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無核紀州型雌性不稔性

2015年03月31日 10時19分48秒 | 品種改良の話
今日は、農6も持っている性質の一つ、無核紀州型雌性不稔性について語りたいと思います!

この無核紀州型雌性不稔性は、胚珠が正常に発達しなくなる性質で、きっちりとした遺伝法則に基づいて遺伝する形質なんです!

そして、この無核紀州型雌性不稔性はその性質がとても強く、たとえ、人工授粉しても、ほぼ100%種のない実を形成するんです。
なので、無核紀州型雌性不稔性をもった品種と交配する場合、その無核紀州型雌性不稔性を持った品種は、花粉親として使われます!
(種子を形成しないので、種子親にすることはできません!)

さて、その無核紀州型雌性不稔性はもともと無核紀州という品種が持っていた性質なんです。
無核紀州は、実がとても小さい(30~50g)為に、今まで食用にはされてきませんでした…。

そこで、種がなく、実の大きい品種を作るために、
谷川文旦×無核紀州→サザンイエロー などの交配がされたわけです。

そしてそれと同時に中間母本(交配用の品種)として作られたのが、
リー×無核紀州→かんきつ中間母本農5号
キングマンダリン×無核紀州→かんきつ中間母本農6号 の2品種でした!

かんきつ中間母本農6号は当初、食用に適さないと考えられていたものの、
消費者の意見を聞いてみると、「なかなかいい」という評価がもらえたわけです。
というわけで、いま、食用品種としての栽培方法の確立や、6次産業用品種としての確立が行われています!

さて、この無核紀州型雌性不稔性の遺伝様式は、少し変わっていて、
2つの遺伝子座に支配されており、
一方は優勢に無核紀州型雌性不稔性を遺伝させる遺伝子で(今回は優勢をA劣性をaとする)、
もう一方は優勢に無核紀州型雌性不稔性を阻止する遺伝子(今回は優勢をB劣性をbとする)なんです。

それで、無核紀州はAabbの遺伝子を持っているので、
谷川文旦(aaBb)と交配すると、無核紀州型雌性不稔性を持った個体が25%出現。
リー(aabb)やキングマンダリン(aabb)と交配すると50%で出現します!
この出現率は、有望な無核性の要因となる性質としては、とても高いように感じます!

ということで、無核紀州型雌性不稔性はとても有望な性質である、という話でした~。
おわり。