たわいもない話

かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂

砂電車の冒険 (17)

2009年01月26日 15時31分11秒 | 砂電車の冒険
砂 電 車 の 冒 険  ( 2-6)

その時、奈美ちゃんが東の空に浮かんだ雲を指差しながら
「ママ、あの雲、マンボーみたいよ!」
みんなが奈美ちゃんの指先を見つめると、まるで海の中を泳ぐマンボーのように、白い雲が“ぽっかり”と浮かんでいました。
「あ!あそこにイルカ雲もあるよ」
今度は海人君が、西の空を指差しました。
渚君は真上の大きな雲を見つけ
「ママ、あの雲、何に見えるかな~」
砂千子さんは少し考えながら
「大きくて白い、クジラに見えない?」
みんなは“きょろきょろ”空を見上げながら、雲の魚を探し始めました。
「あれは、小さくて頭でっかちの細長だから、ウツボ雲かな?」
「あの小さな雲のかたまりは、ハタハタに似ている?」
「あそこにヒラメ雲のあるよ!」
海人君たちは、空に浮かんだ魚を夢中になって探しました。
「何匹浮かんでいるか数えてみようか?」
砂千子さんが雲を指差しました。
「一匹・二匹・三匹・・・」
海人君たちが空に浮かんだ魚を、声を合わせて数えていくと、空はしだいに白い雲に覆われ、灰色の空へと変わると急に暗くなってしまいました。
「海人君、海人君」
誰かが呼ぶ声がします。
海人君が立ち上がって後ろを振り向くと、そこには白いひげを生やした優しそうなお爺さんが、背中に大きな袋を担いで立っていました。




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