旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

マナーからルールへ

2007年05月24日 | その他
かなり前の話となってしまいましたが、ここ千代田区では歩きタバコが禁止される条例が発効しました。条例が発効した頃、この近辺にも多く張られたポスターがありました。確か菊川怜さんがモデルになっていたと思います。私が気になったのは、そこに記されているコピーの"マナーからルールへ"。

いつもこのポスターを見るたびに違和感を感じていたのは、このポスターから伝わってくるイメージが、"今まではマナーでしたが、ルールとして確立されましたよ"というメッセージのように感じられて、その裏にルールの方がマナーよりも上という印象があったからです。

こんな事がどうしてそれほど自分に引っかかりを残すのかもずっと不思議だったわけです。私個人のイメージとしては、マナーというのは罰則が無くても守らなければならないものなわけですから、ルールよりも優先する物だと認識していましたし、今もそれは変わりません。ですから"マナーからルールへ"は"マナーだったものがルールに落ちぶれちゃいました"という印象になっていたのでしょう。もちろん落ちぶれたのはマナーを守れなかった我々スモーカーの世間からの評価の事です。その事がスモーカーの一人として引っかかりを覚えていたのかもしれません。

そして先日、これに関連して気がついたのです。マナーとルールの間にある決定的な違い。それは、マナーが善悪の視点からの価値基準に基いているのに対してルールは損得の基準に基いて成り立っているという事です。千代田区で歩きタバコをしていたら、マナーの時代であれば本人の善悪判断や良心の問題です。周囲の人も当人の良心をこれにて判断します。一方、ルールの時代には、歩きタバコをするかどうかは自分の善悪判断ではなく、2000円の罰金に対する損得感情で考えるわけです。そう考えると、法律やルールというのは善悪の判断を損得に組み変える機能をもっているものなのではないでしょうか。

特にここ数年の日本は善悪よりも損得が基準となって物事を考える社会になっているようなので、マナーからルールへ切り変えなければならない事がまだまだたくさんあるのかもしれませんね。


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