東埼玉病院 リハビリテーション科ブログ

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新しい排痰補助装置「NIPPY クリアウェイ2」について

2024年12月17日 | 紹介



はじめに

こんにちは!東埼玉病院リハビリテーション科です。
今回は、神経難病患者の方やその家族、医療従事者や介護者等の皆さんに向けて、新しい排痰補助装置「NIPPY クリアウェイ2」についてご紹介します。
「NIPPY クリアウェイ2」は、従来使用されていたカフアシスト(E-70)の代替機となります。
この装置は、気道クリアランスの改善に大いに役立つ機能を持ち、患者様の日常生活の質を向上させるために設計されています。主には肺炎を予防するためや肺機能を維持する目的にしようします。
詳しく見てみましょう。

排痰補助装置とは?

まず、排痰補助装置とは何か、簡単に説明します。
排痰補助装置は、主に呼吸器系の病気や神経筋疾患を抱える患者さんが、自力で気道の粘液を排出するのが困難な場合に使用されます。
自力で痰が出せないと、それが原因で肺炎になるリスクがあります。
排痰補助装置を利用することで、痰の排出を補助し、肺のコンプライアンスの維持をすることができます。
これにより、肺や気道がクリアになり、呼吸も楽になります。

「NIPPY クリアウェイ2」の特徴

「NIPPY クリアウェイ2」は、従来の装置(MI-E70:カフアシスト)と比べて多くの改良点があり、特に以下の機能が優れています。

Treat Repeat(トリートリピート)

Treat Repeatは、マニュアルモードで実施した手技や治療設定をプロファイルとして記録・保存できる機能です。
この機能を利用することで、患者様に合った吸気・呼気・休止時間を再現することが可能です。
治療のたびに最適な設定をすぐに呼び出せるため、時間と手間を省くことができます。

Synchrony Beep(シンクロニービープ)

Synchrony Beepは、視覚的にコミュニケーションが取りにくい患者さんに対して、音で呼気のタイミングを知らせる機能です。
吸気から呼気に転じるタイミングで通知音を出すことで、患者様と装置の動きを同調させ、より効果的な治療が可能になります。

Recruitment Breaths(リクルートメント呼吸)

リクルートメント呼吸は、治療設定と同様の吸気圧・吸気時間で深呼吸様の吸気を供給する機能です。
これにより、胸郭の拡張や呼吸の安定を図り、次の治療までの間に患者様の呼吸を回復させます。
特に治療後に自発呼吸が難しい患者様に有効です。

Stepped Insufflation(段階的吸気)

Stepped Insufflationは、吸気回数を複数回設定した際に段階的に吸気圧を増加させる機能です。
これにより、吸気時の負担を軽減し、肺を徐々に拡張させることができます。
吸気タイプの変更も可能で、「通常」や「段階」で切り替えることができます。

コンプライアンスサマリー

各モードの治療時間、平均吸気量、平均CPFを日ごとに確認できるコンプライアンスサマリー機能があります。
これにより、30日または90日のデバイス使用状況をモニタリングし、治療の効果を評価することができます。
また患者さんの普段の使用感を知ることができます。

製品仕様など詳細はフィリップス社HPを参照してください。

診療報酬について

「NIPPY クリアウェイ2」の使用にあたり、診療報酬も考慮する必要があります。
例えば、在宅人工呼吸を行っている患者で、換気能力が低下して自力での排痰が困難な場合、排痰補助装置加算(1829点)を算定することができます。
これは、筋ジストロフィー、筋委縮性側索硬化症、脳性麻痺、脊髄損傷等の神経疾患患者に対して適用されます。

C170 排痰補助装置加算・・・1829点

注在宅人工呼吸を行っている入院中の患者以外の神経疾患の患者に対して、排たん補助装置を使用した場合に第1款の所定点数に加算する。

排補助装置加算について

(1)排補助装置加算は、在宅人工呼吸を行っている患者であって、換気能力が低下し、
自力での排が困難と医師が認めるものに対して、排補助装置を使用した場合に算定できる。
(2)注に規定する神経疾患等の患者とは、筋ジストロフィー、筋委縮性側索硬化症、脳性麻痺、
脊髄損傷等の患者をさす。
1. 在宅において
2. 医師の指示の下、人工呼吸器を使用されている
3. 重症心身障害や神経筋疾患等の患者様に対して、算定が可能です。
院内使用における診療報酬はございません。

実際の使用場面

「NIPPY クリアウェイ2」は、さまざまな場面で使用されています。以下は、実際の使用場面の一例です。

日常生活での使用

患者様が日常生活を送る中で、自力での排痰が難しい場合に「NIPPY クリアウェイ2」が役立ちます。例えば、食事後や運動後など、呼吸が困難になるタイミングで使用することで、気道をクリアに保つことができます。

医療機関での使用

医療機関では、リハビリテーションの一環として「NIPPY クリアウェイ2」を使用することがあります。特に神経筋疾患を抱える患者様に対しては、定期的な使用が推奨されています。

在宅ケアでの使用

在宅ケアにおいても、「NIPPY クリアウェイ2」は非常に有用です。家族や介護者が患者様の呼吸をサポートする際に、この装置を使用することで、効率的に気道をクリアに保つことができます。

使う上での注意点

「NIPPY クリアウェイ2」を使用する際には、いくつかの注意点があります。

正しい設定の確認

装置を使用する前に、正しい設定が行われているかを確認しましょう。
特に吸気圧や呼気圧、時間設定は、患者様に合ったものに調整する必要があります。

定期的なメンテナンス

装置の定期的なメンテナンスは重要です。フィルターの交換や清掃を行い、常に清潔な状態で使用するよう心がけましょう。

医療従事者の指導を受ける

装置の使用に関しては、必ず医療従事者の指導を受けることが重要です。適切な使用方法や設定についてのアドバイスを受けることで、より効果的な治療が可能になります。

使用することでのメリット

「NIPPY クリアウェイ2」を使用することで、以下のようなメリットがあります。

呼吸の改善

装置を使用することで、気道がクリアになり、呼吸が楽になります。これにより、日常生活の質が向上し、患者様の体力も維持されます。

感染症の予防

気道に粘液が溜まると、感染症のリスクが高まります。「NIPPY クリアウェイ2」を使用することで、定期的に粘液を排出し、感染症の予防に役立てることができます。

介護者の負担軽減

装置を使用することで、家族や介護者の負担も軽減されます。特に夜間に呼吸が困難になる患者様に対しては、装置を使用することで安心して眠ることができます。

まとめ

「NIPPY クリアウェイ2」は、多くの新機能と改良点を備えた排痰補助装置です。

神経難病患者の呼吸を支え、日常生活の質を向上させるために設計されています。

Treat RepeatやSynchrony Beepなどの機能は、患者様のニーズに応じた最適な治療を提供し、家族や介護者の負担を軽減します。

もし、呼吸器系の問題に直面しているなら、「NIPPY クリアウェイ2」は大いに役立つことでしょう。
詳細な仕様や使い方については、担当の医療従事者にご相談ください。

お読みいただき、ありがとうございました。これからも皆様の健康と幸せを願っています。

注意喚起
「NIPPY クリアウェイ2」は医療機器です。
具体的な使用方法や治療効果については、引き続き医療従事者からの指導を受けることをお勧めします。
このブログが、少しでも皆様の理解と安心に繋がれば幸いです。

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