旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

憲法改正

2007年05月18日 | 時事
憲法改正の議論がさかんになってきています。やはり注目されるのは第九条の改正です。先日、ラジオを聞くとはなしに聞いていたら"第九条は連合国に押し付けられたものだから改正すべきだ"という意見と"押しつけられたものであっても良いものなのだから改正すべきでない"という議論が行なわれていたのですが、どうやらどちらの意見に於ても連合国に押しつけられたものであるという点では意見が一致しているようで不思議に感じました。

連合国が日本国憲法に影響を与えた事は事実ですから、その事を論点に持ってくるのであればどうして第九条だけが議論の的となるのかよくわかりません。それから、本当に第九条は連合国が押しつけたという単純な理論で物事を考えても良いのでしょうか。少し軽率な気がします。

第二次世界大戦の敗戦国は日本だけでなく、ドイツ、イタリアも同じ立場であります。そのうち、非武装を新憲法に組み込ませられたのは日本だけである事には様々な理由があるでしょうが、その理由の中には各地で絶望的な状況の元でも頑強に抵抗しつづけて命を落とした多くの日本人の存在があるのではないかと思うのです。降伏するよりも玉砕を選ぶような熾烈な抵抗の結果、"もう一度、この国に武装させると面倒な存在になるかもしれない"と思わせた事も一つの理由だとしたら、これは命を投げ打ってまで日本を守ろうとした人たちが残してくれた遺産だと言う事もできるのです。

そして、この憲法のおかげで旧ソ連の至近距離にありながら東西冷戦時代に代理戦争に巻き込まれる事もなく、そのおかげで急速な復興を可能にし、我々の今の生活はその恩恵の上に成り立っている事も忘れてはなりません。今の生活全てが多くの人の屍の上に成り立っているのです。

沢山の人が命を張って私たちに残してくれた財産、そして我々、後の人間はその恩恵に預って来たものを、そう簡単に改正の議論に乗せるべきなのかどうか、誰に押しつけられたというような視点を一度離れて、もう一度慎重に考えてみるべきでありましょう。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿