前回
⑧ニートクリスマス番外編 彼が初恋
「カ、カノ」
「ん?」
「俺が、あの、その」
「既婚者だったおやじのことも」
「その、なんていうか」
「カノの小学生時代のことも」
「全部俺が受け入れる」
石野真子 ハートで勝負
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その後、カノは俺をしばらく見つめ
「早く退院してね」
「う、うん」
「じゃね、お大事に」
「いつもありがとな」
カノと俺との仲に将来が見えた。
以前は邪な気持ちでカノに描いていた恋心も
「構えられるのダメなんだよねー」
「え!」
と、簡単に跳ね返されていた。
構えられるのがダメだったカノが、ニートになった俺に身構え、すべてを引き出し病室から出て行った。
その後、俺は退院し、久しぶりにオンラインゲームにログインをした。しばらくログインをしてなかったことで、彼女もログインしていないと思っていたが、
が、しかし、彼女はまだ俺のギルドの中で待っていたかのようにオンラインゲームを続けていた。
「お久しぶり」
「お久しぶり」
「しばらく来なかったね」
「ちょっといろいろあって」
「変わりない?」
「はい」
俺は久方ぶりの再会に感動した。これまで何人かと組んで遊ぶ相手もいたが、数日、数週間ログインしていないと離れていく世界。しかし、俺がいない間も彼女はずっとそこで遊んでいた。
彼女を今後は粗末には扱えないと思い、再びオンラインゲームを再開した。
退院から数か月が経ち、俺は事故で保険金などが入り、そのお金で新しいゲーム機を買った。事故で後遺症が残り、仕事復帰がまだ定かではない中、俺は新しくなったオンラインゲームに生活拠点を移すことにした。
「今度出たゲームをやることにしたから」
「おおー」
「もうすでに遊んでるんだよね?」
「うん、遊んでる」
「そっちでも、また一緒にやろう?」
「うん」
「じゃ、新しいほうにログインしたら教えて」
「そのとき、わたしもいるから」
「了解」
俺は新しくなったオンラインゲームに登録し、彼女と再会することで少し不安があった。もし、彼女が男性キャラで現れたらどうしようと不安に思いながらも、彼女に会うために新しいキャラクターを作った。
「ようこそ」
「は、はじめまして」
(よかったー女性キャラだった)
(しかも髪の色も同じだ)
彼女は新しいオンラインゲームをある一定のレベルに達していて、初心者の俺は何もかも、彼女から教わることになった。
「ここでいろいろと貰えるよ」
「はい」
続く
次回
⑩ニートクリスマス番外編 プリティープリティー