-写真の部屋-

奥野和彦

270km

2024-10-28 21:32:59 | 光の籠


時速270kmで走るのぞみの窓から
ずっと景色を眺めている。
行ってみたい場所が見えたら
持っているスケジュール帳の無地のページに
前後の道路の標識などから
おおよその場所の見当をつけて
書き残して行く。

いつか行くことがあるかも知れないと
多分行くことは無いであろう風景を目で追ったり
写真に撮ったりしている。
1枚の写真の中に色々なことが写っている。
撮ってみたら気がつく事だ。

昨年乗った時に撮ってあった場所を
今回もまるで意識しないのに撮ってあったりして
その事にも驚く。
時速270kmで3時間半続く景色の中から
数秒で通り過ぎるそこを撮っている。


今日

2024-10-27 16:28:54 | 街の凸凹


朝起きてご飯を食べる前に投票へ。
朝食のち洗濯干して
テレビでワールドシリーズ観戦。
その間に軽く拭き掃除、掃除機。

昼食後、借りているコンテナに
夏の水庵で展示した写真を梱包して格納。
自宅に戻ってサボっていた交通費の計算。
日曜だけどいくつか仕事のメール。
明日の仕事の機材準備。

これから夕飯
まだ田舎にいる奥さんが行く前に
作って行ってくれた冷凍の餃子を焼いて食べる。
夜は面白いテレビは無いかと思ったけれど
今日は選挙の速報だな。

2024-10-26 10:38:31 | 光の籠


季節は冬に向かいます。
この前まで夏のようでした。
天気の良い防波堤で釣りをしていたので
夏の子供のように日焼けをしました。

因島のたこ焼き屋のおじさんは
「秋が短うなってすぐ冬が来るじゃろう、
夏は暑くて長かったし、これがこたえるんよ。
ちょうどええ時がないんじゃけの。」

さて、どんな冬がやって来るでしょうか。

鈍い青緑

2024-10-24 23:45:15 | 光の籠


訪れた寺で、水子供養塔の所にいた猫を見つけた。
いや、猫より先に供えてある水子の人形たちにちょっとやられた。
自分が知らなかっただけかも知れないが
何を祈ってるのか、誰にお願いしてるのか。

普通は地蔵さんが赤ちゃんを抱いているのに
子が足元にすがっているのもあるのか。
昨今、水子のお地蔵さんは笑顔だったり
可愛く作ってあったりするじゃないか。
こんなに悲しい水子供養塔には出会ったことが無かった。
このお人形をあそこの売店で買うのかな。
供養をしてもらうとこのお人形を授かって
そっと置いて行くのかな。

それから、猫と目が合った。
猫はお人形さんに囲まれた水場に顔を付けて
水を何度か舐めた後、
足元に来て、体を擦り付け始めた。
毛がゴワゴワになってマツカサの様だ。
病気なのか、汚れているのか
あまりキレイで無いけれど、許しましょう。
しばらく頭を撫でてやった。
僕は帰るんだけど
この子達と一緒にずっといてやっておくれ。

軒下

2024-10-22 23:03:54 | 光の籠


久しぶりに数日間、仕事とも東京とも離れて
地方で過ごした。
カメラは当たり前に持って
何を撮るとも、どこで撮るとも決めずに
ただ出くわして、押そうと思うシャッターを
切るだけだけど、
どうしても、と言うか基本的に
なんか懐かしい感じの物にカメラを向けている。
狙って探して見つけて撮ろうとは思って居ないのだが
結局写している。



という事は、それが自分の性分と言う事だ。
今更かよ、と思わないでも無いが
これでもう観念する。

あくまでもいつものまま、
取りこぼす物もあってこそ
自分のかたちが浮かび上がる。




べっこう

2024-10-22 01:54:33 | 光の籠


きすのべっこう寿司である。
父の郷里が三重県伊勢市である。
長くなります。

今回、瀬戸内に行って
先に着いていた長男がシロギスがよく釣れると言う。
家の前が小さな湾になっていて
秋のなんかの加減でキスが入って来ているようだ。
前からキスはよく釣れるが
では今度こそと「きすのべっこう寿司」に挑戦してみた次第。

子供の頃、夏休みの家族で父の郷里に帰るわけだが
人が集まる時に、振る舞う料理のなかに
このべっこう寿司があって、当地では寿司は付けず
「べっこう、べっこう」と言っていた。
まず、キスを2枚に開いて甘めに味付けした醤油につける
いわゆる「漬け」にする。
ちょうどよく漬けになると、きすの白身が半透明のべっ甲色になって美しい。
それを父の家ではホーローのバットに酢飯を敷いて
その上にべっ甲色になったキスを並べてゆく。

記憶ではその後、若干押しをして押し寿司のようになっていた気もする。
それをお肉やホットケーキを切るステーキナイフで
自分の適量切り分けて食べる。
親戚中の子供が集まってこれをするのだが
適量どころか取りたい放題なのであって
それでも無くなることが無いぐらい作ってもらった。
きすの他に穴子をフレークにしたような同様の押し寿司
きす同様にシャコが敷いてあって切り分けた後に
甘ダレをハケで塗って食べる押し寿司、もあった。

全てホーローバットで出てくるのだが
それはどこの家でもそうなのかは分からない。



今回、それを作るにあたって
参考になる資料は無いかと長男が検索したところ
まさにピンポイントで伊勢市村松町の郷土料理であるとの文献が。
父は村松町出身である。本当にそうなのか?
素朴なものだから取り上げられらないだけで
違う地方でもあるものかも知れない。

ただネット上にはそれ以外に資料もないようで
もし、伊勢地方のきすのべっこう寿司について調べる人がいたら
このブログにあたってしまうかも知れない。
役には立たないと思います。すみません。


さて、それだけの物を作るためのシロギスの数を
揃えなければいけないが、釣りには潮位の加減もあり
小さな入江の中の魚が釣れる時間で丸一日と半日かけて
60匹のシロギスを釣り上げた。
これを私と息子と妻と義母との共同作業によって開きにし
皮も剥ぎ、ネタが出来上がった。

漬け用のタレは妻が作った。
味のイメージは口で伝えるしか無かったが
なんと100%記憶通りのものを作ってくれた。
「みりんと酒を温めてアルコール飛ばして、醤油と合わせただけよ」と。
ホーローのバットは無く、アルミのバットで作ったが
味に変わりは無い。

伊勢の半農半漁の漁村の味は
瀬戸内の父母にも好評で
長男は「今まで食ったものの中で一番美味いかも」
との感想であった。
かくして、
瀬戸内でも「きすのべっこう寿司」やってみよう作戦は
大成功に終わったのです。

お香

2024-10-20 22:58:23 | ローちこフレッちこ


子供の頃から畑を焼く匂いだとか
お墓から漂ってくる線香の香りだとかが好きで
若い内からお香を焚くようになった。

香を焚くなどと言うと
ちょっと文化人的な趣味と個人的に感じなくもないが
そう言うのでは無い。
上に書いた通り、田舎の匂いなのです。

奥さんの実家に帰り
仏壇に手を合わせ、マッチでも探したのだったか
引き出しを開いてみたら普段立てる線香の他に
香入れの中に抹香と香炭があった。
持って行った自分の飲み薬がちょうど無くなって
空になったチャック付きのビニール袋に
炭とお香を少々頂いて、持って帰って来た。

もしかしたらお母さんは
「あれ?こんなに少なかったかしら?」
と思うかも知れないけれど、気付かないかも知れない。

今回は別れ際の握った手を離さなかった。
いつも以上に目に涙を溜めていた。

週末には撮って来たモノクロフィルムの現像に
取り掛かるが、その作業中少し焚いてみようと思う。

川の記憶

2024-10-20 21:01:39 | 光の籠


昨年夏、岡山県総社市を訪れた記事を書いた日に
偶然、岡山県鏡野町にも来て下さいと言う
コメントを頂いていた。
せっかくなのでいつか実現したいと思っていて
先週、岡山県鏡野町へ行って来た。

私の兄弟が数年前から岡山に移住し
私の奥さんの郷里が瀬戸内で
自分も帰ると行き来をするようになったので
鏡野町もドライブ圏内になった。

どうせ行くなら写真の撮れ高も欲しいし
津山市の町場で少し撮って
それから鏡野町へと言う工程であった。
しかし津山の商店街は思ったよりも
シャッターが降りていて
駅前の食堂で名物のホルモンうどんを食べて
早々に鏡野を目指す事になった。
写真的にちょっとシャッターチャンスが少なかっただけで
名物ホルモンうどんは
大変に美味しかった。2人前はいけるね。



吉井川は岡山県でも有名な河川であると
知っているが辿るようにして上流まで行くのは
もちろん初めてで
奥津湖ダムの写真がネットには綺麗な紅葉の
青い湖面で載っているが、今回はそうでは無かった。
時期的なものであろう。
そこで若干怯まないでも無かったが
国道179号線でとりあえず上流を目指そう。
そして奥津温泉に差し掛かった途端
カメラを下げて車から降りるまでも無く
これは間違いないと確信したのです。

清流が流れ
魚がゆらめき
家族が遊び
橋が掛かっている。それだけ。
それで良い。



福田さん
素晴らしい町を教えて頂き
ありがとうございました。
記憶に残ります。