それにしても、だ。
今思い返しても、入社試験から入社まではほとんど雪崩れだった。
気楽な学生生活の中で気楽に会社を決め、
試験を受け合格してしまうと
途端に想像もつかない程の責任と義務が圧し掛かる。
ここで言う責任と義務とは「会社人」として果たさなければならない
仕事上の責任や義務ではなく
(もちろんそれもあるけど)
自分が知らない間に手に入れていた
社会人としての責任と義務である。
自分の持っている判子一つにどれだけの拘束力があるか、
自分の稼ぎがどれだけの保障となり得るのか、
自分に最低どれだけの保険をかけておかなければならないか、
老後のために(!)何をしておかなければならないか。
一度社会人になってしまったら「知らなかった」では
済まされない事だらけなのだ。
皆は一体いつどのタイミングでこういう事を知るのだろう、
やはり入社と同時に教育されるのだろうか。
会社に向かう早朝の電車の中で
私は豪雨のように降りかかる現実に思いを馳せ、首をすくめていた。
私は当時18歳で、老後の事を考えるには非現実的すぎる年だった。
一緒に入社した同僚は女性二人、男性六人
私を含めて九人であったが
男性には一年間の工場勤務が義務付けられていた。
しつこいようだけど男女雇用機会~の施行以前であったからだ。
なので私達は一年先に入社して工場勤務を終えた、
先輩の男性社員と一緒に教育を受ける事になった。
一緒に入社したM達は同期にも関らず一年遅れになるのだが、
男女~の施行以前であったため女性は
残業出来る時間が笑っちゃうほど制限されており
一年の差などすぐに追いつかれ、追い抜かれてしまうのだ。
それは又後々の話。
「私達」の話をしようと思う。
同期入社の二人はSとO、三人とも互いを苗字で呼んでいた。
(ちなみに私はH)
働き始めてすぐ、私は二人のうちどちらとも
一緒に仕事はしたくないなと思った。
Sは典型的な女の子で、明るくてお喋り好きで楽しいんだけど
仕事に関しては責任感が無く甘えてばかりで
一緒に仕事をするのはとても疲れた。
Oは穏やかで性格に関しては可も無く不可も無く、
だが手先があまりに不器用で仕事が遅すぎた。
二人の事は今でも同僚として、友達として好きだけど
仕事をするってそういうものじゃないのだ。
(続)
今思い返しても、入社試験から入社まではほとんど雪崩れだった。
気楽な学生生活の中で気楽に会社を決め、
試験を受け合格してしまうと
途端に想像もつかない程の責任と義務が圧し掛かる。
ここで言う責任と義務とは「会社人」として果たさなければならない
仕事上の責任や義務ではなく
(もちろんそれもあるけど)
自分が知らない間に手に入れていた
社会人としての責任と義務である。
自分の持っている判子一つにどれだけの拘束力があるか、
自分の稼ぎがどれだけの保障となり得るのか、
自分に最低どれだけの保険をかけておかなければならないか、
老後のために(!)何をしておかなければならないか。
一度社会人になってしまったら「知らなかった」では
済まされない事だらけなのだ。
皆は一体いつどのタイミングでこういう事を知るのだろう、
やはり入社と同時に教育されるのだろうか。
会社に向かう早朝の電車の中で
私は豪雨のように降りかかる現実に思いを馳せ、首をすくめていた。
私は当時18歳で、老後の事を考えるには非現実的すぎる年だった。
一緒に入社した同僚は女性二人、男性六人
私を含めて九人であったが
男性には一年間の工場勤務が義務付けられていた。
しつこいようだけど男女雇用機会~の施行以前であったからだ。
なので私達は一年先に入社して工場勤務を終えた、
先輩の男性社員と一緒に教育を受ける事になった。
一緒に入社したM達は同期にも関らず一年遅れになるのだが、
男女~の施行以前であったため女性は
残業出来る時間が笑っちゃうほど制限されており
一年の差などすぐに追いつかれ、追い抜かれてしまうのだ。
それは又後々の話。
「私達」の話をしようと思う。
同期入社の二人はSとO、三人とも互いを苗字で呼んでいた。
(ちなみに私はH)
働き始めてすぐ、私は二人のうちどちらとも
一緒に仕事はしたくないなと思った。
Sは典型的な女の子で、明るくてお喋り好きで楽しいんだけど
仕事に関しては責任感が無く甘えてばかりで
一緒に仕事をするのはとても疲れた。
Oは穏やかで性格に関しては可も無く不可も無く、
だが手先があまりに不器用で仕事が遅すぎた。
二人の事は今でも同僚として、友達として好きだけど
仕事をするってそういうものじゃないのだ。
(続)