5月15日、堺CCでの初のABCクラス合同月例に参加した帰り、連れ添いを誘って夕飯はリニュアルしたばかりの回転寿司チェーン「くら」に行ってきた。当家の外食では「くら」での食事が一番多い。私も連れ添いも寿司好きなのが一番の理由。入店して席に着く。どこをリニュアルしたのか、席に座ってチェックする。観察・分析能力を今も持続できているか、仕事柄(飲食業)実践してしまう習性は、生涯つきまとうのだろうか。
回転寿司チェーンでは「くら」が一番美味しいと思っている。他店も当然興味があったので、すべての店を食べ歩いた後の結論だ。
そもそも「くら」のような寿司チェーンが何故、短期間に今日の興隆を築き上げることができたのか? 原価率(原材料費÷純売上)50%以上の100円寿司がどうして商売になるのか、ここから話を始める必要がある。
「くら」や「スシロー」「かっぱ寿司」のようなや大型店舗が乱立するまえに、3,40坪で50名も入れば満席になる回転寿司チェーンがあったことを覚えていると思う。私はすぐにこんな店はつぶれると分析し予想していた。何故そう思ったのか?
(私の分析)
月商4,000千円(場所にもよるが、これくらいが平均売上ではないかと予想)、原価率50%(食材費計2,000千円)、最初の頃は1,2名の職人が円の中央で寿司を握っていた。アルバイトを含めると、3,40坪の店で、人件費は職人2名付帯人件費を含めて600千円、アルバイト人件費は、予想で1日最低でも6名、平均5時間×800円で30日営業とすると720千円になる。社員・アルバイトの人件費合計は1,320千円、人件費比率は33%となる。FLコスト率(フードコスト+レーバーコスト)50%+33%=88%にもなる。これでは4,000千円×(1-0.88)=480千円。ここから家賃や水道高熱費や販促費を引けば決して残らない。平均で毎月5,000千円以上売らなければ、会社として成り立たない。駐車場も殆どない小規模店舗でチェーン展開を考えたのか、経営者の頭脳を私は疑った。案の定、小規模店舗は殆ど消滅した。
そんな業界に何故、「くら」は進出してきたのか。どんな勝算があったのか。まだ会社に在籍していた頃だったので、分析好きの私はこの謎を追った。
●「仮に200席もある大店舗(店99坪・駐車場含めて平均400坪)、売上予算20,000千円とする」
(*20,000千円はファミリーレストランの繁盛店基準売上)
ここにその答えがあった!
(●メンター:損益分岐点を求めてみる)(損益分岐点売上=固定費÷(1-変動率))
「くら」の損益分岐点売上を独自に計算してみる。
固定費:総人件費 (5,000千円・25%):役員報酬・社員・パート・諸手当含む)
水道光熱費(600千円・3%)
賃借料 (1,600千円・8%)(*私がいた繁盛店は1,800~2,000千円)
消耗品 (500千円・2.5%)
広告宣伝費・減価償却&その他(2,000千円・10%)
固定費合計:9,700千円
食材原価:10,000千円(50%)
●損益分岐点売上:9,700千円÷(1-0.5)=19,400千円
20,000千円の売上で600千円の利益が上がる事になる。
●小規模寿司チェーンの損益分岐点売上
(客席数から考えて、5,000千円以上が繁盛店と仮に判断する)
固定費:総人件費 (1,800千円・36%):役員報酬・社員・パート・諸手当含む)
水道光熱費(150千円・3%)
賃借料 (400千円・8%)
消耗品 (125千円・2.5%)
広告宣伝費・減価償却&その他(500千円・10%)
固定費合計:2,975千円
食材原価 :2,500千円(50%)
●損益分岐点売上:2,420千円÷(1-0.5)=5,950千円 (5,000千円でも赤字となる)
★(結論)
5,000千円でも利益はでない。しかし、これ以上の売上は客席数を考えても、かなり難しいと思う。職人の数を減らしていったはずだ。寿司マシーンもそうした業界の要望から生まれた。大型店舗にして20,000千円を目指す方が商売としての勝算があると考えたに違いない。この判断力、先見性、勇気を私は賞賛したい。
ちなみに、各店舗の「くら」には調理師という専門職はいないはず。(本部の開発室にはいるだろう) 調理師を使わないで高卒・大卒を集めてファミレスは急展開できた。調理師を使うことは初めから想定外で、高・大の新卒(安価で素直)を使うことで、初めてチェーン展開に成功した。回転寿司チェーンもこれを模倣した。(●メンター:チェーン展開に職人は必要ない)
■日本のマクドナルドの原価率は、H22年度は79.1%。モスバーガーはH22年度52.8%。
ファミレスの32%と比較して欲しい。原価率が79.0%で商売可能な飲食職業があるのは、
巨大な売上あっての事と理解できるだろう。
(H22.年度:マクドナルド総売上323,799,000千円、モスバーガー総売上63,175,000千円)
■回転寿司チェーンベスト3
・カッパ・クリエイト総売上 (2月決算):87,968,200千円
・あきんどスシロー総売上 (9月決算):81,917,420千円
・くらコーポレーション (10月決算):70,778,257千円
*いずれ「くら」が業界トップになるであろうと私は推測している。
その要因を(下)のリニュアルで紹介したいと思っている
回転寿司チェーンでは「くら」が一番美味しいと思っている。他店も当然興味があったので、すべての店を食べ歩いた後の結論だ。
そもそも「くら」のような寿司チェーンが何故、短期間に今日の興隆を築き上げることができたのか? 原価率(原材料費÷純売上)50%以上の100円寿司がどうして商売になるのか、ここから話を始める必要がある。
「くら」や「スシロー」「かっぱ寿司」のようなや大型店舗が乱立するまえに、3,40坪で50名も入れば満席になる回転寿司チェーンがあったことを覚えていると思う。私はすぐにこんな店はつぶれると分析し予想していた。何故そう思ったのか?
(私の分析)
月商4,000千円(場所にもよるが、これくらいが平均売上ではないかと予想)、原価率50%(食材費計2,000千円)、最初の頃は1,2名の職人が円の中央で寿司を握っていた。アルバイトを含めると、3,40坪の店で、人件費は職人2名付帯人件費を含めて600千円、アルバイト人件費は、予想で1日最低でも6名、平均5時間×800円で30日営業とすると720千円になる。社員・アルバイトの人件費合計は1,320千円、人件費比率は33%となる。FLコスト率(フードコスト+レーバーコスト)50%+33%=88%にもなる。これでは4,000千円×(1-0.88)=480千円。ここから家賃や水道高熱費や販促費を引けば決して残らない。平均で毎月5,000千円以上売らなければ、会社として成り立たない。駐車場も殆どない小規模店舗でチェーン展開を考えたのか、経営者の頭脳を私は疑った。案の定、小規模店舗は殆ど消滅した。
そんな業界に何故、「くら」は進出してきたのか。どんな勝算があったのか。まだ会社に在籍していた頃だったので、分析好きの私はこの謎を追った。
●「仮に200席もある大店舗(店99坪・駐車場含めて平均400坪)、売上予算20,000千円とする」
(*20,000千円はファミリーレストランの繁盛店基準売上)
ここにその答えがあった!
(●メンター:損益分岐点を求めてみる)(損益分岐点売上=固定費÷(1-変動率))
「くら」の損益分岐点売上を独自に計算してみる。
固定費:総人件費 (5,000千円・25%):役員報酬・社員・パート・諸手当含む)
水道光熱費(600千円・3%)
賃借料 (1,600千円・8%)(*私がいた繁盛店は1,800~2,000千円)
消耗品 (500千円・2.5%)
広告宣伝費・減価償却&その他(2,000千円・10%)
固定費合計:9,700千円
食材原価:10,000千円(50%)
●損益分岐点売上:9,700千円÷(1-0.5)=19,400千円
20,000千円の売上で600千円の利益が上がる事になる。
●小規模寿司チェーンの損益分岐点売上
(客席数から考えて、5,000千円以上が繁盛店と仮に判断する)
固定費:総人件費 (1,800千円・36%):役員報酬・社員・パート・諸手当含む)
水道光熱費(150千円・3%)
賃借料 (400千円・8%)
消耗品 (125千円・2.5%)
広告宣伝費・減価償却&その他(500千円・10%)
固定費合計:2,975千円
食材原価 :2,500千円(50%)
●損益分岐点売上:2,420千円÷(1-0.5)=5,950千円 (5,000千円でも赤字となる)
★(結論)
5,000千円でも利益はでない。しかし、これ以上の売上は客席数を考えても、かなり難しいと思う。職人の数を減らしていったはずだ。寿司マシーンもそうした業界の要望から生まれた。大型店舗にして20,000千円を目指す方が商売としての勝算があると考えたに違いない。この判断力、先見性、勇気を私は賞賛したい。
ちなみに、各店舗の「くら」には調理師という専門職はいないはず。(本部の開発室にはいるだろう) 調理師を使わないで高卒・大卒を集めてファミレスは急展開できた。調理師を使うことは初めから想定外で、高・大の新卒(安価で素直)を使うことで、初めてチェーン展開に成功した。回転寿司チェーンもこれを模倣した。(●メンター:チェーン展開に職人は必要ない)
■日本のマクドナルドの原価率は、H22年度は79.1%。モスバーガーはH22年度52.8%。
ファミレスの32%と比較して欲しい。原価率が79.0%で商売可能な飲食職業があるのは、
巨大な売上あっての事と理解できるだろう。
(H22.年度:マクドナルド総売上323,799,000千円、モスバーガー総売上63,175,000千円)
■回転寿司チェーンベスト3
・カッパ・クリエイト総売上 (2月決算):87,968,200千円
・あきんどスシロー総売上 (9月決算):81,917,420千円
・くらコーポレーション (10月決算):70,778,257千円
*いずれ「くら」が業界トップになるであろうと私は推測している。
その要因を(下)のリニュアルで紹介したいと思っている