大津市で昨年10月、中学2年の男子生徒が自殺した問題で、遺族が市や同級生らに計約7700万円の損害賠償を求めている訴訟の第4回口頭弁論が27日、大津地裁(長谷部幸弥裁判長)であった。遺族側は、学校がいじめを放置したために男子生徒の自殺を招いた、とする書面を提出した。
遺族側は、昨年9月30日の生徒指導部会で教師が「男子生徒のけがが多発している」と報告していたことや、同10月に同級生から暴行された男子生徒が保健室で手当を受けたことなどを指摘。複数の教師が男子生徒の異変を認識していたのに、事実確認や適切な指導は行われなかった、としている。
遺族側は今後、市側の資料にあった市教委や学校のいじめなどの対応マニュアルを基に市側の対応の過失について主張する方針。
男子生徒の父親(47)は「なぜ、これらの事実を学校や市教委は遺族に対して打ち明けなかったのか」とこれまでの対応を疑問視するコメントを発表した。
同級生側は、市側が提出した資料の黒塗り部分について全ての開示を求めた。開示されない場合は同地裁に開示を申し立てる手続きも検討するとした。
次回期日は2月5日に指定された。
大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、市教委は来年度に、再発防止策の一環として、市内の全小中学校に1人ずついじめ対策の専任教諭の配置を検討していることを明らかにした。新年度の予算配分を求めている。
自殺問題が社会的関心を集めたのは今年7月。各市立小中学校では、夏休みをはさんだ2学期から、主に生徒指導の教諭をいじめ対策担当に選任しているが、教科や担任業務と兼務していることから、市教委がよりきめ細やかな対応が必要と判断した。専任教諭は、教諭間の情報共有や、地域との連携などにもあたる。
また、自殺問題を受け、市教委が改訂方針を明らかにしている生徒指導のてびきの改訂版は、いじめと自殺の関係を調べている市の第三者調査委員会が年内にも出す報告書の内容をふまえ、来年1月下旬ごろに完成させる見通し。