
さあ、今週も野球だ。
昨日、6年生は負けちゃったけど
その分、俺たちJr.が頑張るぞ。雨の上がったグランドに
白線が引かれ、試合が始まる。
クニちゃんがいないので、リッくん頑張ります。
なんと、5回投げきって1安打完封。良かった良かった。
成長してるね、みんな。

グランドのまわりは
しっとり雨を含んだ草むらで、1、2年生コンビには
たまらない。本当はしっかり試合中のお行儀も
つきっきりで教えてあげたいのだが、サインも出さなきゃ
ならないし、公式戦だし、お母さん方に見ておいて
もらうしかないが、バッターとかピッチャーとかより
何匹バッタを捕まえて来るか、に夢中である。
「おおっすげぇ バッタボックスじゃん!これ」
(…何が!どれが?!?)
ファウルボールを「拾いに行って~」の声に「は~い」と
返事よく行くのは良いが、まぁ帰って来やしない。
ビチョビチョのゆにほーむとすぱいく。
背負って来たリュックのポケットにはバッタ。
大丈夫…。あゆむもすっくんもみんなそうだったって…。

キミキミ、そんなんで隠れてるつもりかい?
あいつらに見つかったら最後だぜ。近くにボールが
飛んで来ないうち、さっさとどっかへ行きな。

僕たちは一塁側のベンチに座っている。
1年生のKZKがあっちへちょろちょろ、
こっちへちょろちょろ、思い出したように
俺の側に来て、「今何アウト?打った?勝ってる?」
最近、対外試合にも一緒に来るようになった。
昨日はO山監督に抱っこされて試合を見てたっけ。
本当に一日しゃべり続けている。歌もうたう。
うるさくてうるさくてかわいくて仕様がない。
見かねたお母さん達に、ほら、一回こっち来て
おとなしく見てなさいと引っぱって行かれたり
また、うしろの草むらに何か探しに行ったり。
そりゃぁ、飽きちゃうよな。
尚も、タッちゃんも、天馬もみんなそうだった。

「ねえ、今何点取ったぁ?」と自分のそばに寄って来て
じゃあちょっと一緒に見てようか。と言った矢先に
快音とともに4番タッちゃんの打球が
左中間を大きく超えて行く。タッちゃんが目の前を
駆け抜けて2塁へ走って行く。

「KZK、ほらタッちゃんがあんなとこまで打った!
これがホームランだぞ!」
「え~!ホームラン?すごい!タッちゃん、
走れ~!がんばれ~!」
KZKの顔がぱぁ~っと輝く。
タッちゃんを追いかける、キラキラの瞳、
はち切れそうな笑顔。飛び跳ねる身体。海苔の付いたお口。
間違いなくこの子も素晴らしい選手になるに違いない。

唯一、打席の回って来なかったハットリ君が
B監、俺だけなんで…監督、俺一週間楽しみにして
来たのに…とかなりご立腹。ごめん、彼だけ
代打ではなく守備から入れた為に、時間切れで
打順が回って来なかった。次、絶対頑張ってもらうから。
最近の彼のバットの振りはきっと努力の賜物だからね。
なだめつつ、皆で学校へ帰る。