旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

情報引きこもりのススメ

2007年05月17日 | ライフスタイル
バイクに乗り始めた頃は、雑誌の記事に記載されている性能や、各メーカーのカタログを比較してスペックを比較して、どのバイクが良いかなどに頭を悩ませて、それはそれで楽しかったのかもしれませんが、20年以上もバイクに乗り続けていると、各車種の比較ではなく、自分がどの位の乗り物に乗るのが快適なのかがだんだんと判ってきて、それに合っているかどうかだけが気になるようになりました。

私の場合はオフロードバイクですが、例えば馬力について言えば、昔風の"馬力"という単位でカタログ上、20馬力だとかなりストレスを感じます。30馬力では時々パワー不足を感じるけれども、おおむね快適。40馬力位あれば丁度良い感じ。現在乗っている650ccは45馬力で、このあたりだと時々恐いと感じます。過去に50馬力以上ある250ccの2ストロークに乗った事がありますが、これは怖くて一度もスロットルをまともに開ける事ができませんでした。ですから、30~40馬力の車輌が自分がいちばんリラックスできる乗り物であって、それなら250cc~400ccで充分という結論になります。ですから、この範囲の選択肢であればそれ以上、細かく情報を掘り下げる必要はなく、幅広いラインナップの中からバイクを選ぶ自由が与えられます。

実際にはこの程度の性能であれば一昔前のバイクにも充分備わっているので、中古車を含めてかなり広い選択肢を得る事ができるわけです。雑誌などで紹介されるインプレッションの2007年モデルは何馬力アップしたとか、あるいはAよりBの方が性能が良いとか、そういう事に悩ませられる事もないわけです。

つまり"AとBを比較する"という基準で物の価値を考えるのではなく、自分にとって必要なのはAかBかを考える事ができるだけの経験と価値観を手に入れたという事でしょう。

ところが私の周囲に何人も私と同程度のバイク歴を有しながら今でも毎年のニューモデルのスペックに右往左往している人がいます。まあ、そうやって右往左往する事を楽しんでいるのかもしれないのではありますが、正直、どうしていつまでもそんな事に拘っている事ができるのか時々不思議に思っておりました。

最近、そういう人たちを観察していて気がついたのは、この人達はいつも情報を集めているという事。それ自体は悪い事ではないと思うのですが、その情報を判断する材料がいつも"比較"という作業である事が問題なのではないでしょうか。比較するのであれば自分が要求する内容と比較するという事を覚えるべきではないでしょうか。

最近の世の中は情報源だけはふんだんに存在します。そしてそこからは自分なりの価値基準を形成する余裕など与えないように次々と情報が送り出されてきます。

"今度はこんなにスタイリッシュになったから買え"

"これを買わなければ時代に遅れるよ"

"これを買わなければ損"

"物の価値がわかる人はこれを買うべきだ"

そんな事にふと疑問を覚えて逃げたくなった人には

"大量消費社会は良くな。それに気づいたあなたはロハスな生活を!。そのためにはこのロハスなグッズを。"

"環境に優しいこの商品を!!"

"スローライフの良さがわかるあなたは、これを買わなきゃ!!"

と、もう逃げ場がないほどの十字砲火であります。恐しいのは、これだけ激しい攻撃に遭うと、もはやウンザリする余裕すらありません。

時にはインターネットの接続を切断して、テレビもラジオも切って、雑誌も新聞も読まず、情報から隔絶されてみる事が結局は情報を正しく判断するための余裕を自分に与えてくれるのかもしれません。

そうそう、我が友人たちよ。バイク雑誌、一号だけ買うのをやめてみたらどうだろうか?少しは十字砲火を逃れて自分の価値観を形成する事ができるようになるかもしれませんよ。


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