなさん、重症心身障害児(者)ってなんだかわかりますか?

 

私は今までほとんど整形外科疾患の患者さまのリハビリしか診てこなかったので、いきなり”重症心身障害児(者)病棟担当”といわれましても、なかなか想像ができませんでした。

これを読まれている方の中にも、重症心身障害って何?と思われる人もいるかと思います。

 

児童福祉法第四十三条の四では、「重症心身障害児施設は、重度の知的障害及び重度の肢体不自由が重複している児童を入所させて、これを保護するとともに、治療及び日常生活の指導をすることを目的とする施設とする。」とあります。児童福祉法では施設として書かれてはいますが、重症心身障害児(者)のことは直接には書かれてはいないんです。

 

厚生労働省の資料によりますと、「重症心身障害児とは、重度の身体障害と知的障害をあわせもった児をいう」とあります。つまり医療的診断名ではなく、各疾患に起因した、症状(状況)を表現しているのです。

いわゆる病気の名前ではなく、色々な病気が合わさって起きている重い身体障害と知的障害のことを、総称して重症心身障害と呼んでいるのです。

 

「重症心身障害児」という言葉は、1958年の全国福祉大会で統一呼称となったとされていています。それまでは「不治永患児」や「重複欠陥児」などと呼ばれていたそうです。

 

  • 重症心身障害児の主な特徴をあげてみました。

①筋緊張・・・・極度に筋肉が緊張し、思うように手足を動かすことができない。

②変形・拘縮・・・・手足が変形または拘縮、側弯や胸郭の変形が伴う人が多い。

③姿勢・・・・ほとんど寝たままで自力では起き上がれない状態が多い。座るのがやっと。

④移動・・・・自力では寝返りさえも困難、座位保持装置や車いすで移動。

⑤食事・・・・自力ではできない。誤嚥を起こしやすい。食形態はきざみ食や流動食が多い。

⑥排泄・・・・全介助(知らせることができない)。

⑦コミュニケーション・・・・言語による理解が困難、笑顔で応える。

⑧趣味遊び・・・・音楽、散歩、玩具、ムーブメントが好き

 

こういう風に書かれるとちょっとショッキングに感じる方もいるかも知れませんね。

 

ちなみに東埼玉病院では、現在重症心身障害病棟に入院されている患者様は67人、下は13歳から上は72歳まで、平均年齢は39.74歳となっています。

 

その中で、医師、看護師、介助員、児童指導員、保育士、栄養士、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医療ソーシャルワーカー、また学校とも連携をとりながら、日々より安寧な病院生活が送れるように携わっています。

 

当院での彼ら重症心身障害児の1日の生活は、6時に起床し、朝食をとり、排泄交換を行ったら、お風呂に入ったり、日中は療育活動あるいは就学児は学校に行ったりと過ごしています。夕食とり、排せつ交換を行い(日中も都度行っています)夜21時に就寝、と大まかな1日の流れとなっています。

ここのところのコロナ禍の影響により、就学児は学校へは登校せず、先生が病棟まで来られて授業を行ってくださっています。また以前は外に散歩に行けていたようですが、散歩が禁止になっており、また家族との面会も制限されており、不自由な病院生活を余儀なくされている現状があります。

 

こうした状況下ということもあり、療育活動ではさまざまな工夫を凝らして色々な催しを行っています。季節ごとの行事や、リモートでの旅行、製作活動やその作品の展示会、夏には夏祭りなどを行っていました。特に夏祭りは、手作りの出店などが並び、それはもう本物さながらのできになっており、このコロナ禍で世間では祭りなど自粛が続く中、ある意味彼らが羨ましいと思うくらいで、療育指導士さんや保育士さん達の熱意が伝わってくるクオリティーでした。だからでしょう、療育活動に参加される彼らはみんな普段見られないような笑顔をいつも見せてくれています。

 

 

夏祭りの様子(療育訓練室にて)

 

先ほど、ショッキングだとかネガティブなことを書きましたが、反面、実は彼らは表情がとても豊かなのです。本当に純粋な笑顔を見せてくれます。個人的にものすごく癒されています。なので私のリハビリも、どうすれば彼らの最高の笑顔が見られるのか、何をするとどのような表情を見せてくれるのか、を探りながらリハビリを行っているといっても良いかもしれません。

 

今週はここまでとなります。次回療育活動、リハビリについて詳しく触れていきたいと思います。

 

 

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