旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

代案の数で勝負

2009年08月13日 | 旅行一般
よく海外ツーリングを計画している方から寄せられる質問に”英語ができないのですが何とかなりますか”というものと、”ホテルを予約していなかくても現地で何とかなりますか”という2つの質問があります。数えた事はありませんが、これは手配内容に関する質問以外の質問の中でトップ2だと思います。

質問も多いので、旅のウンチクでも何度か取り上げていますが、この質問を発する人の期待している回答は”大丈夫ですよ。”とか”何とかなりますよ”という回答でしょうし、実際、私も以前はそういう回答をしていました。ただ、そういう事を十数年も繰り返していると、中には”大丈夫じゃなかった”人も出現して、帰国後”あなたは現地の事情がわかっていない”とお叱りを受けるケースも出てきます。

最近は”何とかできる人もいれば、できない人もいます。”という内容で答えるようにしています。励ますつもりで答えて、結局クレームに結び付くのは割にあいませんし、考えてみれば”何とかなりますよ”と誰にでも言うのは少し無責任な答えである事も事実です。

では、何とかできる人とできない人の差は何処にあるのでしょうか。

私は旅行の手配だけに終始する場合もあれば、企画から添乗まで一貫してこなす場合もあります。企画から進めていくケースの場合、出発前と出発後では発想を切り換えるようにしています。

出発前、企画の段階では1日の移動方法、移動距離などから1日の日程を組み立て、全体の日程に組み上げていきます。これは1日だけの東京トレッキングの場合でも、1週間単位のオフロードファンライドでも同じで、不思議と計画段階での検討では、作業を進めるに従って”唯一の答え”と思える予定が出来上がってくるものです。計画の段階や手配の段階ではこの”唯一の答え”を見出せるように努力します。いくつもの選択肢の中から最良と思えるものを選択し、抽出する作業です。

出発した後、旅行の現場では、計画の段階で見出した”唯一の答え”をトレースしていれば良いのですが、そういうわけにいかなくなる事も多々あります。そして、添乗員としての私は、上手くいかなくなった時こそ活躍するのが役割です。ここで必要とされる作業は最良と思えた選択肢以外の代案を考えるという作業になります。現地で思い通りに事が運ばなくなった場合は、いかに多くの代案を思い付く事ができるかが添乗員としての能力です。

そして、これは旅人としての能力でもあります。

少し話を戻しましょう

以下、例えばの話。

あなたの計画では、たとえば、8月13日にある町でAホテルに泊る予定だとします。このホテル、立地も良く、予算も自分の目算通り。多分、予約をする必要もなさそうで、旅行を手配した旅行会社の担当者も”現地で何とかなりますよ”と言っていました。

さて、いよいよ旅はスタート。いざ現地に入ってみるとローカルなお祭りで町は大賑い。Aホテルへ行ってみると満室との事。ここであなたは幾つの代案を考えることができるでしょうか。

Aホテルで他のホテルを紹介してもらう。
目にとまった他のホテルをあたってみる。
親切そうなホテルの従業員に頼んでみる。
ツーリストインフォメーションを探して聞いてみる。
泣きそうな顔をしてみる。(誰かが個人的に泊めてくれるかも)
朝までやってるパブを探して徹夜で飲む事にする
野宿していても逮捕されない場所を探す
隣の町へ移動して宿を探す

この位はすぐに思いつきましたか?


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