-写真の部屋-

奥野和彦

妄想鉄道 2

2011-07-23 22:34:55 | 写真
110723

ガソリンスタンドのタイムサービスまで
小一時間あり、時間稼ぎに座っているコーヒー屋で

持っていたA4のコピー紙の裏側に
の大ざっぱな地図を書いて

「今、バス停があるここに、駅があると
思ってご覧なさい。」と話を切り出す。

さて、ここを出た列車は農道のような県道沿いに
走り、神社の先で海岸線に出る。
ここの視界の開け方が素晴らしいものになるのは
想像がつく。

しばらく走ると、上弓削のに入り、
ここに上弓削駅を作る。今のバス停で言う「踊り場」の
辺り。

「じゃあ、『踊り場』の方がいいじゃない。」

「家老渡フェリーの桟橋まではちょっと歩いてもらうか。
1に1駅だ。」

「だったら、手前の沢津にも停まらなきゃ。」

以前、バブルの終わりの頃
廃れていくこの島に、町はゴルフ場を誘致しようと
計画した。たまたま、役場に勤めていたお上の父上が
その企画室長となり、奮闘したが
一部町民の反対と、彼らが煽動した地方のマスコミの
攻撃の矢面に父は立って疲弊し、企画もなくなった。

今となってみれば、作った所で長続きはしなかっただろうし
予想通りに、人口は減り、高齢化が進み、野は荒れている。
町民たちは人に変わって増えた、イノシシの害で困っている。

月日は流れ、娘婿が今度は鉄道を敷くと妄想を描く。
走らせようとしている県道沿いには
町営バスが走っているが、運転手には説明をして
バスから、気動車の運転台に乗り換えてもらう。
イノシシを轢いたりもするだろう。バスよりうんと
維持費、補修費がかかる。
轢いたイノシシは、寺で供養の上、
当社の名物 猪肉として売ってしまおう。猪鍋の店を
出しても良い。 海鮮いのしし鍋。

もはや、どこからどこまでが現実の話で
どこからが妄想の作り事なのか。

鉄道ファンの夢から勝手に飛び出して
ガランガランと ディーゼルカーが走る。