演題:職場のメンタルヘルス支援としてのストレスマネジメント教育介入プログラム
演者:山田冨美雄(1・2)、山野洋一(2)、沼田康介(1)
所属学会:日本ストレスマネジメント学会
所属施設:(1)大阪人間科学大学大学院人間科学研究科、(2)大阪人間科学大学健康支援センター
プレゼン要旨
私たちはこれまで、勤労者の心身の健康づくり、職場のメンタルヘルス改善・強化を目的として、認知行動的介入法の一つであるストレスマネジメント教育介入プログラムを開発し、適用・評価を行ってきた。
ストレスマネジメント教育介入とは、集団を対象として(1)ストレッサへの気づき、(2)ストレッサへの対処の気づき、(3)ストレス反応への気づき、および(4)ストレス反応のコントロール技法修得の4課程を学び修得することによって、対象者自身が自分のストレスを自分自身で管理・運営するに至ることを目的とした認知-行動的介入法である(山田,2003)。
基本的には、職場で従業員集団を対象として健康調査を実施するところからはじまる。私たちはこれをストレスドックと称している。
ストレッサ(日常苛立ち事、ライフイベンツ、職種・職場固有)、ストレス反応(心身症状、行動)、コーピングスキル(一般的、職種・職場固有)の主要3尺度に加え、ストレス緩衝要因(自己効力感、自尊感情、タフネス、ユーモアのセンス、アサーション、ジェンダーアイデンティティ等)の査定用尺度から構成される。
これまで「般用こころの健康指標」(1999)の開発に引き続き、看護師版(2004)、外国人版(2004)、外国看護師・介護士版(2008)、ブルーカラー版(2008)、コールセンター版(2008)を開発した。
開発に当たっては、当該職場での行動観察と勤労者からの面接・聞き取りを行い、質的内容分析の手法を用いて尺度項目の選定、因子構造の確定、信頼性・妥当性の検討を経て完成に至るという正攻法を用いている。
ストレスドック受診のあと、結果を分かりやすい形式で返却し、自分のストレッサ、ストレス反応の量と質に気づいてもらう。
またストレッサ軽減・回避の手段としてこれまで用いてきたコーピングの癖に気づいてもらい、より合理的な対処法の提供を行う。
次に本介入法の核心部分となる、ストレス反応を自分でコントロールする術「リラクセーション技法」の実習に時間を割く。
さらにストレス産物であるコルチゾールの消費を目的とした運動プログラム(アクティベーション技法)の実習も提供する。
これら一連の学習には、テキストが用意されている(GAS研究会,2001;山田・野田,2002)。
本報告では、看護師を対象としたストレスマネジメント教育介入を例に紹介する。
文献
山田冨美雄(2003)行動科学的介入法としてのストレスマネジメント教育.ストレスマネジメント研究, 1(1), 15-22.
山田冨美雄・野田哲朗(監修)AMDA国際医療情報センター関西(編集) 2002 こころとからだの健康のために:外国人のためのストレスマネージメントハンドブック.(日本語版、英語版、韓国語版、フィリピン語版、中国語版、ポルトガル語版、スペイン語版) 大阪府府民活動推進課・国際課
GAS研究会(代表:山田冨美雄)編(2001)ストレスしのぎ辞典.(現在は改訂2版2007年.)、PGS研究会
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