東埼玉病院 リハビリテーション科ブログ

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難病患者医療講演会を行ってきました「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症患者の自宅でできるリハビリテーション」

2017年09月25日 | 神経難病
2017年9月19日にさいたま市保健所において当院理学療法士による難病患者医療講演会を行ってきました。
内容は自宅でできるリハビリテーションを中心に、実技を中心として構成していますが、症状やリハビリテーションの必要性を理解してもらうためにも時間を割きました。

自宅でできるリハビリテーションにおいて大事なことは、安全に行うこと、継続すること、意欲的に行うことですが、なかなか時間がとれずに、あるいは症状の進行という理由で行えていない方も多くいるようです。
自分でできる運動を(短い時間でも、簡単な運動からでも、安全に行える範囲内でよいので)行う習慣をつくっていくことから初めていただけたらと思います。
脊髄小脳変性症・多系統萎縮症のリハビリテーションの書籍(→過去記事)でも自宅で行えるリハビリテーション(ストレッチや筋力トレーニング、バランス練習など)を紹介しています。
またインターネット上で厚労省研究班による自主練習のパンフレット(→リンク)も取得できます。
SCD・MSAネット(→リンク)でもリハビリテーションを含め、参考になる情報が得られることと思います。

2012年から数回講演を行っていますが、いつも患者の皆さんはリハビリテーションに対しても切実な訴えをもっています。
なにより難しいのは、解決策、対応策に限りのある相談が多いことです。
これらの疾患は、いわゆる神経「難病」であり、症状も多彩で進行性の疾患である特性上、限度があるのは仕方のないことではありますが。
特に脊髄小脳変性症・多系統萎縮症のリハビリテーション(特に理学療法)においては、いわゆる運動失調に焦点が当たることが多く、逆に言えばそれ以外の問題点に目を向けることは多くありません。
意外にも患者さん自身が抱えている問題としては、「運動失調」だけでなく、むしろ眼振、めまい、パーキンソニズム、構音障害、嚥下障害の訴えも多く、教科書的な内容だけでは対応が困難なことも多々あります。
もちろん、小脳性運動失調以外の症状に対するリハビリテーションのエビデンスが不足している現状もあります。
現状の問題点として代表的なものは、リハビリテーションを受けられる場所が不足していること、脊髄小脳変性症・多系統萎縮症のリハビリテーションの専門家(セラピスト)が不足していることが挙げられます。
脊髄小脳変性症・多系統萎縮症のリハビリテーションは、世界的に見てもまだまだ発展途上です。

いずれは当ブログ上で、自宅でできるリハビリテーションを紹介していければと思います。

M1(PT)

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