ルールは…中国のサバ・イカ釣り漁船が急増
日本から近い北太平洋の海域で中国漁船の増加が止まらない。乱獲の心配がある中、国際的なルール作りはどうなっているのだろうか。
日本から近い北西太平洋の海域は、世界三大漁場の一つと言われ、漁業においては世界の中でも生産性の高い海域として知られている。しかし近年、この海域で異変が起こっている。新興国の食生活の変化などにより、水産物の需要が高まり、以前には見られなかった大型で漁獲能力が高い中国の漁船などが急増しているのだ。
水産庁が調査した最新のデータによると、日本の排他的経済水域に隣接する北太平洋海域での中国漁船の隻数は2016年12月16日現在で288隻に達していて、前年の同じ時期の194隻と比べると急増しているのが分かる。中でもイカ釣り漁船やサバを対象とした漁船などの増加が目立っている。
増え続ける中国漁船で心配なのが「乱獲」。公海ではサンマやサバ、イカなどの漁獲規制がなく、いわば“とり放題”となっている。中でも北太平洋のサバ漁をめぐっては、中国の漁獲高が2014年から15年にかけて約5倍に急増するなど、資源の枯渇を懸念する声があがっていた。
北太平洋の公海については、関係各国によって北太平洋漁業委員会(=NPFC)という管理機関が設立されていて、現在、具体的なルール作りが進められている。
2016年8月の会合では、「北太平洋でのサバの資源」が議題に上った。日本や中国、ロシアなど6つの国と地域は違法な漁船の入港を禁止することを決めたほか、公海上でサバ漁を行う漁船の数をこれ以上増やさないよう努力することで合意した。
日本は当初、漁船の数を増やすことを「禁止」することを求めていたが、数の規制をすることに中国が反発したことから努力目標とすることで折り合った形だ。
しかし、会合が行われた8月以降も、サバなどを対象とした中国漁船の数は増え続けていて、会合での努力目標の実効性は不透明。さらには、北太平洋の地域で中国の未登録船も数多く確認されている。
水産庁としては将来、資源の枯渇を防ぐため「北太平洋公海におけるルールを早急に成立させることが大事で、引き続き洋上における秩序維持を図るため、しっかりと監視を続けていく」としている。
日本の漁業者の危機感が増す中、2017年夏にも予定されているNPFC会合で、具体的で実効性のあるルールを日本主導で策定することができるのか注目される。