-写真の部屋-

奥野和彦

そうめんで

2015-07-23 22:47:12 | 写真


今から20年ほど前
映画のロケで徳島県の脇町、半田町というところへ行った。
半田町が半田そうめんというそうめんの町であるというのは
行って初めて知った。
山の中の町なので撮影隊が食事をするような食堂も無く
婦人会の炊き出しでおにぎりとあたたかいそうめんの昼食が出た。
秋の口だったと記憶するがそのそうめんの美味しいこと。
それから揖保とならんでファンになった。
今もリビングのカウンターには半田手延べそうめんが
箱で載っている。揖保の糸に比べると太いが
ひやむぎよりもコシがある。

さらに、そうめんを美味しく感じさせた理由として
その町がとても美しく、ロケで使われた
小学校のかわいらしさ、町の清潔さがあるだろう。
撮影の待ち時間に子供たちが校庭でやっていた
ソフトボールに混ぜてもらってはしゃいだ。
夕方になると、それぞれが校門から出て帰って行く。
翌朝にはもやが立ちこめる中、また登校して来て
こんなに美しい登校風景がここではいつもの普通のことで
そうして暮らしがある、ということを気にするようになった。

そのときに、もっと素直にその美しい暮らしを沢山撮ってくれば
良かった。当時、こだわって撮っていた
人をバサッと画面一杯に入れて切り取る写真を
田舎の人でするとどうだろうと、ほとんどそればかり撮って
帰って来たのだ。
近所で仕事でもなければなかなか行けない場所である。

今年は帰省出来れば、島から出て
少し界隈を見て来るのもいいだろう。
なかなか行けない所と言えば
マーが甲子園まであと2勝である。
ここからが一気に難しくなる。
甲子園に行く理由が出来ればまたその近辺への夢が広がる。