フリーの編集者として奈良の歴史文化を発信している倉橋みどりさん(50)が、朝晩のたのしみを「奈良の朝歩き、宵遊び」(淡交社)としてまとめ、出版した。静寂に包まれた早朝の東大寺、二上山に沈む夕日など、「とっておきの時間」を紹介している。

 「朝の奈良で、深呼吸」と題した章では、薬師寺唐招提寺・喜光寺のハスの花、鹿寄せなどを取り上げた。「美しき奈良の夕暮れ」の章で選んだのは、明日香村の石舞台古墳や、斑鳩の道。「あえてメジャーなところばかりにした」のは、なじみ深い場所も、時間帯によって別の表情を見せることを伝えたかったからだ。

 結婚を機に、二十数年前に奈良に来た。地域文化誌「あかい奈良」の編集長として県内各地を取材。今はNPO法人「文化創造アルカ」代表、入江泰吉旧居のコーディネーター、俳人として、文筆活動や講座を続ける。

 ログイン前の続き自身の一番のお気に入りは、清らかな空気が満ちた朝の春日山原始林。「すぐに出かけられる所で実際何度も行っているのに、『非日常』感がある。すごくぜいたくだなと思います」

 奈良らしい宿や朝ごはん、晩ごはんにお薦めの店も紹介した。地元の人にも手にとってもらい、奈良を再発見してほしいと願う。

 A5判112ページ、税別1500円。11日午後5時から、近鉄奈良駅近くの啓林堂書店奈良店(0742・20・8001)で出版記念のトーク&サイン会がある。50人、無料。(栗田優美