少数派シリーズ/東京オリンピックの危うさVOL.51
ROUND5 猛暑マラソン編 3 <選手や観客に熱中症死の危険>
東京五輪のテスト大会から見えてきた猛暑以外にも大雨・雷・水質対策の怠慢
ブログを移転したため、投稿日と記事の日時・状況と整合性がありません。記事は2019年9月、旧ブログに投稿したものです。アスリートファーストの尊重は微塵もなく、政治家・経済界・五輪関係者などは己の思惑・利益・保身のために、東京オリンピックの悪用が目に余ります。年月が経過しても、ブログにてその検証や事実を残しておく必要があると考えます。
■初期会場選定の混乱から「プレオリンピック」さえできないくらいの準備遅れ
マラソンに限らず、猛暑や天候の急変などにも触れていきます/2019年8月、東京オリンピックに向けてのテスト大会が開かれました。その結果、猛暑以外にも、大雨(台風・ゲリラ豪雨)・雷・水質(汚水)などの問題が浮き彫りになってきました。本来は「プレオリンピック」として、前年、本番さながらに全競技を一斉に行います。今回は多くの競技場が未完成なことから、競技ごとになったようです。因みに前回の東京五輪では、1963年10月に「東京国際スポーツ大会」と称して、約1週間に渡り開催されました。本番と同じ会場で行うことから、選手はもちろん役員・審判、運営の流れが事前に確認できました。全競技を一斉に行なえば、交通網の混雑度・スムーズな選手輸送・宿舎運営など総合的な検証が分できるのですが、残念ながら今回は大きな不安が残る“本番一発勝負”になってしまいました。つまり当初の会場選定の混乱から、プレオリンピックさえできないくらい準備が遅れてしまったのです。これ自体が、東京都・大会組織委員会の重大な“運営の失敗”と思います。
東京国際スポーツ大会切手のご案内 1963年発行
■選手や観客へ暑さ・天候急変・水質などの安全配慮が全くなされていない
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前回の東京五輪はアジア初、もちろん夏冬大会含め日本初だったので、相当に用意周到で行われました。それから半世紀が経ち何世代も代わったことを忘れ、過去の大成功に変に自信を持ってしまったことが、何だか落とし穴のように感じます。メディアは古いことは知らず、プレオリンピックを行わないことに批判さえ出ません。さて2013年の招致から6年が経過し、あと1年を割っているにも関わらず、驚いたのは大会組織委員会・競技団体は、今になってごく基本的な改善点が初めて分かった、今なお大きな検討課題がいくつも残っていることに呆れます。今まで、何をやってきたのかと言いたいぐらい杜撰です。新聞数紙に載っていた、問題点の1つ1つを明らかにしていきます(マラソン・競歩は別号参照)。
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【
水質汚染】
▽オープンウォーター(お台場海浜公園)~「海水がトイレ臭い」など選手から悪臭を指摘
[組織委]対策なし
[競技団体]暑さや水温の高さについて、競技時間の繰り上げ検討。
<原因>お台場海浜公園は、通常から大腸菌・汚染(汚水)などの問題で一般者は遊泳禁止になっている。にも関わらず、ここでオリンピックの競技をすること自体が問題。
▽トライアスロン(お台場海浜公園)~上限の2倍を超える大腸菌検出・水質は最悪のレベル4
テスト大会は、「スイム」が中止となった。
[組織委]コースの外周に、ポリエステルの水中スクリーンを従来の1枚から三重にする対策を行う。
[競技団体]汚水に考慮して、競技日程や予備日の設け方を検討。暑さや水質悪化によっては「スイム」の中止、競技時間の繰り上げ検討、及び「ラン」の距離短縮を検討する。
<原因>競技の数日前に、台風が到来。東京23区の場合、大雨が降ると下水処理ができず、汚物が浄化されないまま河川や東京湾に流すため。(設備改善には10兆円を要す)
<元々の原因/オープンウォーターとトライアスロン>当初から台場は、台風に関わらず汚水が問題視されていた。そもそもの原因は、コンパクト五輪を掲げたことと、他に適切地があるにも関わらず「お台場」のネームバリューにこだわったため。
[投稿者]単刀直入に言えば、台場は競技をやる場所(海域)ではないのです。
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【
暑さ】
▽ビーチバレー(潮風公園)~暑さによる砂の温度上昇で選手に火傷の恐れ
気温に加えて、砂の熱さは相当なもの。選手に、氷水を掛けるシーンがあった。
[組織委]対策なし
▽ボート・カヌー(海の森水上競技場)~暑さ対策として観客席に人工降雪
[組織委]2トンの氷から雪を作り、観客席に数分間、雪を降らせた(実験結果は不明)
<原因>会場建設費が膨らんだため、一部のスタンドに屋根を作らず。しかし観客が強い日差しにさらされるので、その対策。
[投稿者]たった数分間なので、効果は懐疑的。1日、何回降らすのかは不明。結局、人工降雪は思い付きのような気がする。
▽総合馬術(海の森クロスカントリー)~馬も人間と同じで「熱中症」の恐れ
[組織委]対策なし
[競技団体]スタートを早めると、出場順によって日差しの角度の違いが大きくなり公平性がなくなるとして、現状維持の考え方を示した。
補足/人間以外で、オリンピックに参加できる動物が「馬」だ。馬は動物の中で、人間と同じように全身から多量の汗をかいて体温調節する。そのため、暑さに弱く、熱中症にもなりやすい。ある選手は、高温下では馬は反応が鈍って非常に厳しいコンディションと言う。
[投稿者]競技団体の説明で言うなら、馬の健康・安全面を全く考えていないことになる。
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【
雷・ゲリラ豪雨】
▽ゴルフ(霞が関カンツリー倶楽部)~雷・ゲリラ豪雨時、観客2.5万人収容は不可能
[組織委]仮設待機所や避雷針の増設検討、早めに避難誘導する。
[競技団体]20km圏内に落雷があれば中断する。
補足/そもそも屋外の一般イベントの場合は避難に時間が掛かることから、50km圏内の落雷を目安にしている。しかし大会はこの基準では、度々、競技進行がストップするため20km圏内としている。一方、現待機所は、選手や関係者の数百人程度の収容キャパしかない。仮設待機所の収容数を増加することは、今後検討するとしている。
[投稿者]仮設待機所の設置、既存の避難小屋や売店などに誘導しても、2.5万人が予想される観客人数の収容は、所詮、無理。最悪は落雷・大雨下にさらされ、言葉通り運を天に任す~生死を分ける立ち往生しかない。今から検討するとしていることに、またまた呆れる。雷・ゲリラ豪雨による避難対策が、全くなされていない。一方、埼玉県南部の川越市にあるので、かなりの高温地帯。熱中症の怖さはマラソンが注目されるが、ゴルフは競技時間が長いことから警戒すべき競技(観客も含む)。
■組織委・競技団体の無責任によって選手も観客も「命を失う」と覚悟したほうがよい
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夏のオリンピックは、暑さだけではなく、雷・ゲリラ豪雨、台風・強風などの対策が求められます。にも関わらず、多くの競技で全く対策なし、あるいはこれからの検討課題としていることに、選手(馬も)や観客への安全配慮がなされていないことが分かりました。当然、組織委や競技団体は日本人が主体の組織体なのに、基本として、真っ先に「天候・高温多湿」などの対策を完了していないのでしょうか。猛暑、災害や異常天候が多い“日本の天候事情”を把握せず、あまりにも安易に考えていることに「愚かさ」を感じました。役人体質ではアスリート優先の姿勢はないと思っていましたが、これほどまでに無責任・酷いとは・・・悲しさを感じます。運悪く当日の天候が乱れたら、失礼ながら選手も観客も「命を失う」と覚悟したほうがよいでしょう。それほど、夏の東京(関東近郊も含む)でオリンピックを行うことは「危険」なのです。