ふくろうはうす昔話 第4話

2008年02月22日 | Weblog

  昭和31年 現みどり市に位置する阿左美沼のため池を利用して

 桐生競艇場が開設されました。

 その当時、桐生の建築業界の中では 三本の指に入る K建設の専属で塗装を任されていた高橋塗装店は 

 連日 沢山の仕事に追われ、大きな現場も 一人で任されることも多く 多忙な毎日を送っていました。

 そんな中 桐生競艇場の観覧席を塗装する仕事が依頼され、高橋青年が現場へ行くことに・・・

 競艇場が開設された当初は、観覧席も何もなく、ただ土手から眺めるだけのもので

 観覧席の塗装の依頼を受けたときには すでにレースが開催されており

 大衆の歓声とボートのエンジン音の響く中 青年は一人 黙々と作業をしていくのでありました・・・

 当時の観覧席は、60メートル程の長さの鉄骨で出来たもので 座る所に木の背もたれが付いており

 それが7~8段くらいあったそうなのですが 

 当時の塗る道具と言えば ハケのみ。しかも 現場には青年一人しかいなかったので

 当然 全ての作業が終わるには 3週間ほどの 長い日数がかかった訳で・・・

 おまけに その時代に 「養生シート」なるものなどある訳もなく、少しでも垂らしてしまったら 大変

 しかし そこがプロの見せ所。

 塗装工リーダー曰く

 「勿論、垂らすことなく 全ての作業を作業を終わらせたぞ

 さすがは リーダー であります。

 養生に頼っている 今の若者には きっと真似出来ない ハケ裁きであったに違いありません 

 

 が。

 やはり 大の大人がこぞってギャンブルを楽しんでいる姿を毎日のように見ていてる内に

 賭け事に全く興味の無い 高橋青年も、

 “俺も一度くらいは やってみたいなぁ・・・” と ふと思い、 ある日親方である父親に

 小遣い交渉してみたのですが

 厳格な父親が 遊ぶ金銭など与えてくれるわけも無く・・・

 それでもどうしても 一度やってみたい

 という願望は増す一方で 今度は 母親に交渉

 すると 母は 普段懸命に働く息子の気持ちを理解してくれ

 見事 1000円という大金をゲットしたのでありました~ 

                                            つづく

 

 

 


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