中高生の妊娠相談過去最多 新型コロナによる休校影響か 熊本・慈恵病院
5/11(月) 21:04配信
毎日新聞
中高生の妊娠相談過去最多 新型コロナによる休校影響か 熊本・慈恵病院
望まない妊娠で悩みを抱える人に向けて慈恵病院が運営しているホームページの画面
親が育てられない乳幼児を受け入れる「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」を運営する熊本市の「慈恵(じけい)病院」は11日、4月に同病院の妊娠相談窓口に寄せられた中高生からの相談が過去最多の75件に上ったと発表した。同病院で記者会見した蓮田健副院長は「新型コロナウイルスの影響で学校が休みになって引きこもり状態になっている。その中で性行為の機会があって望まない妊娠になっている場合もある」と指摘した。
【図解でわかる!新型コロナ】こんな時、どこに相談する?
慈恵病院は、さまざまな事情で養育困難な親が匿名で預ける「こうのとりのゆりかご」を2007年に開設。同時に、電話とメールで24時間対応する妊娠相談窓口も設けた。
同病院によると、中高生からの相談は全国から寄せられた。「両親が自宅にいない間に交際相手と性交し、妊娠検査薬で陽性が出た」「初めての性交で避妊ができているか分からない」など女子生徒からが多かった。男子生徒からも「交際相手につわりのような症状がある」といった相談があったという。
同病院によると、中高生からの妊娠相談は3月ごろから増加し、休校措置が継続された4月は19年より17件増えた。4月のすべての妊娠相談592件のうち、中高生の割合が13%を占めた。例年の5~7%と比べると倍の水準。中高生とカウントしたのは詳細に年齢を回答した相談者だけで、「10代」などの回答は含んでおらず、同病院は「実際の中高生の割合はさらに多い」とみている。
相談に対応している蓮田真琴・新生児相談室長は「女子生徒には、『自分の身を守れるのは自分だけ』と伝えたい。心配や不安があれば気軽に相談してほしい」と呼びかけた。
相談は、同病院のSOSフリーダイヤル(0120・783・449)へ。同病院ホームページの問い合わせフォームからもメールで相談できる。【清水晃平】
コロナ禍で不妊治療の中断を勧められ心が折れた女性の告白
5/11(月) 9:26配信
日刊ゲンダイDIGITAL
コロナ禍で不妊治療の中断を勧められ心が折れた女性の告白
写真はイメージ
4月14日、埼玉の病院で、出産した女性と新生児が新型コロナウィルスに感染していることが分かった。現時点で胎児に及ぼす影響が不明であり、日本産婦人科感染症学会は「新型コロナウイルスでは感染者数の最も多い中国湖北省でも、現時点で妊婦における重症化や胎児障害の報告はありません。しかし、一般的に、妊婦さんの肺炎は横隔膜が持ち上がり、うっ血しやすいことから重症化する可能性があります」と注意喚起を促している。また、日本新生児成育医学会も「中国から新型コロナウイルス感染の母親9人において子宮内感染はなかったとの報告や新型コロナウイルス肺炎を発症した母親からの出生児1人は、子宮内感染はなかった ものの因果関係までは明確にされていませんが、死亡1例を含み、胎児機能不全、早産出生、呼吸障害、血小板減少などがあったとの報告があります」と発表した。
ここで思わぬ事態に困惑しているのが、不妊治療を受けている患者たちだ。日本生殖医学会はこう声明を発表した。
「COVID-19( 以下、新型コロナウイルス感染症)が妊娠、特に妊娠初期の 胎児に及ぼす影響は明らかになっておらず、母体から胎児への感染の可能性は不明とし、また妊婦における新型コロナウイルス感染症の感染リスクが高いとはいえません。一方で、妊婦においての新型コロナウィルス感染症の重症化の可能性が指摘されていることや、感染時に使用される治療薬として妊婦に禁忌の薬剤による治療が試行されていることから、不妊治療による妊娠が成立したあとの新型コロナウイルス感染症への対応に苦慮することが予想されます」
■精神的にも肉体的にも負担が大きい不妊治療
日本生殖医学会が言う治療薬とは、今、注目されているアビガンのことである。日本感染症学会の報告によると、患者300人に投与したところ、2週間後、軽症者で9割、人工呼吸器を使用するなど重症者6割の患者に改善が見られたという。現在、治験が進められ、アビガンの増産が始まっている。しかし、胎児に奇形が出る恐れがあり、妊婦、妊娠の可能性がある女性には禁忌となっているのだ。
続けて、日本生殖医学会は、不妊治療に行うクリニックにこう提唱しているのだ。
「国内での新型コロナウィルス感染症の急速な拡大の危険性がなくなるまで、あるいは妊娠時に使用できる新型コロナウィルス感染症予防 薬や治療薬が開発されるまでを目安として、不妊治療の延期を選択肢として患者さんに提示していただくよう推奨いたします」
昨年から不妊治療を開始したAさん(京都府在住、40歳)は突然の発表に驚きを隠せないでいる。
「日本生殖医学会から声明が発表された翌日にクリニックを受診したのですが、受診がはじまるやいなや、中断するか否かという話になりました。最終的には私たちの判断に委ねるというものでしたが、先生からは中断した方がよいのでは、と言われ、いったんは、持ち帰り、主人と相談しました。今年、私は40歳になりましたし、主人は50歳です。正直、時間がありません。焦る気持ちはありますが、もし、妊娠して、感染したら怖いので、泣く泣く、今は、不妊治療を中断することを決めました。コロナがいつ収束するかわからないので、いつ、開始できるかという不安はありますが、こればっかりは誰のせいでもないので、言っても仕方ないですよね」
さらに日本生殖医学会は患者に対し、こう提唱している。
「また、既に調節卵巣刺激を開始し採卵を予定している患者さんについては、胚凍結の 上で上記の状況を踏まえて胚移植時期を検討してください。胚移植を予定している患者さんについても同様の検討をおねがいいたします。人工授精、体外受精・胚移植、生殖外科手術などの治療に関しては、延期が可能なものについては延期を考慮してください」
Aさんはため息をつきながら、不妊治療に対する複雑な思いをこう述べた。
「私は人工授精をしてきたのですが、先日、卵管が詰まっていることがわかり、手術をしたところでした。その手術が無事に終わり、人工授精による妊娠が期待できるかなと思っていた矢先の出来事でした。中断を勧められると気持ちが折れてしまいますよね。ただでさえ、不妊治療に臨むことは体力的に精神的にもしんどいものがあるのに、それをそがれた形になってしまい、もう、不妊治療はいいかなという諦めの気持ちが生まれています」
厚生労働省は、一定期間、不妊治療(特定不妊治療)助成に対する、年齢の引き上げを決めた。治療期間初日の妻の年齢 を43歳未満から44歳未満に引き上げ、回数も妻の年齢が40歳未満は通算6回まで(40歳以上は通算3回まで)のところを、それぞれ41歳未満、41歳以上とした。
■コロナが少子化を加速させる恐れも
「体外受精に切り替えるのも一つの方法ですが、とはいえ、人工授精よりはるかにお金がかかるので、躊躇しています。年齢の引き上げをしてくれるのであれば、助成額を少しでもよいので増やしてくれればうれしいのですが」(Aさん)
今後、感染拡大が続けば続くほど、コロナショックをきっかけに不妊治療を諦める人も多く出てくることが予想される。不妊治療に限らず、妊娠を望まない女性たちも増加するだろう。そうすれば、ますます、少子化に歯止めがかからなくなるのではないだろうか。
(ジャーナリスト・中西美穂)
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