今日は国立劇場へ。
赤坂の芸者さんSさんと待ち合わせて、午後1時から「舞の会 ~京阪の座敷舞」を観た。夕方からさとみさんはお花へ、私は続けて午後4時からの舞台を「庭のホテル」社長のKさんと観覧。
京都花街にかかわり、沢山の舞台を観たり、本を読んだり、お家元・井上八千代氏にTVや雑誌でインタビューさせていただく機会が何度かあり、私は急速に座敷舞に魅かれたのだ。
座敷舞の世界・・・京阪の四流(井上流、楳茂都流、山村流、吉村流)を代表する方々の舞。舞台を堪能した。
観ていて思うのは、
情念は舞う人の心の中、腹の中にあり、そこで泣いたり、笑ったりしている。
特にお座敷で観ると、舞い手の落ち着いた呼吸や、逆に、早い呼吸が伝わってくる。
呼吸でさえも心を語っているのだと感じることがある。
そんな緊張感を内包しつつ、いつか張り裂けるかもしれない物凄い情念に歯止めをかけ、ギリギリのところで静かに舞っているのだ・・・
舞の空間は小さいのに、ふとしたときに、その空間が解き放たれ、無限の空間に漂い出るように感じられるのは、見えていない部分、である情念の世界が限りなく大きな役割を果たしているからだと思う・・・
そんな、私の座敷舞への思いを、今日の舞台のプログラムに「情念夢幻 ~座敷舞に魅せられて~」と題して、書かせていただいた。私の本「京都 舞妓と芸妓の奥座敷」(文春新書)を、たまたまご覧になった国立劇場(日本芸術文化振興会)の編集係の方から、原稿依頼があったからだ。
今日、会場で初めてK氏とお会いした。
すると、大学の後輩で、何と専攻も同じ美学美術史、ということがわかってびっくり。
さらに、さとみさんと並んで席に着くと、偶然に私の隣に座った方が、Sさんの長らくのお友達で、「邦楽と舞踊出版社」のTさんだった。初対面だったが、三味線や仕舞のお話がはずみ、今度一緒にお仕事でも・・・ということになった。
さとみさんと一緒でなかったら、隣に座りながら、たぶん、お互いに話す機会は無かっただろう。
今日も、不思議な出会い。