レンキン

外国の写真と
それとは関係ないぼそぼそ

長いトンネル(14)

2007年02月19日 | 昔の話
 イベントは午後二時ごろお開きになったそうだ。
わかさぎがちっとも釣れなかったり、
主催者がてんぷら鍋を忘れたりして
決してスムーズに進行した訳じゃないけど
それでも和気藹々のうちに終了し解散した。
K君はOを家に送っていくために車を走らせた。
助手席ではOがすっかり寝入っていたため
眠りの妨げにならないようにとカーステレオの音量を落とした。
二月とは思えないぽかぽか陽気に
K君は高速に上がってすぐ眠気を覚えた。
あともう少し走ればOの自宅近くのインターだったけど
K君は無理をせず、最寄のSAで休んで行こうと思ったのだ。

事故が起きたのはSAの僅か1km手前だった。

ブレーキ痕は無かった。見ていた人の話によると
K君の車は走行車線から吸い込まれるように路肩へ入り
ガードレールの継ぎ目に正面から突っ込んでいった。
ほんの二三秒目を瞑ったと思った、物凄い音で我に返ると
事故が起きてしまっていたとK君は病院で言ったそうだ。


ガードレールはフロントバンパーの真ん中から侵入して
後部座席まで突き抜けていた。
つまり車は縦半分に、運転席と助手席の間を
ガードレールで切断された形になる。
事故車両の写真を見た。のこぎりで切ったように
車体が切れている場所もあれば
引きちぎったように捩れている箇所もあった。
車とは思えない、まるで紙で出来ているみたいだった。
そうやって車内を通過したガードレールは
二三秒の間にOの頭の右側半分を持っていった。