前回
⑩ニートクリスマス番外編 プリティープリティー
「今日はさほど待たされなかったな」
「早かったね」
「回転寿司にでも行こうか」
「うん」
「ポイントチャージまだ残ってるし」
「俺こないだ行ったときにもらったケーキ1皿無料券あるわ」
「あれも人数分で1皿無料でしょ」
「たぶんそうだよ。茶碗蒸しも二人で無料だったし」
カノは俺の交通事故の後も通院の日は付き合ってくれた。カノとふたりで外出デートの時は、俺の通院日に行われていた。
「あ、」
「!!」
「アサミさん」
「え・・・」
弟と結婚する、俺の元カノが俺の通う総合病院を訪れていた。おそらく婦人科外来だ。
「ノゾムさん」
「こんにちは」
「おひさしぶりです」
「あ、お姉さん」
「先日はありがとうございました」
俺は「ひさしぶり」という言葉がでなかった。
「ノゾムさんといつも一緒にここに来てて」
「そうなんだ」
「アサミさんも今日は何か診てもらうの?」
「はい」
「お大事にね」
「はい」
(俺はカノと結ばれて)
(その前にアサミとも結ばれていた)
「!!」
「ちょっといいですか?」
「お身体いかがですか?」
「だいぶ自由に動けるようになったよ」
「アルコールは大丈夫ですか?」
「時々事故のフラッシュバックがしてさ」
「今、それで安定剤飲んでて」
「アルコールは気をつけないといけないかな」
「でも、今日は少し飲むよ」
「せっかくだし」
「あの、ノゾムさんのことで・・・」
「なに?」
「やめたほうがいいですよ」
「なにが?」
「あの人、浮気者ですよ」
「ノゾムさんと何かあったの?」
「僕、小さい頃からアララギ先輩のことが好きで」
「!!」
「僕も小さい時からマオくんのことは知ってるよ」
「マコ姉さんのこともね」
「ずっと好きでした。マジで」
「マジで?」
「わたしノゾムさんと付き合ってたんです」
「そしたらわたしの同級生と浮気してて」
「クッキーとか焼いて家に行ったらしく」
「誰が?」
「あ、わたしの同級生が」
「そこでキスとかもしたみたいで」
「わたしムカつきました」
「その事はノゾムさんに言ったの?」
「メールを送るのもあれだったので、直接電話で話しました」
「そしたら、夏休みの宿題を手伝ってたとか言ってて」
「夏休みの終わりの前日ですよ」
「普通、夏休みが始まったらすぐに宿題は終わらせて置くじゃないですか」
「夏休みが終わるのに宿題やってないってありえないです」
「それからは会ったの?」
「ある約束はしてたんですが、それからはノゾムさんからは連絡がなかったです」
「それでノゾムさんの友達とかに相談してたんだ」
「え」
「ノゾムさん、なにか言ってました?」
「マジで思ってて、僕はもう結婚とか、できないんじゃないかと思ってたくらい」
「悩んでました」
「僕のことでか?」
「男の人が好きで、女の人とは付き合えないかと思ってて」
「もうね」
「ノゾムさんのことは笑っちゃうくらいいろいろあってさ」
「交換日記やってて、自分の番で書かずにシラっとしてたりさ」
「交換日記してたんですか?」
「あたしの同級生とノゾムさんとでね」
「なぜ知ってるんですか?」
「ノゾムさんが日記書いて渡さないから」
「夏休みの宿題とか、夏休みが終わってから学校でやってるんだから」
「そんなバカな」
「ノゾムさんが宿題の手伝いをするとか珍しいよ」
「キスはありえるけど」
「最低な人だからやめたほうがいいですよ」
「夢だったんでしょ?」
「え!」
「弟と結婚するのが夢だったんでしょ?」
・・・
「はい」
石野真子 明日になれば
明日になれば | |
クリエーター情報なし | |
Victor |
「でも僕、女の人も好きになれたんです」
「あ、お姉さんが来たよ」
「マオも車で来てないよね?」
「お爺ちゃんの軽トラで乗せられて来たから」
「じゃ、一緒に帰ろう」
「今度回転寿司でもみんなで行きましょうよ」
「ノゾムさんとマオさんとですか?」
「うん」
「こんばんは」
「こんばんはー」
「こんばんはー?」
「うちのメンバーに入りたいって申し込みがあって」
「はじめまして」
「はじめまして」
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
オンラインゲームにも新しくメンバーさんが入って来た。
続く
次回
⑫ニートクリスマス番外編 バーニングラブ