<87歳=80歳+7年>
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2020年06月20日 by 中川恵一
- 月刊誌「文芸春秋」7月号で亡き弟に重ねて、今年1月に膵臓がんが見つかったことを告白したのは、元東京都知事の石原慎太郎さん(87)です。
全国がんセンター協議会の最新データで、膵臓がんの5年生存率は、すべてのステージを含めた全体で9・9%。がんの中でも厄介ながんの闘病生活を「私の人生を彩ってくれた」と表現するのは、石原さんならではでしょう。しかし、診断のキッカケや闘病生活を知ると、一般の方も応用できるヒントがあります。それを紹介しましょう。
石原さんは前立腺の治療でかかりつけ医がいるそうです。 - 転機となった今年1月、その医師に夜間頻尿を相談すると、医師はエコーで腎臓を検査したといいます。その画像を診て膵臓の近くの影を指摘。それを受けて石原さんが別の病院で膵臓の検査をしたところ、早期の膵臓がんが見つかっています。
- 膵臓がんが難治がんなのは、早期で見つかりにくいためです。治癒が期待できるステージ1での発見率はわずか1割ですが、“一がん息災”というか、東大病院の調査では、肝臓がんの治療で見つかる膵臓がんは6割がステージ1でした。
肝臓がんの再発チェックで、CT検査を頻回に行うため、早期の膵臓がんが見つかりやすいのです。
私が早期の膀胱がんを見つけたのも、自分で脂肪肝をチェックするためのエコー検査でした。石原さんも一病息災、膵臓がんの大きさが2センチのステージ1で早期発見できています。
メタボが増える今、脂肪肝の人は珍しくありません。脂肪肝だと、保険でエコーやCT、MRIを受けられます。そのときに「膵臓もしっかりチェックしてください」とお願いすること。それが、早期発見のための重要なポイントです。 - もう一つは、治療法の選択で、放射線の一つ陽子線を選んでいます。ステージ1は切除が可能で、通常は手術が第一選択ですが、手術の問題点が取り残し。局所に再発したり、転移したりしやすく、5年生存率が5割に満たないのは、そのためです。 そこで、陽子線が注目されています。従来のX線では、そもそも膵臓の腫瘍への効果が薄いばかりか、周辺の正常組織への影響が大きかったのですが、陽子線はその弱点をクリア。
膵臓の腫瘍にピンポイントに効果的な照射ができ、なおかつ正常組織への影響を少なくすることが可能になっています。つまり、手術の取り残しの問題を克服できる可能性があるのです。
海外では、さらにMRIと一体化した強度変調放射線治療(IMRT)ができるようになっています。呼吸などに伴う微妙な膵臓の動きを、MRIをもとにリアルタイムに追尾しながら、放射線を照射することで、より精度がアップ。海外では、膵臓がんへの効果的なデータが報告されています。放射線治療は新時代に突入し、膵臓がんが難治がんでなくなる日も近いかもしれません。 - https://hc.nikkan-gendai.com/articles/274871?page=3
- 「男性平均寿命80歳=健康寿命72歳+要介護期間8年、女性平均寿命86歳=健康寿命74歳+要介護期間12年」厚生労働省は2018/3/9、介護を受けたり寝たきりになったりせず日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」が、2016年は男性72.14歳、女性74.79歳だったと公表した。前回(13年時点)と比べ男性が0.95歳、女性は0.58歳延びた。平均寿命と健康寿命の差は、介護などが必要となる期間。この差を縮める「ピンピンコロリの生活=要介護期間0年=にする」ことが社会保障費の抑制につながる。16年の平均寿命と健康寿命の差は男性8.84年、女性12.35年。13年と比べると男性0.18年、女性0.05年改善した。研究班の代表を務める辻一郎・東北大教授(公衆衛生学)は「要介護の大きな原因となる脳血管疾患の患者が、生活習慣の改善で減っている」と指摘。「高齢者の社会参加の場が広がっていることも健康寿命の延びにつながっている」とみている。