子供の頃を過ごした滋賀県は古い歴史のある土地だからというのもあるのでしょうが幽霊、妖怪、たぬきや狐に化かされた話などが身近に沢山ありました。母親は仏教関係の出身だったこともあって、私の祖父母をはじめ、その親類縁者などは幼い私に容赦なく世にも不思議な物語を語って聞かせて震え上がらせてくれました。
まったく子供に優しい素敵な人達に囲まれて育ったものです。
おかげで幼いころは夜が怖くて仕方ありませんでした。いや、幼いころというより、高校に入る頃まではやっぱり一番怖い事は幽霊やお化けでしたし、神は信じなくても幽霊やお化けの存在は固く信じて恐れていました。もっと大人になって、1人でツーリングするようになってからも山奥で野宿しながら何だか怖くて眠れなくなる事だってありました。
その後、いろいろな体験を経て、今は私は”残念だけれどお化けはいないようだ。”という結論に達しています。まあ、お化けと思えば思えるけれど、大抵の場合は別の説明も成り立つものです。
それでもやはり不思議に思える出来事というのもこの歳まで生きていると巡り合うものです。
さて...季節外れの怪談の始まりです...。
”旅行好きの夕べ”を共同で開催しているアウトドアスペースが開催しているカヌーキャンプのお手伝いをしていたある夏の出来事。一部の方々は既にご存知の話です。
このツアーで使うキャンプ地は河がS字になっている部分にあたるので、河岸の森林が少し河から離れていて空が広くなり、なんとなく開放的な気持ち良い雰囲気を味わう事ができます。
夕食の用意を終えるとガイドとしての仕事はほぼ一段落。焚き火を囲んで参加された方々とお酒を飲みながら雑談してゆったり時間を過ごしていました。
天候が少し悪くなってきたのかパラパラと雨が落ち始めました。酔いも回ったところなので”この辺でお開きにしましょう”という事になって三々五々、各自のテントに戻って行きました。
私達ガイドは機材を収めたり皆さんに寛いでもらう目的で建てた大型のタープの下で眠ります。雨は少しずつ激しくなり、タープを叩く雨音を聞きながら眠っていたのです。
ふと、タープの周囲の河岸の石を踏んで歩く足音で目を覚ましました。お客さんがトイレへでも行くのかとも思いましたが、それよりも雨で水位が上がって、岸にあげてあるカヌーが流されそうになっているのをリーダーガイドが移動させているのではないかとも思いました。
こういう作業を1人でコツコツやってしまうような人なのです。
”手伝わなければ”
慌てて飛び起きます。ところがトイレに行こうとしているお客様が居るわけでもなく、リーダーガイドはタープの別の一角でぐっすり眠っています。ヘッドライトで照らしてみると、特に水位が上がっている様子もカヌーが流されそうになっている様子もありません。
”タープに落ちた雨水が地面に落ちるときに足音みたいな音を立てるのかなぁ。”
勝手に納得した私は再び横になります。そしていつしか眠りについて...。
しばらくすると再び足音。私の枕元すぐのところを左から右へ通っていきます。お客様がトイレに行こうとしているならば反対方向。酔っ払って方角を間違っているのかと顔をそちらへ向けてみるのですが誰も歩いている様子はありません。
”やっぱり雨音か。”
再び眠ります。
そして再び足音。
”雨音、どうすればこんなに足音みたいに聞こえるのかなぁ”
そんな事を考えていると、突然、闇の中から ”ウォーッ” リーダーガイドの叫び声。
慌てて飛び起きてそちらを見てみたら先ほどと変わらない姿で眠っているようです。
”疲れてうなされてるのかなぁ。それとも、自分が寝ぼけてたかなぁ”
そんな事がありましたが、もはやお化けを信じていない私は”どうすれば足音に聞こえるか”という謎について考えながらまた眠ってしまったのでした。
翌朝の事。
コーヒーと紅茶をいれて、朝食を作り、皆さんが食事を終えたあとは、我々ガイドいは一瞬手持ち無沙汰な時間がやってきます。お客様はテントやシュラフの撤収中。我々はテントを立てていないのでシュラフを片付けるだけ。何も慌てる事はありません。
コーヒーを飲みながら、手持ち無沙汰な時間に昨夜の事を話そうかと少し思案。というのも山登りで話す”定番の怪談”がテントのまわりをぐるぐる廻る足音の話。それがクマだったというバージョンや色々なバージョンがありますが、ただ足音が回っていたという話だと”ああ、定番だね。”と軽くいなされてしまいそうです。
でも、特に他に話すネタもないので昨夜の体験をリーダーガイドに話します。すると、以外な事にやたらと食いつきが良いのです。
一通り話し終えるとリーダーガーイドが一言。
”何かいたよね。だって俺、顔を覗き込まれたもの。それで叫び声あげたんだもん。”
まったく子供に優しい素敵な人達に囲まれて育ったものです。
おかげで幼いころは夜が怖くて仕方ありませんでした。いや、幼いころというより、高校に入る頃まではやっぱり一番怖い事は幽霊やお化けでしたし、神は信じなくても幽霊やお化けの存在は固く信じて恐れていました。もっと大人になって、1人でツーリングするようになってからも山奥で野宿しながら何だか怖くて眠れなくなる事だってありました。
その後、いろいろな体験を経て、今は私は”残念だけれどお化けはいないようだ。”という結論に達しています。まあ、お化けと思えば思えるけれど、大抵の場合は別の説明も成り立つものです。
それでもやはり不思議に思える出来事というのもこの歳まで生きていると巡り合うものです。
さて...季節外れの怪談の始まりです...。
”旅行好きの夕べ”を共同で開催しているアウトドアスペースが開催しているカヌーキャンプのお手伝いをしていたある夏の出来事。一部の方々は既にご存知の話です。
このツアーで使うキャンプ地は河がS字になっている部分にあたるので、河岸の森林が少し河から離れていて空が広くなり、なんとなく開放的な気持ち良い雰囲気を味わう事ができます。
夕食の用意を終えるとガイドとしての仕事はほぼ一段落。焚き火を囲んで参加された方々とお酒を飲みながら雑談してゆったり時間を過ごしていました。
天候が少し悪くなってきたのかパラパラと雨が落ち始めました。酔いも回ったところなので”この辺でお開きにしましょう”という事になって三々五々、各自のテントに戻って行きました。
私達ガイドは機材を収めたり皆さんに寛いでもらう目的で建てた大型のタープの下で眠ります。雨は少しずつ激しくなり、タープを叩く雨音を聞きながら眠っていたのです。
ふと、タープの周囲の河岸の石を踏んで歩く足音で目を覚ましました。お客さんがトイレへでも行くのかとも思いましたが、それよりも雨で水位が上がって、岸にあげてあるカヌーが流されそうになっているのをリーダーガイドが移動させているのではないかとも思いました。
こういう作業を1人でコツコツやってしまうような人なのです。
”手伝わなければ”
慌てて飛び起きます。ところがトイレに行こうとしているお客様が居るわけでもなく、リーダーガイドはタープの別の一角でぐっすり眠っています。ヘッドライトで照らしてみると、特に水位が上がっている様子もカヌーが流されそうになっている様子もありません。
”タープに落ちた雨水が地面に落ちるときに足音みたいな音を立てるのかなぁ。”
勝手に納得した私は再び横になります。そしていつしか眠りについて...。
しばらくすると再び足音。私の枕元すぐのところを左から右へ通っていきます。お客様がトイレに行こうとしているならば反対方向。酔っ払って方角を間違っているのかと顔をそちらへ向けてみるのですが誰も歩いている様子はありません。
”やっぱり雨音か。”
再び眠ります。
そして再び足音。
”雨音、どうすればこんなに足音みたいに聞こえるのかなぁ”
そんな事を考えていると、突然、闇の中から ”ウォーッ” リーダーガイドの叫び声。
慌てて飛び起きてそちらを見てみたら先ほどと変わらない姿で眠っているようです。
”疲れてうなされてるのかなぁ。それとも、自分が寝ぼけてたかなぁ”
そんな事がありましたが、もはやお化けを信じていない私は”どうすれば足音に聞こえるか”という謎について考えながらまた眠ってしまったのでした。
翌朝の事。
コーヒーと紅茶をいれて、朝食を作り、皆さんが食事を終えたあとは、我々ガイドいは一瞬手持ち無沙汰な時間がやってきます。お客様はテントやシュラフの撤収中。我々はテントを立てていないのでシュラフを片付けるだけ。何も慌てる事はありません。
コーヒーを飲みながら、手持ち無沙汰な時間に昨夜の事を話そうかと少し思案。というのも山登りで話す”定番の怪談”がテントのまわりをぐるぐる廻る足音の話。それがクマだったというバージョンや色々なバージョンがありますが、ただ足音が回っていたという話だと”ああ、定番だね。”と軽くいなされてしまいそうです。
でも、特に他に話すネタもないので昨夜の体験をリーダーガイドに話します。すると、以外な事にやたらと食いつきが良いのです。
一通り話し終えるとリーダーガーイドが一言。
”何かいたよね。だって俺、顔を覗き込まれたもの。それで叫び声あげたんだもん。”
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