死に臨んでも、爆睡。肝臓に毛が生えていた。
日本随筆大成第二期第5巻「新著聞集」より
2023.8
心臓に毛、いいえ 肝臓に毛が生えている
「心臓に毛が生えている」と言う言葉がありますが、「肝臓に毛が生えている」と言う言葉が、江戸時代の、「新著聞集」にありました。
面白いので、紹介します。
本来の表題は、「望死熟睡肝臓に毛を生ず(死に臨んでも、熟睡していた。肝臓に毛が生えていた。)」です。
以下、本文
蒲生下野守(がもうしもつげのかみ:蒲生 定秀か?戦国時代、近江の日野の城主)殿の家来の侍が、わけあって、切腹することになった。
身を清めるために、行水をして、首切り役人の監督に向かって、
「われは常に湯あがりには、寝る癖がある也。この世の思い出に、寝させてくれよ。」と訴えた。
そして、高鼾(かたいびき)をかいて、しばらく寝てから、目をさまし、起あがった。
また首切り役人の監督に向かって、
「われらが様なる強勢(ものに動じない)の者には、肝(きも)に毛の生えると、昔から申すなり。
事実ならば、恐らくは某(それがし)が肝にも、毛が生えてあらん。かならず見たまえ。たのむ也。」
と言って切腹した。
それで、約束の通りに、肝臓をみると、言った通りで、毛が生えていたそうである。
この話は、傍輩(ほうばい:同僚)であった町野倫菴という医師が語ったものである。