美しい言葉に出会うと、幸せな気持ちになります。
最近、出会った素敵な言葉。
「山が着替えする」
自然と共生しているアイヌの人々は、四季折々に姿を変える山を見て
「山がまた着替えたね」と言葉を交わすそうだ。
何という優しい心根、そして美しい言葉だろう。
同じようなきれいな言葉に、山の四季の季語があります。
それぞれに名句を添えて・・・
「山笑う」 春
故郷(ふるさと)やどちらを見ても山笑ふ 子規
冬の衣を脱ぎ捨てるように、見渡す限り花に彩られた山々の風景が目
に浮かぶびます。
「山滴る」 夏
滴(したた)りの打ちては揺るる葉一枚 富安風生
雨の滴がしたたり落ちる。一滴一滴、木の葉を打って揺らしている。
「山粧う」 秋
山の中神来てゐるらしき山粧(よそお)ふ 井上雅
全山紅葉に染まった山、まさに神さまが来ているのでしょう。
「山眠る」 冬
山眠る如く机にもたれけり 虚子
私なら、さしずめ「山眠る如くに炬燵むぐりけり」・・・だろうなぁ。
美しい言葉なら、薄幸の詩人・金子みすゞの詩にいっぱいあります。
青いお空の底ふかく、
海の小石のそのやうに、
夜がくるまで沈んでる、
晝のお星は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ。
見えぬものでもあるんだよ。
子供が小雀つかまへた
その子のおかあさん笑ってた
雀のおかあさんそれみてた
お屋根で鳴かずにそれみてた
蜂はお花のなかに
お花はお庭のなかに
お庭は土塀のなかに
土塀は町のなかに
町は日本のなかに
日本は世界のなかに
世界は神さまのなかに
さうしてさうして神さまは
小ちゃな蜂のなかに
<山笑う> 春
<山滴る> 夏
<山粧う> 秋
<山眠る> 冬