お昼いつもの食堂に行くと大きなマスク姿のお姉さん、風邪でもひいたのかなと気になりましたが、お昼時のお客さんが次々と押し寄せて来てつい聞きそびれてしまいました。
ああ美味しかったと食べ終わった時に、お店に入ってから今までお姉さんがくしゃみどころか咳ひとつしていないことに気がつきました。
混雑のピークを過ぎた頃、どうしたのと訊いてみると、お姉さんはニヤリとちょっとこわい感じの笑いを浮かべながら、ゆっくりとマスクを取りました。
それはまるで昔あった都市伝説の口裂け女が「私、きれい?」と言いながらマスクを取るような感じでした。
マスクを取った顔には、頬骨の少し下から顎の先までザックリと切り裂かれたまだ渇ききらない血の跡が。
保護猫ボランティアリーダーでもあるお姉さん、昨日の夜に捕獲した野良ちゃんにやられたそうです。
手袋してたから油断した、とはお姉さんの弁。
まさか顔まで来るとは思わんかったわ、と自分の顔の傷よりも野良ちゃんの動物病院行きを優先したお姉さんは「目ぇやなくて良かったわ」とまたニヤリと不敵に笑ったのでした。