-写真の部屋-

奥野和彦

R356

2007-01-17 23:54:47 | 写真
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070117b午後から成田へ。家から成田へ車で行くときは国道16号線に出て、我孫子から国道356号線に入る。湖北、布佐、木下、安食を経て成田市に入るが、この辺りの町は子供の頃から叔父に連れられ釣りに行く時に通ったところで、風景が大分変わったとはいえいまだに懐かしく、好きな町であり、通りなのである。特に木下の町にはよく通い、生まれて初めて雷魚を釣った。2m70cmのへら竿では竿が曲がったまんま、持ち上げる事が出来ない程の大物であった。鮒を釣るつもりで垂れていたアカムシに食いついたのだ。いつも、いつ無くなるかとヒヤヒヤして見ている駅前の時計や雑貨も兼ねるタイル張りの釣具店はタイルに書かれたペンキの店名がピラピラと乾燥してめくれ上がってはいるが、まだ健在である。昔は釣り人も多かったし、終われば一杯やったのか川魚屋も多かったが、今では釣り人も釣具屋も料亭も減ったようだ。上野から直通電車もある成田線沿線できっと宅地化が進み、近代的なベッドタウンになる事をその昔の町の有力者は望んだろうが、中途半端にそれは進み、もはや終わっているように僕には見える。その辺の事を今度写真に撮ってみようかと思っているけれど。そして、手をつけたんだけど忘れてしまってホコリをかぶっている、もはやデッドストックのプラモデルのようなこの辺の町の中途半端さも僕は好きだ。夢をのせて計画されて作りはじめるが、完成されずにだんだん寂れて忘れられていく。東京にこんなに近いのに過疎にみえる。今日は冷たい雨が降っていたけれど
通りがかった懐かしいにおいのする水門に、ビンドウを沈めて仕事に向かう。仕事を終えてすっかり暗くなったそこへ戻り、ゆっくりとビンドウを引き上げてみるが、タナゴや鮒は入っていず、練りエサの九ちゃんだけが溶けて残っていた。