名前がなかなかわからなかったり,別名がたくさんあったりして,
おもしろかった。
別名がたくさんあるということは,人に近かった存在だからだろう。
■ミソハギ(禊萩 ミソハギ科)
溝に生えることはあっても溝萩ではないと思う。
お盆に精霊棚(しょうりょうだな)の供物をミソハギのしずくで浄めた。
「禊(みそぎ)」をする萩,ミソギハギからミソハギに簡略化。
(「日本の野草 夏」より)
■ミゾソバ(溝蕎麦 タデ科)
江戸時代の「大和本草(やまとほんぞう)」など5文献に登場する。
江戸時代に「ミゾソバ」の名前は定まっていた。
また,この草は水辺に群生し,食用のソバに似ていたので,次のような
別名もあった。
「水蕎麦(みずそば)」
「水蕎麦蓼(みずそばたで)」
「田蕎麦(たそば)」
「川蕎麦(かわそば)」など。
さらに「牛の額」は,葉が牛の顔に似ることによる。
また「牛面草」の記述も「牛の額」の同じく葉の形による。
このほか「蛙草(かいるぐさ」)「蛙子草(かいるこぐさ)」「蛙股(かえるまた)」
など,蛙のついた別名もある。自生地の溝には蛙がたくさんいたからと
思われる。(「日本の野草 秋・冬」より)
●ホタルブクロ(蛍袋 キキョウ科)
こんな色も。目の前にあったので,袋の先に生えている毛を撮って
みたが,見えないのでトリミングした。
■「チョウチンバナ」「ツリガネソウ」「トックリバナ」「アメフリバナ」
「ポンポンバナ」「ホタルグサ」など,ホタルブクロの特徴が
よく出ている楽しい方言名も多い。
(山渓ハンディ図鑑1「野に咲く花」より)
■ユキノシタ(雪の舌,雪の下 ユノシタ科)
ニキノシタは見慣れた草であり,耳慣れのする名前である。
しかし,ユキノシタの意味が難解である。
諸説をまとめると,
①葉が白い花の下にある。白い花を雪にたとえて「雪の下」。
②白い花弁5枚のうち,下側の花弁を「雪の舌」にたとえる。
③ユキは井戸を表していて,井戸の下に生える草。「井戸の下」が
「雪の下」に変化。
④平安時代の装束の配色に「雪の下」というのがあって,この配色名を
草の名前にした。
以上4説のどれもイマイチの感があるが,②を説をとりあえず支持する。
(「日本の野草 夏」より)
■フトイ(太藺 別名オオイ・マルスゲ カヤツリグサ科)
「万葉集」にも「大藺草(おおいぐさ)」の名前で登場。大きい藺草の
意味である。その後,「都久毛」の名前がついている。「つくも」は
「九十九」とも表記された。フトイは群生し,九十九本も生えるから
「つくも」の名前がついたのだろうか。江戸時代に「フトイ」」に名前に
なった。(「日本の野草 秋・冬」より)
■ポントデリア・コルダータ(和名:ナガバミズアイ長葉水葵 ミズアオイ科)
18世紀のイタリアの植物学者「ポンテデーラ (G. Pontedera)」の名から。
北アメリカの東部に分布。池沼の浅瀬に生え、高さは60~90センチになる。
「ほていあおい」の仲間だが,根茎がある。根茎から葉柄を伸ばして1個の
葉をつけ,5月から10月ごろ、穂状花序をだし淡い青紫色の花を咲かせる。
この小さな花は一日で萎む。(Weblio 辞書より)
●アマゾンで青が1株817円,白は872円。上の説明から白が高い理由が
分かる。
●ハンゲショウの花はまだ開花していないようだが,花序からも目立たない
ことが想像できる。