食品のカラクリと暮らしの裏側

食品の安全・安心が総崩れ、また政治・社会の矛盾や理不尽さも増大
暮らしの裏側の酷さやまやかし、危険性・不健全さに迫る!

ザハ氏への15億円のデザイン料を捨てても新国立競技場は堅実な設計にせよ/東京五輪の危うさR3-11

2021年04月18日 | 東京五輪の危うさ
Oiympictp2 少数派シリーズ/東京オリンピックの危うさVOL.35
ROUND3 新国立競技場 (ザハ・キールアーチ)編 11
ザハ氏への15億円のデザイン料を捨てても新国立競技場は堅実な設計にせよ

Jpn19631011_01 東京国際スポーツ大会切手のご案内 1963年発行

ブログを移転したため、投稿日と記事の日時・状況と整合性がありません。記事は2015年6月、旧ブログに投稿したものです。ザハ氏デザインによる新国立競技場案は、白紙撤回されました。アスリートファーストの尊重は微塵もなく、政治家・経済界・五輪関係者などは己の思惑・利益・保身のために、東京オリンピックの悪用が目に余ります。年月が経過しても、ブログにてその検証や事実を残しておく必要があると考えます。

ザハ・ハディド氏の新国立競技場のデザイン料は、何と15億円だそうです。それだけで、驚いてはいけません。「デザイン監修契約」という形態で、デザインそのものを描いただけの金額です。普通は土台・鉄骨構成などの建物全体の設計も含めますが、今回は受注した日本の請負会社が詳細に行うことになっているのです。デザイン画だけで15億円とは、世界絵画の巨匠並みです。正確には、応募規定が競技場、鳥瞰図、グランドから見た図のたった3枚のデザイン図だけが対象という甘いものでした。また選考委員には、大型競技場を設計した建築家も含まれましたが、結局、安藤忠雄氏という著名な建築家に引きずられ、建築が困難に近い設計だったことが無視されてしまいました。

15億円は大金(税金)であろうとも、この際、ザハ氏側へ契約解除を申し入れるべきです。日本人の設計者による作り慣れたデザインにして、早く・確実に設計にしたほうが得策です。1,625億円の半分以下で作れるので、15億円を棒に振っても結果的に大変な節約です。大会終了後に行う開閉式屋根設置と仮設席取り外しの改修工事に、別途600億円を要します。また維持費が年間46億円掛かり、全額をイベントで回収するプランに信憑性がありません。結局、数十億円×耐用年数50年分、計1,000億円以上を税金で補てんせざるを得ません。

森・大会組識委員長は、3,000億円どころか4,000億円掛かっても、立派な新国立競技場にしたいと発言し失笑を買いました。この男は、首相時から国民の気持ちが分らず、失言を繰り返し退陣させられたのに、いつまでもバカ癖は直りません。新国立競技場に、トータル5,000~6,000億円も掛ける意味はありません。これらは主に若い世代に、長い期間、ツケ(税金)として回されます。北京大会のメイン競技場は430億円、ロンドン大会は650億円なので、いかに莫大・バカげた金額かお分かりでしょう。

新国立競技場を管轄する文科省は、「設計をやり直すと間に合わない」 「お金がないから(現行ザハデザインを)やめたでは、IOCとの信頼関係が問題になる」 「ザハ氏と訴訟になる」として、現行のキールアーチデザインで建築することを表明しました。しかし槇文彦氏らの建築専門家グループは、日本の優秀な建築技術をもってしても、絶対、工期に間に合わないとしています。またIOCはとうに「お金の掛からないオリンピック」を目指しており、これにも逆行します。訴訟になっても、ザハ案を採用せずに数千億円少なくなれば国民への負担が大幅に減ります。政治家達の保身に、振り回されてはいけません。

新国立競技場建築の絶対条件は、デザイン性ではなくオリンピックに間に合わせることです。1度も建築経験のない設計で作ることになり、遅延・難工事の連続、最悪は事故・未完成が予想されます。今からでも、槇文彦氏らの堅実な設計にすべきと考える次第です。ここからは余談で、1964年の大会は既に早い時期に国立競技場は完成済でした。そのため前年の1963年には、東京オリンピックのリハーサルとも言える「東京国際スポーツ大会」(切手画参照)を開きました。海外からオリンピック並みの選手を招き、開会式や競技日程・運営も「本番」とほぼ同じにして、進行や不備を確認するほど万全を期しました。

切手のミス/小さくて分かりにくいのですが、右上・飛び込み選手の踵(かかと)と甲が、裏返し(反対)になっています。当時から話題になりましたが、1千万枚以上販売されたため、ミス切手でも価値が出ませんでした。

Tpjw06b3020228079

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ザハ案・新国立競技場のキールアーチ・タイバー工法を知れば巨額・困難なことが分かる/東京五輪の危うさR3-10

2021年04月17日 | 東京五輪の危うさ
Oiympictp2 少数派シリーズ/東京オリンピックの危うさVOL.34
ROUND3 新国立競技場 (ザハ・キールアーチ)編10
ザハ案・新国立競技場のキールアーチ・タイバー工法を知れば巨額・困難なことが分かる

Keel2 投稿者の模写画

ブログを移転したため、投稿日と記事の日時・状況と整合性がありません。記事は2015年7月、旧ブログに投稿したものです。ザハ氏デザインによる新国立競技場案は、白紙撤回されました。アスリートファーストの尊重は微塵もなく、政治家・経済界・五輪関係者などは己の思惑・利益・保身のために、東京オリンピックの悪用が目に余ります。年月が経過しても、ブログにてその検証や事実を残しておく必要があると考えます。

G320150529

「建築エコノミスト森山のブログ」(森山高至氏、1級建築士・建築エコノミスト)による、前号と今号の2回に分けた後半、ザハ案の建築上、構造上の困難さを説明します。キールアーチ(keel arch)と言われる構造は、どんなものなのでしょうか。キールとは、船底の中央を走る主骨格をなす竜骨と言われるものです。船底をひっくり返して、竜骨を2本付けたものが新国立競技場のデザインです。「弓」をイメージしたら、分かりやすいでしょう(上図・下図参照)。全国の橋梁に採用されていますが、建築物として370mの長さは適正規模を超えています。2本の鉄骨の重さが3万トン、断面積は住宅の2LDK相当にも及びます。自重でたわんだり、地震や風雨などの振動を受けやすい欠陥を持っています。そのキールアーチと客席上の屋根を繋ぐことは、極めて不安定なことと容易に分かります。

弦(つる)がない弓の中央を上から押したら、両端が広がろう(弓状から棒状へ・上図の赤い部分)とします。3万トンのキールアーチと屋根部の重さによって、370mのアーチの両端には想像を超える力が掛かります。基本の工法では、北側に60mしか離れていない都営地下鉄・大江戸線の国立競技場前駅をキールアーチが貫通してしまうので採用できませんでした。東京の東部一帯は、高いビル10Fに相当する軟らかい堆積層が30m積もっています。その層の中に、キールアーチを埋設しただけでは用をなしません。30m下の固い岩盤奥深くへ、直接、巨大な基礎杭を打ち込む必要があったからです。

G3820150531 既出/新国立競技場のジオラマ

やむなくさらに多大な費用が掛かる、「タイバー(tie bar)工法」(アーチタイ)をせざるを得なくなりました。タイバーとは土木用語で、“連結(結束)する棒”の意です。キールアーチとその両端を繋ぎ、鉄筋コンクリートのタイバーを骨組みします。骨組み全体をグランド下の地下30mに埋設、固い岩盤と結合させて固定します(同じく上図の赤い部分・水平の箇所)。鉄筋とコンクリートのタイバーだけで、27,000トンもあるのです。そのためグランドや施設があった部分の土砂を、地下30mまで掘り下げます。その残土は78万立方メートルに及び、延べ12~14万台分の大型トラックの搬送に相当します。

最後が杭問題で、30m掘り下げる工事は、ただ土砂を取り去るだけではないのです。旧・国立競技場建築時に、地表面から固い岩盤へ打ち込んだ、30m以上の杭を1本1本抜く必要があります。その数が5,000本、ひょっとしたら1万本あるとも言われています。これだけでも、相当な工事期間を要します。キールアーチなんて馬鹿なデザインを採用した結果、“ムダ”が“ムダ”を呼ぶ構図そのものです。大多数の専門家の意見は、ラグビーW杯どころか、東京オリンピックの開催に間に合わないとのことです。一般的な競技場デザインなら、こんな意味のない工事はせずに早く完成できるのです。

新国立競技場の建築費2,520億円は、飽くまでも「目標工事費」であり、上限額ではないのです。従って建築が進むにつれて、次々と工費が膨らむことは間違いありません。“今のところ”、2,520億円なのです(笑)。キールアーチは単なる競技場デザインのためであって、一般的な競技場なら一切必要ないものです。キールアーチを含んだ屋根の部分を竹中工務店、スタンド部分を大成建設が受け持ちます。“国家プロジェクト”として、工期短縮を目指し強行突破の突貫工事が待っています。社長は受注して大喜びでも、無理な工事を指示すれば多くの現場作業員が事故死するのです。

Tpjw06b3020228079

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

難航必至!ザハ案の新国立競技場は370mの巨大アーチ橋を架けることと同じ構造/東京五輪の危うさR3-9

2021年04月17日 | 東京五輪の危うさ
Oiympictp2 少数派シリーズ/東京オリンピックの危うさVOL.33
ROUND3 新国立競技場 (ザハ・キールアーチ)編 9
難航必至!ザハ案の新国立競技場は370mの巨大アーチ橋を架けることと同じ構造

G3820150531 新国立競技場のジオラマ

ブログを移転したため、投稿日と記事の日時・状況と整合性がありません。記事は2015年6月、旧ブログに投稿したものです。ザハ氏デザインによる新国立競技場案は、白紙撤回されました。アスリートファーストの尊重は微塵もなく、政治家・経済界・五輪関係者などは己の思惑・利益・保身のために、東京オリンピックの悪用が目に余ります。年月が経過しても、ブログにてその検証や事実を残しておく必要があると考えます。

G320150529

「建築エコノミスト森山のブログ」(森山高至氏、1級建築士・建築エコノミスト)・その他を参考にして、私なりに考えをまとめました。今号と次号の2回に分けて、ザハ案の建築上、構造上の困難さを説明します。“アンビルトの女王”のデザイン通りの新国立競技場を作ろうとすれば、建物や屋根を支え主要骨格を為す、キールアーチと呼ばれる船底の骨格を表す弓形の巨大なアーチ状の鉄骨(梁・はり)を2本架ける必要があります(上記画像)。神宮の森に、長さ370m(何割かは地中に埋め込む)、幅100m弱、高さ70mの巨大橋梁を架けることなのです。骨格だけで何と3万トンもの重量を要し、東京スカイツリーの半分、東京タワー8本分にも及びます。キールアーチ断面の面積は、2LDKに匹敵します。専門家は、もはや建築物ではなく土木工事だと言います。これではいくらお金があっても足りず、工期も間に合わず長期化するのは当然です。

どれほどの大きさ(愚かさ)かを比較するため、アーチ型の2つの橋を例にします。関西の方に分かるように大阪・夢舞大橋を、関東の方には隅田川の永代橋と比べました。夢舞大橋は、構造的にも税金の無駄遣いと言われた巨大橋です。アーチ状の部分だけでも長さ280m(全長877m)、幅は34mです。新国立競技場は、アーチ状の部分で見ると、夢舞大橋の1.4倍の長さです。但し幅は、新国立競技場のほうが3倍の100m弱もあります。一方、永代橋はアーチ部分を見ると100m(全長185m)、幅22m、橋の高さ15mです。同競技場は、永代橋の3倍以上の長さ・幅4倍・高さ5倍に相当する巨大さです。もしどちらかの橋が見られる所に行かれた方は、370mのザハ巨大アーチ橋を想像して下さい。

私は門外漢なのでいい加減な比較でしたが、しかし、いかに巨大で現実離れした建築物(土木工事)であることは理解して頂けたと思います。巨大橋梁の場合、別の場所で組み立て極めて大きな浮き船(台船)で水上(海上)輸送します。そして巨大なクレーン船で、吊り上げて設置します。しかし“陸地”の神宮に、どうやって運ぶのでしょうか。もちろん分解して持ってくるのでしょうが、多数の巨大クレーン・トラック・作業車も含め、神宮周辺の道路・地理的条件から並大抵のことではありません。神宮に限らず、そう簡単に都内の道は運べません。だから専門家は、屋根がなくても建物本体を2019年春までに完成させるのは、不可能と言っているのです。

2本の骨格は、自重でたわみ・振動します。その上に自動開閉式屋根を取り付けるなんて、狂気の沙汰です。そうでなくても異常気象が顕著化し、暴風雨や大雪・雹(ひょう)、大きな地震等で屋根の落下の恐れもあります。天井部の屋根を開く際は折り畳んで収納するようですが、業界団体が反対しています。強度や技術的に、問題が山積なんでしょう。現在の技術では、屋根の樹脂が7~10年しか持ちません。このようなことから、災害時・地震時の避難場所や対応場所に使えないのです。なおサッカー・豊田スタジアムは、開閉屋根の管理・維持費が今後10数年で109億円掛かるとして、これからは開け放しのまま使用するそうです。

2020年の大会以降に行う開閉式屋根の取り付けと仮設席の取り外しなどの改修工事に、別途600億円を要すとのことです。馬鹿としか、言いようがありません。横浜の日産スタジアムは、7.2万席・総工費600億円だったので、新国立競技場は改修費だけでそれと同額です。「見て呉れだけの悪女(新国立競技場案)」に惚れて貢いでも(べらぼうな予算)、棄てられる(失敗)だけです。白紙に戻し一般的な競技場デザインにすれば、牛丼屋ではありませんが“早く・安く・上手く”でき上がります。それが、賢いやり方です。政治家連中の面子とやらに付き合っていると、東京オリンピックは成功しないでしょう。

Tpjw06b3020228079

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ザハ案・新国立競技場問題の発端はデザイン選定時の安藤忠雄氏の強引さにあった/東京五輪の危うさR3-8

2021年04月17日 | 東京五輪の危うさ
Oiympictp2 少数派シリーズ/東京オリンピックの危うさVOL.32
ROUND3 新国立競技場 (ザハ・キールアーチ)編8
ザハ案・新国立競技場問題の発端はデザイン選定時の安藤忠雄氏の強引さにあった

Wjpn19631111_02オリンピック募金切手のご案内・第5次(馬術) 1963年発行

ブログを移転したため、投稿日と記事の日時・状況と整合性がありません。記事は2015年7月、旧ブログに投稿したものです。ザハ氏デザインによる新国立競技場案は、白紙撤回されました。アスリートファーストの尊重は微塵もなく、政治家・経済界・五輪関係者などは己の思惑・利益・保身のために、東京オリンピックの悪用が目に余ります。年月が経過しても、ブログにてその検証や事実を残しておく必要があると考えます。

■新国立競技場の建て替えに際するコンペの条件
新国立競技場問題における政治家の介入、文科省・JSC(スポーツ振興センター)の無能ぶりに呆れました。しかしそもそもの発端は、デザインの応募基準の曖昧さ、デザインと予算の乖離、デザイン選定のコンペの在り方(安藤忠雄氏の強引さ)に問題があったと判断します。そこで調べた結果、分かる限りデザイン選定コンペの経緯をお伝え致します。

JSCより提示された、新競技場に対する4つの設計条件と2つの応募条件
設計条件
(1)8万人の観客を収容
(2)2019年のラグビーW杯の開催に間に合わせる
(3)スポーツ以外にも利用できる可動式の屋根設置
(4)総工費は1,300億円
応募条件
①国際的な建築賞の受賞経験があること
②15,000人以上のスタジアム設計実績があること

■デザイン選定コンペの経緯~最終的には安藤審査委員長が決定
国立競技場は、東京オリンピック招致前から建て直しの計画がされていました。2012/10に1次審査が行われ全応募46作品から11作品に、そして翌月の2次審査で3作品に絞り込みました。作品画像がご紹介できないのでイメージが湧きにくいのでしょうが、残った3作品は、①ザハ案 ②オーストラリア人デザイン(スケルトン調) ③日本人デザイン(神宮の森との調和)でした。

最終審査は意見が分かれたため、審査員各自が1位と思うデザインを投票した結果、10人の審査員はザハ4票、オーストラリア3票、日本3票の僅差でした。ダントツ者がいないため、ポイント制(1位3点・2位2点・3位1点)による“プレーオフ投票”したところ、何と3作品全てが19ポイントの同点になってしまったのです。恐らく一部の順位に、記入しない審査員がいたと見られます。またザハ案は、1位に上げる審査員と最下位(3位)にした審査員に、大きく2分したそうです。

そこで審査委員長の安藤忠雄氏の判断に委ねられ、ザハ案が圧倒的に良いと主張する委員長の権限で決定したものです。審査の途中で、数人の建築家からザハ案では「工期やコストが掛かる意見」が出ていたそうですが、無視されてしまいました。以上が、デザイン選定コンペの経緯です。

■安藤氏に予算や職業意識があれば新国立競技場問題は起きなかった
2013/3、ザハ氏を招いたコンペ表彰式の挨拶で、安藤氏は「無理を承知の部分もある」と発言。その後も「デザインを選んだと同時に、ザハという人間を選んだ。この人を外さないことが必要」と語ったそうです。これ自体が審査委員長として、権限を越える強引な態度、選定コンペの趣旨を逸脱するものです。ここまで言ったにも関わらず、その後予算の膨大化が問題になった直後の記者会見では、「審査委員会は、デザインを選ぶところまで。コストの議論はしていない。こんな巨額になるとは、僕のほうがビックリしている。」と開き直りました。

記者に無責任さを突っ込まれると、「こんな大きいもの作ったことがありませんからね」と言い出す始末。自己弁護すればするほど、安藤氏は「自分が無能」であることを曝け出してしまいました。審査中に、他の建築家から「工期やコストが掛かる意見」が出ていたことを知っていた訳です。また安藤氏は建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞し、数々の作品を生んだ実績がある人間です。そうであるならば、ザハ案は作りにくい・予算が掛かることは百も承知のはずです。「ザハという人間を選んだ」という発言は、“アンビルトの女王”~巨額・“建てられなかった事案”が多いことも知っていたはずです。政治家・オリンピック関係者の態度と同様に、発言が二転三転しており、責任逃れ・責任の押し付けは見苦しいと思います。

責任ある建築家なら、審査の時点で言われなくても職業意識を働かせ、自らコスト性や建築の可能性(作りやすさ)を確認したでしょう。彼にもう少し「予算の意識」 「職業意識」があれば、確実に予算の範囲内で作れる案を選び、その後の新国立競技場問題は起きなかったと判断します。なお現代の最先端を行く建築家は、「21世紀のデザインは『自然と共生』を考えるのが潮流だ」としています。にも関わらず、今になっても「自然を超越する」対象として捉える、20世紀的モダニズムの典型的なデザインをするザハ氏、それを選んだ日本の建築家の体質が古いとしています。

Tpjw06b3020228079

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新国立競技場に「アンビルトの女王」ザハ・ハディド氏のデザインを選んだ愚かさ/東京五輪の危うさR3-7

2021年04月16日 | 東京五輪の危うさ
Oiympictp2 少数派シリーズ/東京オリンピックの危うさVOL.31
ROUND3 新国立競技場 (ザハ・キールアーチ)編 7
新国立競技場に「アンビルトの女王」ザハ・ハディド氏のデザインを選んだ愚かさ

Jpn19641010_03 東京オリンピック大会記念切手のご案内・代々木競技場 1964年発行

ブログを移転したため、投稿日と記事の日時・状況と整合性がありません。記事は2015年5月、旧ブログに投稿したものです。ザハ氏デザインによる新国立競技場案は、白紙撤回されました。アスリートファーストの尊重は微塵もなく、政治家・経済界・五輪関係者などは己の思惑・利益・保身のために、東京オリンピックの悪用が目に余ります。年月が経過しても、ブログにてその検証や事実を残しておく必要があると考えます。

新国立競技場は、当初の斬新なザハ氏デザインも3,000億円もの建設費が掛かることから、石鹸箱をひっくり返したようなデザインに変更されました。にも関わらず今度は自動開閉式屋根が、東京オリンピックに間に合わず取り止め(大会後の2021年以降に設置)となってしまいました。一連のゴタゴタ・二転三転の愚かさは、一部の建築家やオリンピック関係者が「アンビルトの女王」(実現しなかった建築物や実際に建設されないことの意)と言われるザハ・ハディド氏のデザインを選んだことに起因します。最初のボタンの掛け違いが、今後の東京オリンピック全体の方向性を危うくしています。

ザハ・ハディド氏はイラン出身、建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を、女性初・最年少で受賞した建築家です。国際的な建築設計のコンペで優勝するものの、前衛的、あまりに斬新なデザイン故に、設計・建築の困難さ、費用の大きさなどから、実際に完成をみないまま立ち消えになってしまうことが多い建築デザイナーです。そのため、「アンビルト(unbuilt)の女王」の異名を持ちます。私は、彼女のデザイナー性を批判しているのではありません。なぜ彼女の経歴・いきさつを知りながら選んだのか、コンペの選定に加わった日本のオリンピック関係者や建築家を批判しているのです。

建築家なら、彼女のデザインによる建築がいかに難しいか、そして数々の建築が完成できなかったことを認識していたはずです。選定した責任(誤り)は、実に大きいと思います。①彼女の完成し得た建築物の中には、新国立競技場ほどの大規模な建築は成されていない ②オリンピックの日程が決まっている以上、建築期間の延期が不可なこと ③世界のビッグイベントとして、絶対、失敗が許されないことです。しかしプリツカー賞を受賞したある日本の建築デザイナーが選考を主導したために、予算や神宮の環境などを全く考えない、世間知らずの案になったのです(アンビリーバボー)。

もう1つ選考基準の中に加えられていなかったのが、「日本は世界有数の地震国」だということです。情けないことに、当の日本人(建築家)が忘れていることです。ただでさえ作れない・作りにくいデザインの上に、日本は地震に対する厳しい耐震強度の基準があり、諸外国とは違うのです。やったことがない建築技法のため、様々な強度実験や各種の試験を繰り返しながら進める必要があり、結果、日程が間に合わなくなったのです。建築デザイナーと実際の建設者は競争の立場にあり、いかにデザイン通りに作るかが求められることは理解します。しかし逆のことを言えば、いかに斬新なデザインでも現在の建築工法で作れないものは、未来空想図や幼稚園児のクレヨン画と同じです。

そんなデザインに飛び付いた、選考委員やオリンピック関係者の行動が許せませんね。政治が軽はずみ・浮ついているから、そんなことになるのです。まあ考えようによっては、2019年春までに作ればいいのです。この際、彼女のデザインから離れて、作りやすい案、安全な建築の観点から再選考したらどうでしょうか。多数の会場の変更でつまずき、新国立競技場も先行き不安な状態です。重要な「最初の一歩」で転んでしまったので、取り戻すには並々ならぬ対応が必要です。政治家のためではなく、経済界のためでもなく、誰のためのオリンピックかを考えれば、よりよい方向が見出せます。

Tpjw06b3020228079

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ザハ案・新国立競技場を毎月満席にできるのはポール・マッカートニーとAKBだけ/東京五輪の危うさR3-6

2021年04月16日 | 東京五輪の危うさ
Oiympictp2 少数派シリーズ/東京オリンピックの危うさVOL.30
ROUND3 新国立競技場 (ザハ・キールアーチ)編 6
ザハ案・新国立競技場を毎月満席にできるのはポール・マッカートニーとAKBだけ

Wjpn19621010_03オリンピック募金切手のご案内・第3次(フェンシング) 1962年発行

ブログを移転したため、投稿日と記事の日時・状況と整合性がありません。記事は2015年5月、旧ブログに投稿したものです。ザハ氏デザインによる新国立競技場案は、白紙撤回されました。アスリートファーストの尊重は微塵もなく、政治家・経済界・五輪関係者などは己の思惑・利益・保身のために、東京オリンピックの悪用が目に余ります。年月が経過しても、ブログにてその検証や事実を残しておく必要があると考えます。

■ロンドン五輪もザハ氏デザインの青いクジラを採用したら当初予算の4倍に
今号は一挙、過去のアンビルト、開閉式遮音装置、ラグビーW杯について検証します。2012年・ロンドンオリンピックでも、ザハ氏デザインの競泳会場が、当初予算の4倍になった事実です。現地組識委員会が、ロンドンは安心さはあるが真新しさに欠けると心配し、招致の際に大会の象徴として、斬新なザハ氏のデザインを提案しました。それが“青いクジラ”と言われる、流線形(流体)を基調にしたアクアティックスセンターです。しかし当初146億円がその後も膨らみ続け、ザハ氏にデザイン変更の依頼をしたが、結局、完成時は4倍近くの543億円にも膨れ上がってしまったのです。

日本の新国立競技場もザハ氏に騙されたというか、全く同じ過ちを繰り返しました。曲線を使ったデザインは、建て難く高く付くと思いますね。ただロンドンの賢いところは、大会時17,500人の席(ほとんどが仮設席)を、終了後は市民プールとして使うために、2,500人に縮小できる設計をしたことです。一方、新国立競技場は8万人を対象にして、陸上競技の他にラグビー・サッカー、さらにコンサート会場にするため、巨額の費用が掛かり、大会終了後、肝心の市民が使えないことになるのです。既号のように1つの器(競技場)を何通り(多目的)にも使うことは、現代のスポーツ事情からみて時代遅れの考え方です。

■気の毒でもポールとAKBには毎月コンサートを開いてもらうしかない
開閉式屋根は、正しくは「開閉式遮音装置」と言うそうです。その屋根によって陽が遮られグランドの芝が痛むため、夏期5か月は養生のためイベントはできません。しかし計画案では、コンサートを年12回(残り7か月間に)開く計算です。8万席の会場に数万人程度の客を集めても、却って空虚感が出るためそもそも企画されません。確実に満席にできるミュージシャンといえば、P.マッカートニーとAKB48だけです。ポールは生涯、AKBはオバサンになるまで、双方とも年6か月間、毎月、開くしかないのです(笑)。屋根設置は2021年以降なので、失礼ながらお二方はどうなっているか分かりません(苦)。

[参考]極端な言い方でしたが、7万人収容ができる横浜競技場のイベント例を載せます。2010年・EXILE XJAPAN、12年・矢沢永吉、13年・AKB48、14年・ももクロZ、15年・SEKAI NO OWARI 福山雅治です。ごく限られたミュージシャン、それも全体で年間1、2回開くのが限界です。新国立競技場なら騒音が解消できるとしていますが、そういうことではなく年間12回のコンサート案がいかに嘘かお分かり頂けます。

机上案のコンサートために、300億円の税金を使って屋根を付けるのは罪悪です。音響のよい一般会場、大規模にやるなら武道館・球場など、身の丈にあった場所で開いたほうが、アーティスト本人やファンのためにもよいでしょう。新国立競技場設置の有識者会議のメンバーである、山口百恵やヒット曲を連発した作曲家・日本音楽著作権協会の都倉俊一会長は、コンサートには屋根が必須と発言したそうです。この方も歳を食い、ボケましたね。「アーティストのことを考え、こんな場所にお金を掛けるより、各地に大勢集められる会場を設置して」と要望するのが、音楽界の重鎮でしょう。

■森・元首相自身のラグビーへの挫折を払拭するための新国立競技場
新国立競技場問題には、必ず2019年・ラグビーW杯の話が付いて回ります。それは大会組識委員会会長が悪名高い森・元首相であり、それまで10年以上「日本ラグビーフットボール協会」の会長をしていたからです。森氏がラグビーW杯を招致し政治家としての影響力、安倍首相の顔色を恐れる文科省の大臣や役人では、畏れ多くて様々なことが決められません。そこが、新国立競技場騒動の根幹です。森氏は政治的根回しばかりで、リーダー性を発揮しないのは怠慢です。フットワークが悪い人間がトップにいる限り、周りは動くに動けず今後も重大な場面で遅れが出ると思われます。

森氏は、早大時代にラグビーを志しながら挫折しました。そのためラグビーへの思い入れが強く、ラグビー組識への影響力を強めていきました。基を言えば旧国立競技場を建て直すことになったのは、オリンピック招致以前に、日本でのラグビーW杯のためです。そのため森氏は、新国立競技場は4,000億円掛かってもよいと発言し物笑いになったのです。自身のラグビーの挫折を払拭するために、大事な国民の税金を使うなよ! ラグビーW杯は、新国立競技場では開幕戦(開会式)と決勝戦しか使われません。今から横浜競技場へ変更しておくのが、身のため・ファンのためです。

Tpjw06b3020228079

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ザハ案の新国立競技場の開閉屋根は東京オリンピックに間に合わず大会後に建設/東京五輪の危うさR3-5

2021年04月16日 | 東京五輪の危うさ
Oiympictp2 少数派シリーズ/東京オリンピックの危うさVOL.29
ROUND3 新国立競技場 (ザハ・キールアーチ)編 5
ザハ案の新国立競技場の開閉屋根は東京オリンピックに間に合わず大会後に建設

Jpn19641010_02 東京オリンピック大会記念切手のご案内・日本武道館 1964年発行

ブログを移転したため、投稿日と記事の日時・状況と整合性がありません。記事は2015年5月、旧ブログに投稿したものです。ザハ氏デザインによる新国立競技場案は、白紙撤回されました。アスリートファーストの尊重は微塵もなく、政治家・経済界・五輪関係者などは己の思惑・利益・保身のために、東京オリンピックの悪用が目に余ります。年月が経過しても、ブログにてその検証や事実を残しておく必要があると考えます。

東京オリンピック開閉会式やメイン競技が行われる、ザハ案による新国立競技場。その自動開閉式屋根が、費用や工期の関係からオリンピック大会時までに設置できないことが発表されました。お粗末なことに、競技場のウリだった開閉式屋根は大会終了後の2020年以降に設置するそうです(嘲笑)。かねてからオリンピック計画そのもの、新国立競技場を始めとする会場全般について、杜撰過ぎると申し上げてきました。いやはやその見込みの甘さ、いい加減さに呆れるばかりです。何やってんだ!と、言いたいぐらいです。こんなことでは、大会が成功するか疑問に思えてきました。

また15,000席収容・電動可動式の迫り出す観客席も取り止め、仮設に変更されます。大会時は8万人規模ですが、終了後は仮設席を取り外し常設は6.5万人に縮小されます。当初予算は1,300億円としていましたが、建設資材や人件費の高騰どころではなく、このままではべらぼうな金額が掛かることが判明したからです。完成は、2019年9月のラグビー・ワールドカップに間に合わせるとしていました。しかし新国立競技場の極めて特殊なデザインによる建設や当初計画では長期に渡ることから、2019年春までに屋根を含めた全体完成は不可能とされたことが、計画縮小の主原因です。

以前から建築家は、工期が間に合わないことを指摘していました。全国にある競技場の建設は、長年のノウハウが蓄積しており、一定期間、そこそこの予算で可能です。しかしデザイン性に基づく建設の困難さ、あれほど大規模な開閉式屋根の工法技術はまだ確立していないのです。設計・建設以前の問題として、様々な強度実験や試作を繰り返さなければなりません。細かい部品を、一から開発することもあり得ます。また8月の猛暑中、グランド面積に匹敵するほど天井が大きく開いた建築構造だけに、冷房の冷気が逃げてしまい、風通しも悪いため選手・観客の熱中症が心配されます。

建設業界では今回の縮小案でも、競技場本体の完成がラグビーW杯さえ間に合わない声が出ています。オリンピック招致成功に浮かれ、ろくに技術検証もせず、また当初予算の大盤振舞など、計画や予算の甘さのツケが回ってきたようです。日本人の性格から見て、オリンピックが終われば熱気が冷め、その後に莫大な金が掛かる開閉式屋根を作る機運があるか疑問です。さらには大会後も維持費は毎年46億円も掛かり、許される背景があるとも思えません。開催各国のすう勢は、大会後は競技場を市民が使えるように改築小型化します。日本は、呆れたことに逆なのですね。

旧・国立競技場は既に解体されてしまいましたが、建築家は取り壊し以前から既存の国立競技場を補修・増築すれば、1,625億円の半分から1/3でできるとしていました。さすが建築家は、浮かれることなく現実を見ています。1964年の大会は、日本人の生真面目さによって世界が驚くほど完璧に大会を成し遂げました。しかし安倍首相の前ノメリ・上っ調子、無節操ぶりと同じことがオリンピック計画にも言えます。首相が言う「国家プロジェクト」でも、こんなことでは『大失敗』する恐れもあります。

Tpjw06b3020228079

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

将来、異常気象の大雪によってザハ案の新国立競技場の屋根が落ちる恐れが/東京五輪の危うさR3-4

2021年04月15日 | 東京五輪の危うさ
Oiympictp2 少数派シリーズ/東京オリンピックの危うさVOL.28
ROUND3 新国立競技場 (ザハ・キールアーチ)編 4
将来、異常気象の大雪によってザハ案の新国立競技場の屋根が落ちる恐れが

Wjpn19620623_03オリンピック募金切手のご案内・第2次(体操) 1962年発行

ブログを移転したため、投稿日と記事の日時・状況と整合性がありません。記事は2014年12月、旧ブログに投稿したものです。ザハ氏デザインによる新国立競技場案は、白紙撤回されました。アスリートファーストの尊重は微塵もなく、政治家・経済界・五輪関係者などは己の思惑・利益・保身のために、東京オリンピックの悪用が目に余ります。年月が経過しても、ブログにてその検証や事実を残しておく必要があると考えます。

当初の設計では、大雪過重でザハ案による新国立競技場の開閉式の樹脂の屋根が落下することが判明したのです。JSC(日本スポーツ振興センター)は慌てて、電気ヒーターによる融雪装置を設置する設計変更しました。しかし度々起こる想定外の異常気象による「大雪」が降れば、対応できるか分かりません。万が一、観客動員中に大雪の重さで屋根が落下したら、大惨事になることが懸念視されています。また最新技術の樹脂であっても、強度的に7~10年しかもたないことが指摘されています。

競技場は、地上6階、地下2階、延べ面積21万㎡、スタンドは3層になる設計です。斬新といえば聞えが良いが、裏返せば複雑な会場設計、客席は最大70mもの高さや急勾配です。それが“あだ”となり、専門家は今から、災害時に大勢の観客の誘導は十分にできないと言っています。デザインにこだわるため、火災時・災害時の危険性が大きい新国立競技場の設計なのです。世の中は節電方向へ動いているのに、通常も多大な電気を必要とする新国立競技場は、受け入れがたいでしょう。

そもそも世界のスポーツ界は、陸上競技・サッカー・ラグビー(アメフト)など、別々の競技場で行うのが潮流です。ヨーロッパや中米のサッカーを見れば、ご理解頂けます。それと逆行し陸上競技もサッカーもラグビーもコンサートもやる、「多目的」な新国立競技場の使用案は時代遅れです。“多目的は無目的”なことで、どっちつかずの中途半端な仕様は、いかなる競技団体からも不満・不十分感が残ります。街の公民館などと同じく、多目的使用の作り方は貧乏だった半世紀前の発想です。

北京大会のメイン会場、通称“鳥の巣”はたまにコンサートに使われるものの、スポーツ大会の開催は全くなく、まさしく“閑古鳥”が鳴く状態です。一方、ロンドン大会の多くの競技場は、大会後は大幅に取り外しができるような設計をしました。現在はこじんまりとした施設に改造され、市民のスポーツの場になっているそうです。西洋人は、合理性・割り切り方がしっかりしています。日本は人口が減っていき、若者層への税金負担が加速化するのですから、新国立競技場案は無駄です。

Tpjw06b3020228079

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ザハ案の新国立競技場の年間維持費は46億円、大半は税金で補てんすることになる/東京五輪の危うさR3-3

2021年04月15日 | 東京五輪の危うさ
Oiympictp2 少数派シリーズ/東京オリンピックの危うさVOL.27
ROUND3 新国立競技場 (ザハ・キールアーチ)編 3
ザハ案の新国立競技場の年間維持費は46億円、大半は税金で補てんすることになる

Wjpn19630623_02オリンピック募金切手のご案内・第4次(ボクシング) 1963年発行

ブログを移転したため、投稿日と記事の日時・状況と整合性がありません。記事は2014年12月、旧ブログに投稿したものです。ザハ氏デザインによる新国立競技場案は、白紙撤回されました。アスリートファーストの尊重は微塵もなく、政治家・経済界・五輪関係者などは己の思惑・利益・保身のために、東京オリンピックの悪用が目に余ります。年月が経過しても、ブログにてその検証や事実を残しておく必要があると考えます。

新国立競技場の建設費は、低く見積っても2,520億円は要するとお伝えしました。しかし費用は、それだけに留まりません。年間の維持管理費が、46億円も掛かり続けるのです。因みに、従来の国立競技場の維持費は4億円でした。建替え計画を進めるJSC(日本スポーツ振興センター)は、年間、50億円の会場収入が見込まれるから4億円の利益が出ると自慢しています。果たして、そうでしょうか? 46億円の支出に対して、見え透いた辻褄合わせの収入源の提示に無責任さ感じます。

新国立競技場の収入内訳は、企業の展示会やイベント・14億円、年間シート契約・12億円、コンサート12億円、その他12億円としています。開催種類は、サッカー20日、陸上競技11日、ラグビー5日、コンサート12日を主体に、年間48~57日の使用を見込んでいます。陸上・銅メダリストの為末 大氏によると、8万人規模で陸上競技をする大会はオリンピックや世界陸上など、世界でも年1~2回程度と言っています。またスポーツの振興に、寄与しないとも付け加えていました。

コンサートでも、8万人を動員できるアーティストはどれだけいるのでしょうか? 特にコンサートの場合は空席が目立つと、観客は興ざめし主催者側もイメージが悪くなるので、使いづらいのです。それが計画では毎月1回開くとしているため、これだけ見てもJSCの計画に信憑性はありません。スポーツやイベント会社によると、従来よりも10倍も掛かる維持管理費によって、重い利用料負担が考えられ、ますます新国立競技場で開催する団体が少なくなるとしています。

維持管理費が高くなる理由は、オリンピック後に取り付ける開閉式屋根の維持費です。またサッカーなど1回・数千万円や1億円ともいわれるピッチの芝の張り替えを、年2回するとしています。その他、下記のような設備、メンテナンス費用も挙げられます。収入名目から見て確実に収入を得られるものでもなく、実際には年間数十億円もの大幅な赤字と推定されます。半世紀に渡り赤字は税金で補てんされ、若い世代の“ツケ”になることを知っておいて下さい。

Tpjw06b3020228079

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

神宮の森にザハ案の莫大な2,520億円を掛けた新国立競技場はいらない/東京五輪の危うさR3-2

2021年04月15日 | 東京五輪の危うさ
Oiympictp2 少数派シリーズ/東京オリンピックの危うさVOL.26
ROUND3 新国立競技場 (ザハ・キールアーチ)編 2
神宮の森にザハ案の莫大な2,520億円を掛けた新国立競技場はいらない

Jpn19640909_01 東京オリンピック大会記念切手のご案内・聖火台 1964年発行

ブログを移転したため、投稿日と記事の日時・状況と整合性がありません。記事は2014年11月、旧ブログに投稿したものです。ザハ氏デザインによる新国立競技場案は、白紙撤回されました。アスリートファーストの尊重は微塵もなく、政治家・経済界・五輪関係者などは己の思惑・利益・保身のために、東京オリンピックの悪用が目に余ります。年月が経過しても、ブログにてその検証や事実を残しておく必要があると考えます。

新国立競技場の問題は、自然豊かな神宮の森の環境破壊の他に、2,520億円もの莫大な予算を必要としている点です。当初は1,300億円のデザインプランが、その後3,000億円に増大。“あまりにも度が過ぎる”との国民の批判を食らい、慌てて大幅な見直した結果、1,625億円に修正されました。しかし、それではできないとして、2,520億円になったのです。私達の大事な税金が投入される訳で、「無駄遣い」と言えます。IOC自体が、オリンピック開催都市は、既存の競技施設を最大限に利用すべきと言っているのですから。

建設界のノーベル賞やアカデミー賞といわれる「プリツカー賞」を受賞した伊東豊雄氏によると、旧・国立競技場を改修すれば、8万人の収容が得られた上に、景観が守られる、新国立競技場予算の半分から1/3程度で十分できるとしていました。同じ競技場で再びオリンピックを開いたのは、1932年と1984年のロサンゼルスオリンピックだけです。伊東氏は、1964年から半世紀を経て、同じ競技場で開けば、海外から「日本は極めて平和な国」「伝統を大切にする民族」と評価されると主張します。

国は東日本大震災の復旧・復興もなおざりにして、やれ景気回復・株高上昇・消費税アップと、被災者のみならず大勢の国民の生活を脅かしています。オリンピック工事・東京一極化によって、物価や建設者の賃上げが急上昇して、ますます大震災の復旧・復興が進まないのです。今後、全体のオリンピック工事が進めば、新国立競技場は、到底、2,520億円では済みません。本(もと)は税金なので、建設業者も足下を見て総工費を吊り上げるいつものパターンでしょう。

当初計画に対してその後に段々と工費をアップさせるのが、建設業者の常套手段です。オリンピック全体の予算のページでも申し上げましたが、建築物やイベントなどの費用は完成近くになるに伴い、主催者側も必ずどさくさ紛れの大盤振舞を行い、かなり膨らんでいくのが世の常です。さらに今回のように新しい工法であれば、途中で設計変更、追加工事が余儀なくされます。世界的に、あれほどの規模の建築物は作ったことがないのです。トラブル・設計変更で、さらに予算の上積みは必至と思われます。

ロンドン大会では一時的なオリンピックに対し、仮設や設計段階で大会終了後は会場の縮小や改修できる構造にしたそうです。東京オリンピック後も新国立競技場だけで、年間の維持費が数十億円も掛かります。大会の会場全体では、数百億円のベースです。数十年から半世紀にも渡り、子供達や孫世代が税金負担をしていかねばならないのです。もう20世紀型の“ハコモノ”(負の遺産)に価値を求めるのではなく、次世代のためにどう税金を使うべきか、今度の東京オリンピックが試されます。

追記と修正2015.7現在 競技場本体価格は、現時点で2,520億円です。過去に作ったことがない建築方式なので、最終的にさらなる高騰は必至です。但しこれだけに留まらず、オリンピック終了後に施工される開閉式屋根の取り付け費300億円を含めた改修工事に600億円、その他、例えば5年ごとの大幅改修費が50年間で計1,046億円、毎年の維持管理費も数十億円が掛かるとされています。
◇価格の変遷=2012年・1,300億円⇒2013年9月・3,000億円⇒2013年11月・1,800億円⇒2014年・1,625億円⇒2015年・2,520億円

Tpjw06b3020228079

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

緑豊かな神宮の森にザハ案の異様なデザインの新国立競技場はいらない/東京五輪の危うさR3-1

2021年04月14日 | 東京五輪の危うさ
Oiympictp2 少数派シリーズ/東京オリンピックの危うさVOL.25
ROUND3 新国立競技場 (ザハ・キールアーチ)編 1
緑豊かな神宮の森にザハ案の異様なデザインの新国立競技場はいらない

Jpn19641010_01_2 東京オリンピック大会記念切手のご案内・国立競技場 1964年発行

ブログを移転したため、投稿日と記事の日時・状況と整合性がありません。記事は2014年11月、旧ブログに投稿したものです。ザハ氏デザインによる新国立競技場案は、白紙撤回されました。アスリートファーストの尊重は微塵もなく、政治家・経済界・五輪関係者などは己の思惑・利益・保身のために、東京オリンピックの悪用が目に余ります。年月が経過しても、ブログにてその検証や事実を残しておく必要があると考えます。

ご存じのように、東京オリンピック・メイン会場の新国立競技場は、2,520億円もの莫大な費用を掛けて建て替えられます。多くの建築家・設計者が異を唱えるように、投稿者は今も、新国立競技場の建設には反対です。残念ながら解体されますが、現在の国立競技場を改築(増築)すれば十分に観客が収容できる競技場だったからです。東京オリンピックが招致された時から言ってきましたが、改めて申し上げておきたいと存じます。

「景観破壊」と「税金の無駄」、大きく2つの問題を指摘します。神宮周辺に行かれると感じますが、神宮外苑は東京初の風致地区に指定されるほど、緑が豊かで素晴らしいエリアです。都市の自然的な景観を維持するため、高さなど建物に一定の規制が設けられている地域です。古い言い方なら、“東京のオアシス”です。それを無視して、建築されようとしています。ザハ案は先進性があるデザインとも言いますが、投稿者は周囲を威圧し鼻に付くデザインと感じます。

当初より高さを抑えたとはいうものの、最大70mもの巨大な建物です。ビルやマンションで言えば、概ね20階建てに相当します。旧・国立競技場でさえも高いと思われますが、客席最上部は31m(照明灯は最大56m)です。シミュレーションの結果、ザハ案では外苑西通りはいきなり数十mの絶壁のようなものになると推定されます。いかに異様かが分かります。周辺地域や長い将来を考えて選定したデザインと思われません。異様なものほど、年月が経つと“陳腐化”するのを多々見てきました。

有識者は現在の旧・国立競技場を改築すれば、現在の定員5.4万人から、十分、8万人の収容ができるとしていました。特にヨーロッパ人は、建築物は自然や周囲に溶け込むことを大事にしており、日本人もそうだったのですが。そのため日本建築家協会など建築家と有識者多数が、都に設計変更を求めてきました。あなたが旧・国立競技場周辺に行くようだったら、70mもの高さの建物ができるとイメージして見上げて下さい。神宮の森に、極めてトンチンカンな建物と思われることでしょう。

追記と修正2015.7現在 競技場本体価格は、現時点で2,520億円です。過去に作ったことがない建築方式なので、最終的にさらなる高騰は必至です。但しこれだけに留まらず、オリンピック終了後に施工される開閉式屋根の取り付け費300億円を含めた改修工事に600億円、その他、例えば5年ごとの大幅改修費が50年間で計1,046億円、毎年の維持管理費も数十億円が掛かるとされています。
◇価格の変遷=2012年・1,300億円⇒2013年9月・3,000億円⇒2013年11月・1,800億円⇒2014年・1,625億円⇒2015年・2,520億円

Tpjw06b3020228079

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

決定!最終会場一覧表・会場建設費と運営費が1.8兆円もこれだけでは済まない/東京五輪の危うさR2-15

2021年04月14日 | 東京五輪の危うさ
Oiympictp2 少数派シリーズ/東京オリンピックの危うさVOL.24
ROUND2 迷走する会場選定・巨額の建設費編15
決定!最終会場一覧表 会場建設費と運営費が1.8兆円もこれだけでは済まない

20170317

ブログを移転したため、投稿日と記事の日時・状況と整合性がありません。記事は2017年3月、旧ブログに投稿したものです。アスリートファーストの尊重は微塵もなく、政治家・経済界・五輪関係者などは己の思惑・利益・保身のために、東京オリンピックの悪用が目に余ります。年月が経過しても、ブログにてその検証や事実を残しておく必要があると考えます。

■最終決定!会場一覧表 2018.10現在 投稿者作成
決定された会場一覧をご案内致します。サッカーなどの地方会場は、図表には載せていません。

G2kaijoua2018b
G2kaijoub2018
G2kaijouc2018
G2kaijoud2018b
追加競技
G2kaijoue2018
「新」=新設会場  「既」=既設会場 「仮」=仮設会場 ◇=当初計画と変更なし

■IOC指示の1.8兆円は見せ掛けの数字・実質はやはり3兆円以上
IOC・東京都・大会組識委員会・政府の4者会議で、異例のIOC主導により東京オリンピックの全予算が1.8兆円以内で済ますことが合意されました。少し前には東京都が3兆円を超えると言っていたのに、今更、約半分にできるとは到底思えません。3兆円オーバーが、実際に近い金額でしょう。イヤ!もっと掛かるかも知れません。IOCが独断で1.8兆円以内としたのは、これ以上掛かるようなら、今後、オリンピック開催に立候補する都市がなくなるため、見せ掛けでも数字を圧縮させたい“IOCの焦り”とも言えます。これからの夏季・冬季オリンピックの立候補都市の少なさ、アジェンダ2020との矛盾ついては今後説明します。

仮に1.8兆円として、無能な大会組識委員会は「自分のところの収入が5,000億円しか見込めない」と努力もせず威張っているため、差額1.3兆円(実質は3兆円-0.5兆円=2.5兆円)が都民の税金から捻出しなければなりません。日本人というか都民は、税金の使われ方に無頓着過ぎます。何度も書きますが、それも若い方を中心に大会が終わっても負担が回ってきます。1998年・長野冬季オリンピックの長野市の負担は、20年近く経過してもまだ全額返せないでいるのが現状です。東京都は財政状態が良いため、ここまでには至りませんが都民が負担することに違いはありません。たった2週間のために“散財”するより、社会保障・福祉、介護施設や保育園増設のほうが、どれだけ都民のためになるか今からでも考えてみましょう

Tpjw06b3020228079

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ボート・カヌー海の森水上競技場は未だに住所がなく江東区と大田区が帰属争い<解決済>/東京五輪の危うさR2-14

2021年04月13日 | 東京五輪の危うさ
Oiympictp2 少数派シリーズ/東京オリンピックの危うさVOL.23
ROUND2 迷走する会場選定・巨額の建設費編14
ボート・カヌー海の森水上競技場は未だに住所がなく江東区と大田区が帰属争い

G214201909

ブログを移転したため、投稿日と記事の日時・状況と整合性がありません。記事は2018年6月、旧ブログに投稿したものです。アスリートファーストの尊重は微塵もなく、政治家・経済界・五輪関係者などは己の思惑・利益・保身のために、東京オリンピックの悪用が目に余ります。年月が経過しても、ブログにてその検証や事実を残しておく必要があると考えます。

追記2019.9/中央防波堤埋立地の帰属問題は、2019年9月の東京地裁判決によって、上図のように江東区79.3%、大田区20.7%の割合で決着した。

■いかに開発優先で進められてきた地、都など行政のいい加減さが露呈
東京オリンピックのボート・カヌー会場はすったもんだの末、やっとのことで東京湾上に浮かぶゴミで埋め立てられた「中央防波堤埋立地(中防)」の海の森水上競技場に決定しました。しかし問題は続くことになり、それは未だに住所が決定しておらず、それどころか埋立地そのものの帰属を巡り、江東区と大田区の争いが激化しているのです。両区の話し合いでは決着できず、東京都に調停を求めました。都は、江東区に86%、大田区に14%(図参照)の案を提示しましたが不調に終わり、大田区は調停を受け入れた江東区に対し、訴訟を起こすことになってしまいました。このように五輪会場の陰に隠れて江東区と大田区は、過去から激しい「陣取り合戦」が行われていたのです。

江東区の主張は台場・有明・若洲などの延長上にある(中防の北東から北西方向)、また埋め立てられたゴミは区内を通って運ばれた。ハエの大量発生・異臭など、区民の犠牲の上で埋立地が完成したなど。一方の大田区は、中防の海域はかつて海苔の養殖場で、漁業など江戸時代から社会的・経済的に密接な関係にあるとして、双方は全く譲りません。以前、北西に位置するお台場地域も帰属が争われ、江東区75%、港区17%、品川区8%と分け合った経緯があります。賑わっている、ゆりかもめ(りんかい線)台場駅周辺は、3区の土地が複雑に入り込んでいるのです。中防問題に話を戻すと、そもそも埋立地がほぼ完成しているにも関わらず帰属が決まっていないとは、いかに「開発が優先」で進められてきた都など行政のいい加減さが露呈しています。

■単なる会場選びではなくオリンピックを口実にした「開発」は見苦しい
中防は地図を見ると分かるのですが、内側(北側)と外側(南側)に分かれます。参考までに、分かれている細い海域?が、長さ2000m級のボート・カヌー会場になる訳です。私は江東区に住んでいますが、前述及び次項のことから江東区の主張には納得していません。確かに子供の頃は、ハエの多さにうんざり、大量に通行するゴミ運搬車の危険性・異臭、ゴミの埋め立て地からの悪臭・不潔さは大変なものでした。しかし帰属の理由としては、大田区のほうが理にかなっていると考えます。それはさておき、この調子で行ったら、100年後、数百年後は東京湾全てが埋め立てられてしまうのでしょう。昔、東京湾全埋め立て構想を見たのですが、何と羽田も成田空港も取り潰し、湾上の位置に世界一の24H空港が完成、そこからハブ状に都・神奈川・千葉各方面に新幹線や何本もの高速鉄道・高速道路で結ぶ絵が描かれていました。

政府・経済界の貪欲な経済活動は、“悪魔の侵食”のごとく東京湾を次々と埋め立てる構想があり、自然を壊すことに何のためらいを持っていません。一方、日本にはまだまだ自然を守る・環境重視の考え方は根付いていません。この構想は、狂気の沙汰です。なぜなら東京湾を埋め立て続ければ、ますます東京は暑くなり、都や神奈川・千葉県全体の環境も悪化するのです。東京でも比較的湾岸エリアや横浜が涼しいのは、東京湾のお陰です。これ以上、埋め立てを進めることに反対です。余談ですが、次々と埋め立てが続けられ、お台場地域・今回の中防と“陸地続き”の論理が通れば、遠い将来、観音崎沖(東京湾内湾)や館山・城ヶ島沖(同・外湾)まで、江東区の埋立地になってしまいます(笑)。とにかく、純真にオリンピックを行うための会場選びではなく、オリンピックを口実にした「開発」(予算投入)は見苦しいものです。

Tpjw06b3020228079

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小池都知事・五輪3会場変わらずも「400億円圧縮」は全くの詭弁/東京五輪の危うさR2-13

2021年04月13日 | 東京五輪の危うさ
Oiympictp2 少数派シリーズ/東京オリンピックの危うさVOL.22
ROUND2 迷走する会場選定・巨額の建設費編13 <3会場見直し>
小池都知事・五輪3会場変わらずも「400億円圧縮」は全くの詭弁

20170220

ブログを移転したため、投稿日と記事の日時・状況と整合性がありません。記事は2017年2月、旧ブログに投稿したものです。アスリートファーストの尊重は微塵もなく、政治家・経済界・五輪関係者などは己の思惑・利益・保身のために、東京オリンピックの悪用が目に余ります。年月が経過しても、ブログにてその検証や事実を残しておく必要があると考えます。

■会場見直しの失敗を隠す「小池権力ファースト」
東京都による東京オリンピック3会場見直し  ①ボート・カヌー会場・海の森水上競技場 ②バレーボール会場・有明アリーナ ③水泳会場・アクアティクスセンターの建設をやめて、既存会場活用の期待が高まりました。しかし結局は全く変更されず、私はガッカリしました。それにしてもIOCを始め、大会組識委員会、4競技の国内競技団体・国際競技団体が次々と見直しに反発、血相を変えた言動に異様さを感じました。森大会組識委員長が各団体に得意の“寝技”を掛けて、東京都へ圧力を掛けたのでしょう。その立ち振る舞いは見苦しい限りで、常道を逸しています。そこにはオリンピック精神は既になく、様々な「競技組織の内部利権」が存在することや、「政治的権力欲」丸出しそのものでした。皆様も、彼等の本音・本質を見ましたよね。

小池都知事は、会場は変わらなかったが「400億円を圧縮できた」と自我自賛しました。何度も書きましたが、建設予算はこれで済む訳がないのです。今後、オリンピックムードが高まってくると、建設業者は様々な理由を付けて追加予算を要求することを、虎視耽々と狙っているのです。公共物件の工事が終わってみると莫大になるのは、途中で増額予算を求めてくる建設業者の常套手段だからです。ご承知のように小池都知事は小賢しい人間なので、当然、建設業者の体質や都との癒着ぶりを知っているでしょう。癒着には切り込まず会場変更できなかった失敗を隠し、予算を圧縮させたことにすり替え、政治権力のアップを図る算段です。既存会場へ変更してこそ、本当の意味の予算圧縮なのです。都民ファーストと言いながら、その実態が都民には知らされません。実態は、「小池権力ファースト」であることを見極めて下さい。後になって、「♪小池にはまって、さあたいへん~」と気付いても遅いのです。

■海の森と有明アリーナの落札率は事実上の談合99.8%以上
対象会場の落札率を見れば、都と建設業者の癒着・談合体質が明らかに分かります。
(注)JV=数社の建設共同企業体 (joint venture)
海の森水上競技場 受注企業:大成建設JV
 予定価格248.99億円  落札額248.98億円  落札率99.998%
 ※上記の記載価格は四捨五入なので、実際の予定価格と落札額の差は
  僅か31万円少ないだけでした。
有明アリーナ 竹中工務店JV
 同:360.9億円  同:360.2億円  同:99.82%
アクアティクスセンター 大林組JV
 同:538.4億円  同:469.8億円  同:87.26%

(補足)海の森水上競技場は、かつて1,038億円とされていました。今回かなり圧縮されたように見えますが、実際は会場周辺の土地整備費を含んでいません。あまりにも海の森予算が高額とされたため、残り数百億円(それ以上?)は、都の別途名目の予算が使われるのではないかと言われています。

落札率が限りなく100%に近い状態は、事実上の談合です。東京都の落札方法を知ると、驚くほど非常識な入札方法で言わば官製談合です。都は他府県と異なり、事前に「予定価格」を公表するのです。都は有り余るほどの予算があるため、低価格で落札した質の悪い業者が選ばれるより、事前に予定価格を発表して、価格は高くても高い技術を持った業者を選択できる仕組みにしてあるとのことです。但しゼネコン(JV)数社が応札して競えばいいのですが、問題は3会場も豊洲市場の個々の建築物(各棟)と同じように、1物件に対し1ゼネコンしか名乗りを挙げないのです。予め建設業者間で、物件の割り振り談合をしているからです。つまり1社しか応札しないため、建設業者は予定価格ギリギリの価格を提示します。当然のごとく、落札率が100%近くなるのです。

■3会場受注ゼネコン12社に都幹部OB45人が天下り
もっと驚くことに、入札3JVに参加した14社のうち12社に、都幹部OB45人が天下りしていたことです。うち上級幹部(局長級)が3割、14人いました。天下り先の建設会社では、常務執行役員・顧問・参与・理事などです。中には公共事業の入札情報収集を担当している者がおり、分かりやすく言えば都の関係者と接触し会社側の意向・要望を伝える役割なのです。元都幹部OBは、“先輩”履歴を悪用した都職員への圧力・癒着は明らかです。建設業者は、その目的のためだけに都OBを雇い入れ高い給料で養っているのです。小池知事は自分のパフォーマンスばかりですが、本当ならこうした都の体質・オリンピックを食い物にした業者の改善に取り組むべきです。

『オリンピック施設工事受注企業と都OBの天下り数』
▽海の森水上競技場 大成建設JV
 大成9人、五洋7人、東洋5人、佐藤工業4人、岩田地崎1人、大末1人
▽有明アリーナ 竹中工務店JV
 竹中3人、株木3人、福田組2人、京王1人、(注2)鉄建1人
▽アクアティクスセンター 大林組JV
 大林組8人、(注2)鉄建1人
(注1)大成の例など、企業名に続く「建設」の表示は略
(注2)鉄建建設は、2件のJVに参加
しんぶん赤旗調べ

Tpjw06b3020228079

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

500億円以上も掛かる水泳会場アクアティクスセンターは無駄過ぎる/東京五輪の危うさR2-12

2021年04月13日 | 東京五輪の危うさ
Oiympictp2 少数派シリーズ/東京オリンピックの危うさVOL.21
ROUND2 迷走する会場選定・巨額の建設費編12 <3会場見直し>
500億円以上も掛かる水泳会場アクアティクスセンターは無駄過ぎる

G21220161117

ブログを移転したため、投稿日と記事の日時・状況と整合性がありません。記事は2016年11月、旧ブログに投稿したものです。アスリートファーストの尊重は微塵もなく、政治家・経済界・五輪関係者などは己の思惑・利益・保身のために、東京オリンピックの悪用が目に余ります。年月が経過しても、ブログにてその検証や事実を残しておく必要があると考えます。

■新聞世論調査では74%の人が今ある施設を使うべきと回答
東京オリンピック3会場見直し(3)の水泳・飛込・シンクロ競技会場は、投稿者は既号で「東京辰巳国際水泳場」がよいと言いました。しかし残念ながら、そこからたった300mしか離れていない「オリンピックアクアティクスセンター」に決定してしまいました。決まったこととは言えいかに無駄なことか、またまだまだ改善できることもあるので、しぶとく説明します(苦)。客席2万席、8レーンプールが2か所も設置されます。当初683億円、圧縮案でも530億円も掛かるのです。十分使える東京辰巳国際水泳場を改修し客席を仮設増席すれば、683億円の1/3程度と聞きます。東京都は新施設を作りたい一心で、ろくに辰巳水泳場の改修検討もせず決定したのは残念でなりません。

他に全く適する水泳場がなければともかく、たった2週間程度のオリンピックなら、既存の辰巳水泳場を使えばいいのです。東京都は、作る前からアクアティクスセンターは、毎年、7億円もの赤字になると言う始末です。しかしこの数字は極めて甘く、有明アリーナの投稿時にも申し上げましたが、新設すれば今後50年間の維持管理費が建設費と同じとなり、別途に530億円相当も掛かるのです。それが、建築物の常識です。全て若い方へのツケとして、税金を払わせられるのです。毎日新聞の世論調査では、会場全般について74%の方が、「できるだけ今ある施設を利用して費用を抑えるべきだ」の回答でした。「計画通り作るべきだ」は16%で、圧倒的に見直しを求める意見が強いのです。

■東京の東側地域に3つのプールが集中し無用の長物に
当初の選手村から8km圏内の会場コンセプトが、ここでも支障を及ぼしています。それは東京オリンピック後に、市民がどうプールを使うかの問題です。同じ場所に、3つのプールは必要ないでしょ! 8km圏内に拘らなかったら、都内のもっと良い場所に新設できたと思います。都民や近隣県の方が市民プールとして使用する場合、ご自分の在住場所によって近くの~(本来なら他の地で建設された)アクアティクスセンターへ、別の方は現在の辰巳水泳場といった使い方ができます。また私は会場のある江東区に住んでいるので分かりますが、東京のかなり東側の辰巳地域は、都心から離れ交通の便も良いとは言えません。競技会にみならず市民プールの場所としても、極めて行きにくい会場と思えます。そんな場所に3つもプールを作れば、無用の長物になる恐れがあります。

一方、ロンドン大会の水泳会場は2万席も、大会終了後は会場が縮小できるよう、最初からそうした基本設計をしました。2,500席のこじんまりとした基本会場を作っておき、施設の両サイドに簡易な17,500席の仮設席を設けました。大会後は仮設席を取り壊し、最初から作ってあった市民プールに壁を張って原形に戻したのです。因みにデザイン者は、あの新国立競技場で話題になった故ザハ・アディド氏です。東京も会場の在り方として、数百億円を掛ける以上はトップの競技選手のみならず、大会後にいかに多くのアマチュアレベル・市民がその施設を使えるかを重視すべきです。税金の使い方に厳しい欧米は、見栄や面子よりも合理主義を尊びます。その後の施設の使い方を予め考慮する見本が、ロンドンにあります。にも関わらず東京都や大会組識委員会は全く見習わずに、ひたすら恒久的な「大きな器」を作ろうとしています。

■金メダリストに「新設会場建設を」と言わせる動きは見苦しい
このようにアクアティクスセンターは、大会後に大規模に改修できる基本設計をしようとしていません。最初から建物の器自体を、2万席(圧縮案では1.5万席)にするのです。これでは建築費が高くつき、また大き過ぎて市民用のプールとしては使えません。大会時は、2万席は一杯になるでしょう。しかし現在、辰巳水泳場での国内・国際試合でも、定員の5,000席が埋まることは全くありません。東京オリンピックが終わった通常の水泳大会も、そんなものでしょう。2万席のうち数千席しか埋まらなかった却ってみすぼらしく、選手もテンションが上がらないと思うのですが? 2020年以降、再び日本にオリンピックが来るのは当分先です。その頃には、アクアティクスセンターも老朽化し建て直しが必要でしょう。ならば5,000席程度の基本設計にして、後は仮設席にするほうが賢明です。

スケベ心の大会組織委員会や水泳競技連盟は、ロンドンオリンピックメダリストやアテネ大会の日本の金メダリストを使い、ここでも「レガシー(遺産)」という美名の下に、「選手のために新設会場に作ろう」と言わせています。他の競技連盟も含めて、見苦しい限りです。皮肉にも、日本のある金メダリストが優勝後に名ゼリフを吐いたアテネの水泳会場は、巨大ゆえの損壊・廃墟化が進んでいるのです。同じく野球や金メダルを勝ち取った女子ソフトボールの会場はもっと荒み、大会後は全く使われず草ぼうぼうの有り様です。日本では、ここまでには至らないでしょう。しかしバレーボールやフィギュアスケートの人気ぶりに比べ、水泳競技に巨大過ぎる2万の席がいつも満席になるかは甚だ疑問です。身の丈に応じたサイズが相応しく、大きな器は無駄過ぎます。

▽最終決定会場 追記 再見直し検討も変更せず
水泳競技  アクアティクスセンター (新設)

Tpjw06b3020228079

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする