皆さんこんにちは!
東埼玉リハビリテーション科です。
今回は「筋ジストロフィーの自立」についてお話をしていきます。
簡単に筋ジストロフィーの現状について説明します。
筋ジストロフィーとは「筋線維の変性・壊死を主病変とし、臨床的には進行性の筋力低下をみる遺伝性疾患」と定義されています。
そして、筋ジストロフィーは生涯にわたって、筋肉の崩壊が起こっていく疾患で、例えば歩く・着替えるなど、一度能力を獲得した後で「喪失感」を経験していく発達障害と言われています。
そのため、リハビリテーションでは残存機能を有効に活用し、二次的障害を引き起こさないように、活動的であることを維持することが筋ジストロフィーの治療としています。
具体的な治療方法としては呼吸リハビリテーション等が挙げられますがそれは当院ブログの「神経難病の呼吸リハビリテーション」や「カフアシストの使用方法」、「自宅で出来る筋ジスのリハビリテーション」をご参照ください。
先ほど述べたように、筋ジストロフィーは進行性の遺伝性疾患であり、喪失感を経験していく発達障害で、以前は「20歳まで生きられない疾患」と言われていました。
しかし、人工呼吸器の進歩、特に非侵襲的換気療法(NPPV)の普及により、それまでの活動性やQOLを維持しながらの生命予後の改善が見られており、「20歳まで生きられない疾患」では無くなっています。
生命予後の延長により、筋ジストロフィー患者からの希望やニーズが増え、リハビリテーションに求められることが増え、様々なアプローチが求められるようになってきています。
そして今、療養病院で一生を過ごすのではなく、自らの意思で、自らの決定で、自分の人生を選択し、生きることが求められているのです。
そもそも自立とは?
「自立」という言葉はこの社会でたくさん出てくる言葉だと思います。一人で立つということ、親離れをすること、社会に出ること、様々な見解があると思います。
今回はそれを一つの見解にまとめ「自立とは、自分自身で決定したことに責任を負える人生の主体者であること」とし「また、周りの人たちがそれを認めること」とします。
障害者の自立
そして障害者の自立とは「どんなに重度な障害があっても、その人生において自ら決定することを最大限尊重されること」であり、そのための「福祉サービスの雇用者・消費者として援助を受けて生きていく権利を認めていくこと」です。
私は今の職場で筋ジストロフィーの方々と触れ合うまでは「神経難病は、療養病院で一生を過ごす、ベッドで寝たきりの人」といったイメージがありましたが、ここ東埼玉病院で勤務することで、その考えは一新されました。
今は電動車椅子が普及され、僅かな筋力、少ない手指の巧緻性でも、ある程度の道は自分の思い通りに進むことが出来ます。
自分の意思をしっかりと発言出来る人がいます(中にはシャイな人もいますし、認知機能が低下している人もいます)。
ワンキーマウスを使用してパソコン画面でメールやスカイプで連絡を取り合ったり、普通にテレビやゲームを楽しんだり、広告などの作成やワード・エクセルと言った業務に関するパソコン操作も可能になっています。皮細工を楽しんだり、カラオケを楽しんだり、インターネットを通して恋をしたり、、。
つまり、失っていく能力もありますが、神経難病の方でも出来ることはたくさんあるのです。
そこで自立支援を通して、本人が望む人生の生き方を支援したいと思いました。
当たり前のことですが、その人自身が望む生き方を把握し、退院時の生活で「何が出来る必要がある」のか「どんなことは社会資源に頼れるのか」を提供していくことが自立支援では必要な考え方だと感じています。
自立支援に限らず、個々に必要なことを把握し、支援していけるように心がけたいと思います。
東埼玉病院リハビリテーション科ホームページはこちらをクリック
【注意】
本ブログの掲載記事は,個人的な見解を含んでおり正確性を保証するものではなく,当院および当科の総意でもありません.引用や臨床実践等は各自の判断と責任において行うようお願いいたします。
東埼玉リハビリテーション科です。
今回は「筋ジストロフィーの自立」についてお話をしていきます。
簡単に筋ジストロフィーの現状について説明します。
筋ジストロフィーとは「筋線維の変性・壊死を主病変とし、臨床的には進行性の筋力低下をみる遺伝性疾患」と定義されています。
そして、筋ジストロフィーは生涯にわたって、筋肉の崩壊が起こっていく疾患で、例えば歩く・着替えるなど、一度能力を獲得した後で「喪失感」を経験していく発達障害と言われています。
そのため、リハビリテーションでは残存機能を有効に活用し、二次的障害を引き起こさないように、活動的であることを維持することが筋ジストロフィーの治療としています。
具体的な治療方法としては呼吸リハビリテーション等が挙げられますがそれは当院ブログの「神経難病の呼吸リハビリテーション」や「カフアシストの使用方法」、「自宅で出来る筋ジスのリハビリテーション」をご参照ください。
先ほど述べたように、筋ジストロフィーは進行性の遺伝性疾患であり、喪失感を経験していく発達障害で、以前は「20歳まで生きられない疾患」と言われていました。
しかし、人工呼吸器の進歩、特に非侵襲的換気療法(NPPV)の普及により、それまでの活動性やQOLを維持しながらの生命予後の改善が見られており、「20歳まで生きられない疾患」では無くなっています。
生命予後の延長により、筋ジストロフィー患者からの希望やニーズが増え、リハビリテーションに求められることが増え、様々なアプローチが求められるようになってきています。
そして今、療養病院で一生を過ごすのではなく、自らの意思で、自らの決定で、自分の人生を選択し、生きることが求められているのです。
そもそも自立とは?
「自立」という言葉はこの社会でたくさん出てくる言葉だと思います。一人で立つということ、親離れをすること、社会に出ること、様々な見解があると思います。
今回はそれを一つの見解にまとめ「自立とは、自分自身で決定したことに責任を負える人生の主体者であること」とし「また、周りの人たちがそれを認めること」とします。
障害者の自立
そして障害者の自立とは「どんなに重度な障害があっても、その人生において自ら決定することを最大限尊重されること」であり、そのための「福祉サービスの雇用者・消費者として援助を受けて生きていく権利を認めていくこと」です。
私は今の職場で筋ジストロフィーの方々と触れ合うまでは「神経難病は、療養病院で一生を過ごす、ベッドで寝たきりの人」といったイメージがありましたが、ここ東埼玉病院で勤務することで、その考えは一新されました。
今は電動車椅子が普及され、僅かな筋力、少ない手指の巧緻性でも、ある程度の道は自分の思い通りに進むことが出来ます。
自分の意思をしっかりと発言出来る人がいます(中にはシャイな人もいますし、認知機能が低下している人もいます)。
ワンキーマウスを使用してパソコン画面でメールやスカイプで連絡を取り合ったり、普通にテレビやゲームを楽しんだり、広告などの作成やワード・エクセルと言った業務に関するパソコン操作も可能になっています。皮細工を楽しんだり、カラオケを楽しんだり、インターネットを通して恋をしたり、、。
つまり、失っていく能力もありますが、神経難病の方でも出来ることはたくさんあるのです。
そこで自立支援を通して、本人が望む人生の生き方を支援したいと思いました。
当たり前のことですが、その人自身が望む生き方を把握し、退院時の生活で「何が出来る必要がある」のか「どんなことは社会資源に頼れるのか」を提供していくことが自立支援では必要な考え方だと感じています。
自立支援に限らず、個々に必要なことを把握し、支援していけるように心がけたいと思います。
東埼玉病院リハビリテーション科ホームページはこちらをクリック
【注意】
本ブログの掲載記事は,個人的な見解を含んでおり正確性を保証するものではなく,当院および当科の総意でもありません.引用や臨床実践等は各自の判断と責任において行うようお願いいたします。