海をまたぐ現代戦に必要なのは、機動部隊である。米海兵隊に倣う中国海軍陸戦隊を使えば、迅速に平壌付近へ近づける。上陸用舟艇に陸戦隊、水陸両用車を乗せて一気に渡海すればよい
中国国営テレビニュースは1月3日、虎の子の海軍陸戦隊を堂々と紹介した。習の全軍訓示の際は、陸戦隊にも焦点を当てた。これこそ危険な朝鮮半島情勢に備える動きだ
陸戦隊の拠点は、朝鮮半島から遠い広東省湛江にある。だが、実際の訓練地は別だ。山東半島である。中国初の空母「遼寧」の母港、青島など海軍基地が多い。17年12月上旬、陸戦隊は山東半島の複数の軍港で装備を船で素早く運ぶ訓練にいそしんでいた。中国軍網などの公式報道である
陸戦隊は海軍5大兵種の一つで、何度も海外で先鋒を務め、陣頭に立つ人民軍の名刺的な存在」。こう紹介する。万一の場合、習近平は隋の煬帝、唐の太宗、そしてマッカーサーにならう渡海作戦を決行する可能性がある。その起点は山東半島かもしれない
陸から北朝鮮に踏み込む中国軍には、別の任務がある。中朝国境から北朝鮮に百キロほど入れば、豊渓里(プンゲリ)の核実験場を含む核関連施設を押さえ込める
9月の北朝鮮の核実験で、金正恩はトランプが引いたレッドラインを越えた。11月初旬の北京での習・トランプの密談、続く11月末の米ワシントンでの米中両軍の参謀部同士の意見交換を経て、覚悟を決めるしかないという判断に至ったのだ
吉林省共産党委員会の機関紙、吉林日報まで「核戦争に備えよ」という異様な特集記事を12月上旬に掲載した