旅のウンチク

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ちょっとだけ欲を捨てる

2007年06月27日 | 宗教
多くの宗教思想の中で語られる教えの中に質素倹約をすすめる教えがあります。これはイスラム教の戒律などではかなりハッキリしていますし、旧約聖書や新約聖書の中の話にも強欲を戒める意味が込められていると思われる表現がいくつも見うけられます。ソドムとゴモラの話やバベルの塔の話などはその時代に都市がいかに退廃していたかという事が伺えるようで、現代社会と比較しても興味深いと思えます。

仏教にももちろん質素倹約につながる教えがあります。いや仏教思想そのものの根幹が人間の苦しみが欲から発生するという分析に基いて組み立てられているので、思想の中心を成すものであると言ってもよいかもしれません。ただ、イスラム教やキリスト教と少し違って見えるのは、イスラム教やキリスト教での質素倹約は、社会全体のシステムの中で捉えられているのに対して仏教は自分個人の幸福のために禁欲を説いている点です。そして、ここに現代社会を生きていく上でのヒントがあると思うのです。

人間が持つ欲の全てを捨て去る必要は悟りを開く事を目指していない人間には必要ないでしょう。我々一般の人間はそれなりの欲を持っていて普通です。ところがここで注意しなければならないのは、現代の資本主義社会は個人の持つ欲を煽り立て、価値観を単一化して購買や消費に狩り立てる事によって成り立っているという事です。つまり自分の中にある欲のうちに、自分の中から湧いてきたものだけでなく、外部から侵入してきたものが存在するという事。そして、それらが混沌と折り重なって、全てが自分の苦しみの原因となってくるのではないかと思うのです。

まずは外部からもたらされた欲望をとりあえず取り除いてみましょう。そうすれば、自分にとって本当の大切なものは何なのかが見えてくるかもしれませんし、余計な苦しみから開放される事になるのではないでしょうか。そして、それでも自分に残された欲は自分にとって大切なものなのですから、その欲を満すために毎日努力をすればよいのでしょう。


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