子供の頃から畑を焼く匂いだとか
お墓から漂ってくる線香の香りだとかが好きで
若い内からお香を焚くようになった。
香を焚くなどと言うと
ちょっと文化人的な趣味と個人的に感じなくもないが
そう言うのでは無い。
上に書いた通り、田舎の匂いなのです。
奥さんの実家に帰り
仏壇に手を合わせ、マッチでも探したのだったか
引き出しを開いてみたら普段立てる線香の他に
香入れの中に抹香と香炭があった。
持って行った自分の飲み薬がちょうど無くなって
空になったチャック付きのビニール袋に
炭とお香を少々頂いて、持って帰って来た。
もしかしたらお母さんは
「あれ?こんなに少なかったかしら?」
と思うかも知れないけれど、気付かないかも知れない。
今回は別れ際の握った手を離さなかった。
いつも以上に目に涙を溜めていた。
週末には撮って来たモノクロフィルムの現像に
取り掛かるが、その作業中少し焚いてみようと思う。