総額300億円超の巨額詐欺、有名上場企業から芸能事務所まで続々……経済史に残る大事件の全容とは?“勝ち逃げ疑惑”の企業も直撃
「主犯だけじゃない。一部の名だたる企業や投資家は、あの詐欺事件で“儲け逃げ”したんですよ……」(金融業界関係者)
その総額は数百億円ーー。2022年4月に発覚した巨額詐欺事件の真相は、未だに闇に包まれたままだ。
「2000年にQ&A投稿サイト『OKWAVE』を開設したインターネット企業・オウケイウェイヴ社が巻き込まれたことで注目を浴びました。詐欺をおこなっていたのはレイジング・ブル合同会社(以下、RB社)という投資会社です。RB社は虚偽の理由で投資を募り、オウケイウェイヴ社はこれに騙されたのです。RB社の破産により、オウケイウェイヴ社は投資元本約34億円と利益分約15億円の計約49億円が回収不能になりました。同社は名証ネクストに上場していたことから、同被害は広く世に知られることになりました」(経済ジャーナリスト)
だが、RB社に投資していたのはオウケイウェイヴ社だけではない。本誌は関係者を通じ、RB社の一部の入出金履歴を入手した。同履歴からは、“甘い蜜”を求めて名だたる多くの企業や投資家が、同社に振り込んでいたことがわかった。しかも、入出金の差額によると、一部の人間は最大で数十億円の利益を得ていた計算になる……。
「RB社はスニール・ジー・サドワニ氏というインド人が経営しており、その親友であるモハメッド・イク氏が協力していました。2人とも日本の大学を出ており、日本語はペラペラ。人懐っこくて頭の回転が早く説得力のある話し方なので、騙されてしまうのです」(同前)
彼らが騙ったのはSBI証券のIPO株(新規公開株)だった。
「スニール氏らの説明はこうです。SBI証券はネット証券会社であり個人投資家の利用が多く、一人ひとりの預け入れ金額が少ないという弱みがある。しかし、預かり残高が増えれば会社のお金が増え、証券会社として規模を大きくすることができる。そこで、できるだけ多くの金額を投資する富裕層をRB社が紹介する代わりに、SBI証券は優良IPO株を優先的にRB社に割り当てる。それによってRB社は安定的に投資の利益をあげる……。ごく一部の投資家のみが参加できる秘密の投資案件、という触れ込みだったわけです」(同前)
ところが、こうした説明はすべて嘘だった。
「いわゆる『ポンジ・スキーム』と呼ばれるものです。取引実態はなく、ある投資家に利益を還元する場合、それは別の投資家から出資されたお金が元手なのです。何度も『利益が出た』として実際に還元し、それにより次回はさらに多額の出資をねだる。そうやって数多くの投資家を騙し、自転車操業で金額を膨らませていくのです」(同前)
実際、オウケイウェイヴ社も破綻する直前まで、10億円以上の利益を得ていたことがわかっている。
「つまり、オウケイウェイヴ社も利益が出た初期の段階で投資を辞めていれば、儲けることができた可能性があったんですよ。実際、一部の悪徳投資家は、ポンジ・スキームだと“わかった”上で意図的に投資をおこない、途中で“儲け逃げ”します。騙し合いの世界ですね」(同前)
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