被害
県災害対策本部によると、紀北町矢口浦で11日午後7時15分、民家が床上浸水した。また、同所の作業場など9棟で床下浸水の被害が出た。船舶の被害は紀北町海山区で6隻が沈没するなど計16隻が沈んだ。
また、南伊勢町の五ケ所湾では、養殖いかだが津波の影響で折り重なった。同町迫間浦では約200枚のいかだでマダイやシマアジなど計約68万匹を養殖しており、昨年5月にマダイの稚魚を入れ、今年の7、8月の出荷に向けて育ててきた。発生から1日が経過した12日も潮の流れが激しく、漁師らは魚の確認ができずにいる。県災対本部によると、伊勢市や尾鷲市などでもいかだが流出する被害が出ているという。
鳥羽市
養殖カキいかだに甚大な被害の出た鳥羽市浦村町の生浦(おおのうら)湾では、津波が押し寄せるたびに折り重なった2000枚以上のいかだがギシギシと不気味な音を立て湾口と奥との約1キロを漂った。一部は湾外に流れ出たという。
最盛期を迎えた養殖ワカメにも被害が出ている。約50戸が養殖する答志島の和具地区では、ワカメをつるしたいかだが津波で漂流し、「大半がちぎれてしまった」という。相差町でも同様の被害が出ている模様だ。
観光産業にも打撃を与えた。営業をした鳥羽水族館はいつもの土曜に比べ約1000人少なかったという。
近鉄鳥羽駅コンコースには11日、約200人の観光客が足止めをくらい、市観光協会や市の協力要請に応え、旅館の戸田家、海月、錦海楼の3施設がロビーを開放した。
志摩市
三重外洋漁協志摩支所によると、英虞湾や的矢湾、外洋で、真珠やカキの養殖いかだ、アオサノリ網、大敷、定置網などに被害が出た。特にアオサノリ網が絡まったり、真珠のビン玉が割れるなど壊滅状態になっているところもあるという。
テーマパークの志摩スペイン村も約1000人ほど客が少なかった。ホテルや民宿、旅館でもキャンセルが出ているという。
交通
JR東海によると、地震直後から、紀勢線が大内山-新宮間、参宮線は伊勢市-鳥羽間で終日、運転を見合わせた。近鉄も鳥羽線・志摩線の五十鈴川-賢島間で運休した。道路は県道の阿児磯部鳥羽線などが部分通行止めとなった。鳥羽湾遊覧船の志摩マリンレジャー、伊勢湾フェリー、市営定期船も運航を取りやめた。
救援
市立四日市病院と松阪市民病院、三重大病院、県立総合医療センターが災害時派遣医療チーム(DMAT)を福島県や茨城県などに派遣した。DMATは災害発生から48時間以内に医療活動に従事できる機動性を持ち、特別な研修を積んだ資格者らで構成されている。また、県は12日、救助と空中消火のため、県防災ヘリコプターを福島県に派遣した。
「今回の地震は尋常ではない。今は異常事態、国民が一致団結し英知と勇気を集結し何ができるか考え行動するとき。手をこまねいて何もできないと思っている人でも何かできるはず。その思い、祈りから全てが始まる。マスコミ、メディアは批判する時ではない。さらに国民が一致団結する方向に進むよう責任を持って報道してほしい」