遥か彼方へ

行きかう年は旅人なり
いずれの年よりか、片雲の風に誘われ漂泊の思いやまず
我、前だけを見据え最期まで走らむ

されど越前大仏の今は

2024年11月24日 | 一般旅

 

11月16日(土) 【続き】

福井市内で、昔の小中高の学校めぐりをしたあと、勝山市へ移動。

越前大仏へ直行した。

▲ 越前大仏の地図板

見どころは、右上の「大仏殿」と左上の「五重塔」のようだ。

ここが出来た時は、入場料が2千円以上していて、誰が観光大仏なんか見に行くものかと馬鹿にしていたが、今回ネットチェックしたら、あれーッ、500円になっていた。それなら行くかと決めた。

 

 

▲ まず「門前町」を通る。

門前町と言っても、人工的に町並みをつくったモノ。

しかし信州御代田の海野宿場町なんかで見られる防火用の壁「うだつ」(赤丸印)も、ちゃんと真似して造られている(笑)。

殆どのお店は、当初からそうだったのか(イミテーション?)分からないが閉まっている。

 

▲ 門前町のエンドの上には、カラフルな雨傘が吊ってある。どうしてか意味不明。

 

 

▲ まず大門がお出迎え。

 

 

 

▲ 大門の両側には仁王様みたいなものが、定石どおり睨みをきかせて。

コンクリート造りだろう。

 

中門を過ぎて

▲ 大仏殿に

東大寺大仏殿を上回る建造物。屋根は銅版で葺いてあるが、建物自体は鉄筋コンクリートで頑丈、絶対朽ちない(笑)。「木造建築の美と風格を模しつつも、現代建築の英知を極めた建物」(パンフ)。

 

 

▲ 越前大仏

奈良大仏を上回る高さ17m。これはコンクリート製ではなく、銅製。

 

 

▲ 「この最大・最高の越前大仏は久遠の宇宙の生命を具現して、今私達の前に姿をあらわされたのです」(パンフ)。

 

 

▲ 横から。

 

 

▲ 大仏殿の前方・左右の三方の壁には、小仏群が安置されている。

その数、1281体。

 

 

▲ 壁の小仏。

 

大仏を有難く拝観したあと、大仏殿を出る。

 

▲ 誕生月ごとの菩薩像が12体並ぶ。

 

こういう像をみると、なまめかしく感じて

 

▲ 眺めてしまうのだが。イカン、イカン。煩悩よ去れ。

装飾いっぱいのヘアスタイルがいいね。

 

 

▲ 次は、あの五重塔だ。

 

 

▲ 五重塔

高さ75m。京都の東寺(55m)を抜いて、日本一の高さ。不滅の鉄筋コンクリート製。中にはエレベーターが付いている。

 

 

▲ エレベーターで4階まで、あと1階を歩いて、5階の展望所?へ。

 

右前面に迫る山は

▲ 大師山

杉の林立がきれいだ。

 

そして正面からは

 

ワイドにして

▲ 手前に、左から大仏殿、中門、大門。

奥には勝山盆地が広がる。ボクの生まれてところ。この地に小1の一学期までいて、福井へ移った。

 

五重塔を下りて

▲ 境内を散策。

 

 

▲ 紅葉がきれいだ。

 

 

 

▲ 黄葉もいい具合に。

 

 

 

▲ うん、いいねー。

京都の寺社の紅葉に負けないよ。

人も少ないし。

 

▲ バイバイね。

思った以上に、よくできている。

 

敷地の前に

▲ 「越前大仏」の石柱が

 

その裏面には

▲ 「昭和62年(1987年)建立 願主 多田清」の銘が

 

勝山市出身の多田清は大阪で相互タクシーを創業、成功する。1987年に多田清はこの地に「観光施設」として越前大仏を、総工費380億円の私財で創建。宗教法人としなかったのは勝山市に固定資産税等の税金を納めたかったためと言われている。しかし参詣者数は当初から伸び悩んだ。1991年には多田清も死去。1996年からは納税が困難になり、2002年からは勝山市は施設の一部を差し押さえ、公売にかけるが買い手は無かった。2018年には勝山市は滞納市税40億円の債権を放棄した。2002年には臨済宗妙心寺派の寺院として宗教法人になり、現在の正式名は「臨済宗妙心寺派 大師山清大寺」。

問題の拝観料だが、当初3000円、その後2500円、1000円を経て、現在は500円まで下がっている。(以上ウイキペディアから抜粋)

一言でいえば、バブル時に造った仏教テーマパークが、バブルの崩壊、人心(人信?)の見込み違いで、崩壊したといえよう。

~・~・~

しかし、「越前大仏」であぶり出されてくる問題が、興味深い。

宗教ないし信仰で、偶像そして寺社等の付帯建物の持つ意味は何なのか、ということ。

超越的存在⇒偶像⇒付帯設備 の連関は宗教一般に有る。一番純粋な宗教では、自分の心に有る教えと超越的存在のイメージが全て。偶像崇拝を禁止する(ユダヤ教、イスラム教、プロテスタント)。それだけでは、弱いと考える宗教派は仏像でもマリア像でも作りそれを崇めることを許す。そして、心に念じ、偶像を崇める集団空間として、宗教的雰囲気に満ちた寺院を華々しく造営する。偶像も宗教心が強ければ「イワシの頭も信心から」の言葉があるように、信仰の対象になるが(笑)、できたらそれらしき宗教的意味合いを纏(まと)ったものがいい。ということで、偶像でもどこそこの著名な仏師が心を込めて彫ったものとか、この寺社の「縁起」は摩訶不思議ななんたらが現れて建立したとか、もっともらしい由来を纏えるものが残った。

しかし、越前大仏はそういう縁起、エピソードは全くない。はっきり言って、越前大仏はコンクリ―制の美術品だ。しかし、だからといって、奈良大仏とか鎌倉大仏と、釈迦の目というか超越者(居ればだが)からみて本質的違いがあるのだろか?無いでしょうね。ここまで言ってしまうと、身も蓋もないが。

越前大仏も100年待てば、いや50年も経れば、古式豊かな巨大大仏として、晴れて衆生の信仰の対象になるだろう。

~・~・~

 

と、色々考えながら、次は温泉に入ってネグラに戻ろう。

 

▲ 勝山温泉 水芭蕉 へ

 

 

▲ 入口

右壁の絵は、当然、恐竜で。

 

HPより

 

お風呂に入ったあとは

 

▲ 越前おろし蕎麦

大根おろしとネギと花かつお節を載せた冷やし蕎麦。

これが、美味しいんだ。好きなんだ。

これで、ソースカツ丼もおろし蕎麦も食べて、福井・勝山に来た食の目的は果たせた。

 

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▲ 道の駅・禅の里 に戻って。

今晩もここでお泊りだ。

明日は、いよいよ高校の同窓会。

やたらと緊張するボクがいた。