-写真の部屋-

奥野和彦

面の皮

2013-06-12 21:42:58 | 写真
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                  2013年 3月
自分の創造力でこさえたものを
人に見せたりするのは恥ずかしいと思う。
自分は人より容姿が優れていると信じて
アイドルを目指す。
文章を書く、曲を作り演奏し歌う、絵を描く、
踊る、写真を撮る、みんなそうだ。
素っ裸になって、往来に寝転がるようなものだと
誰かが言っている。
自意識過剰で、身の程知らず、これの何を見ろというのか
耳が痛い。

でも、そういう沢山の身の程知らずの中から
時に真に人の心を打つものが出て来るというのを
私たちは良く知っている。

あのバンドのあの曲に励まされた
あの映画を見て、オレは武道を志した
あの映画を見て、あんな人生を送りたいと思った
あの小説を読んで、人を好きになろうと思った
私もモーニング娘。に、AKB48に、なろうと思った

19歳の何の目標も見いだせない若僧が
自分にはこう見えているという世の中を
全くその通りに写真に焼き付けている作品に出会って
オレの考えもまんざら間違ってはなさそうだと
思い直して、写真を通して世界とか他人の事とかを
考え、勉強していくのは悪い事ではなかろう。
何かを通して命を燃やす。
生きてる実感は 無いよりあった方が良い。
1984
                  1984年 5月