各地から梅開花のニュースが届き、ブログでも写真がアップされるようになった。
奈良時代から平安初期まで花と言えば梅のこと、と何かの本で読んだことがある。
馥郁とした上品な香りを放ち、桜とはまた違った風情があり、中国文化の影響が濃かっ
古の人たちは梅の方を好んだのだろう。
だが時代が下るにしたがって、花の主役は
願はくば花の下にて春死なむその如月の望月のころ
西行の歌にあるように、平安末期には桜に変わっている。
わが街では、梅花が観られない春になって寂しいねとあきらめていたら、意外にもごく近
くの法輪寺(浄土宗)境内に小ぶりながらも梅の木があって、温かい日差しを受けてひっ
そり咲いていた!
この町に住んで50数年になるのに気づかなかった、とは迂闊千万だねえ。
早速お邪魔して写真を撮らせていただいた。
他にも1軒だけ梅の木があり、生垣越しに数輪咲いているのが見える。
いずれにしても、以前はかなりのお家にあった梅の庭木が激減したことは事実だ。
阪神間の梅の木が姿を消したのには、理由がある。
10年ほど前か、全国的にまん延した梅ウイルスに市内の梅も感染したということで、市当
局からの指示で伐採され、あっという間に姿を消してしまった。
岡本梅林や甲東園など昔からある有名梅林は手入れが行き届いて生き延びたようだが、小さ
な公園や個人の庭の梅は市当局からの指示で切り倒され、ほぼ全滅状態となった。
ウオーキングで訪れていた西武庫公園も例外ではなく、20本ほどあった梅の木が無残に切り
刻まれたのを見て、声をなくしたものだ。
同時に梅の木近くのアーモンドも汚染しているとして同じように撤去されて、跡地には桜が
植えられた。
市民に親しまれている広い公園は、ほとんど桜ばかりで単調で平凡な広場に成り下がってし
まった。
我が家の庭にも種から育てたアーモンドの木が1本あって、毎年、桃の花よりやや大きいピン
クの花が咲いていたのに、ウイルス汚染したのか葉が薄汚く変色して元気がなくなってきたの
でやむなく切った。
梅は咲いたか桜はまだかいな・・・春の訪れにはなくてはならない梅、姿を消していくのは寂
しく、残念だ。
<わずかに生き残り、花をつけた梅(近くのお寺の境内)>
<アーモンドの花>