日本文化の再確認その④
『礼に始まり、礼に終わる』
「礼」は、日本の日常、非日常に拘わらず当たり前のことで、日本文化の特徴に
なっております。その礼の対象は、道場や教室、会社等の建築物に及びます。
道場に出入りするとき一礼することは珍しくもなく常識です。
これは道場の神棚にお祭りされている神様や師範、道場生に対する礼儀でも
ありますが、道場という場(=モノ)に対する礼儀でもあります。
他所の家を訪問して、礼をしない方はいらっしゃらないと思いますが、
最近は、挨拶もそこそこに礼を省略する方もおります。
それでも、結婚をしたい時、相手の家にご挨拶に伺う時は、緊張しながらも
しっかり礼をして挨拶をします。
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オリンピック競技などの会場でよく見る光景ですが、
日本人はその場に入る時決まって一礼をして入ります。
柔道や剣道などは当たり前の光景ですが、以前は陸上競技では見なかった
ことで最近テレビで見たのが、陸上の100メートルでしたか、
ある男子が一礼してトラックに入ってスタートラインに立ったのです。
珍しかったのか解説者がコメントしていました。
またそのことで思い出すのが、1995年にプロテニスの松岡修三選手が
英国ウィンブルドンで準決勝まで勝ち上がり、王者サンプラス選手と対戦した
試合があります。試合途中まで松岡選手が優勢でしたが、観客のほとんどは
白人です。大多数が劣勢のサンプラス選手を応援し始めました。
熱烈な応援のせいか、サンプラス選手は徐々に調子を上げてきて、ついに
松岡選手を下しました。
しかし、負けた松岡選手はコートからの去り際に、コートに向かって
深く一礼しました。
その直後、大観衆が松岡選手の凛とした潔い後姿に大声援を送ったのです。
ウィンブルドンのセンターコートには大和魂の心が垣間見られました。
その姿は、習慣のない外国の人々にも魂を揺さぶられたのでしょう。
最近は、小さい子供から大人まで礼儀が出来ていないのが目につきます。
公共の場こそ、その姿が試されています。
誰かが見ている、見ていないに関係なく礼儀が出来ていると、
その内面の精神が芯の通った美しいものであると感じます。