乱用ドラッグ・ハーブ
「子供のおもちゃ」ではまり…依存度は大麻の20倍
関東のある県で昨夏、1人暮らしの30代男性の腐乱死体が見つかった。埼玉県立精神医療センターで薬物依存症患者の治療に当たる成瀬暢也(のぶや)副病院長(54)は、その男性に見覚えがあった。
15歳でシンナーにはまり、19歳で覚醒剤に手を出した。当初は脱法ハーブを「子供のおもちゃ」とばかにしていたが、知人の勧めで使ったところ、すぐに乱用するようになった。
「覚醒剤より強力で、飯は食えない。記憶は飛ぶ。眠れない」。ついには自室で包丁を振り回し、叫び声を上げているのを近隣住民に110番通報され、センターに入院した。
「脱法、こえぇ(怖い)よ。脱法、こえぇ」
男性はもうろうとした意識の中、うめいていた。退院後もセンターに通院していたが、結局、薬を断つことができなかった。遺体のそばには、けばけばしい脱法ハーブの包み紙が転がっていたという。
知らぬ間に過剰摂取
安価でどこでも手に入るハーブなどの脱法ドラッグ。違法でないとの甘い認識から「遊び感覚」で使用する若者も少なくないが、その依存性は驚くべきほど高い。
国立精神・神経医療研究センター(東京)が平成25年に行ったマウス実験では、脱法ハーブに含まれる成分:合成カンナビノイドの依存性は大麻の10~20倍