ふくろうはうす昔話 第1話

2008年01月28日 | Weblog

  昭和20年 終戦を迎えた日本は、まさに 貧困の時代でした。

 今も 8月になると 戦時中の痛々しい映像がドラマ化されたものや 映画化されたものを目にしますが

 戦時中よりもむしろ、戦後の日本のほうが、物が無く 大変だったようです。

 

  高橋少年は 終戦を迎えて3年後の 小学4年の頃から

 父親の仕事を手伝うようになりました。

 どこの家庭でも 食べていくのがやっとの時代。幼い少年が仕事をするのも

 決して珍しいことではなかったとはいえ、遊びたい盛りの小学生時代に

 「遊ぶ暇があったら働け

 と父親から厳しく言われ、なかなか友達の輪に入ることが出来ず、当時少年たちの間で流行っていた

 『ベーゴマ遊び』を 一体どうやって回すんだ

 と その様子を遠巻きに眺めてたりしていたそうです。

 そんなある日、朝食も済ませないうちに 仕事へ行かされる事になった高橋少年は

 空腹得ぬまま 仕事先へ・・・

 ある一軒のお宅で作業をしていると、家主から声を掛けられました。

 “こんな朝早くから君は偉いねぇ。どこの学校に行っているんだい?”

 と訪ねられ、 “西小学校です” と答えると

 “おや、そうだったのか・・・私は 君の通っている小学校の校長だよ”

 と言われ、

 仕事が終わった帰りに ご褒美として 200円をもらって帰ってきたことを

 今でもよく憶えている と話してくれました。

 当時は 100円で ラーメン1杯に映画が観られたのだそうで、200円と言えば

 相当の贅沢が楽しめる金額だったことになりますね。

 そのもらったお金を どんな使い方をしたか?までは記憶にないそうですが

 とにかく、たまげるほどの金額だったそうで・・・

 

 そんな経験をしつつ、高橋少年は 中学へと進学していくのでした。

                                   つづく