山本五十六。
マネジメントやリーダーシップに関する日本のビジネス書には頻繁にその名前が登場する。
僕が今関わっている原稿でも山本五十六氏の「やってみて、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ。」の名言が引用されている。
あまりにも有名な言葉ではあるが、僕は五十六氏の人となりや功績をほとんど知らない。
リーダーシップや教育に関する仕事にこれから多く直面するだろうし、せっかくの機会なので映画を観ておこうと考えた。
ドイツ、イタリアとの三国同盟に断固反対する海軍と山本五十六であるが、結局は三国同盟は成立してしまう。
「バスは走り出した」
と報道された新聞記事に対して、五十六氏が
「バスはどこに向かうんだ?」
と問うのが印象的だった。
そう、つまり沽券や権力、保身や欲に取り憑かれて目的が失われているのである。
本当の敵はアメリカではなくて味方内にあった。
大義を見失い、自分や自分たちの組織の利権や保身のために作戦や命令を無視した行動をとり、そして都合の良い言い訳をするのである。
新聞社は歪んだ価値観を正義と信じて真実を伝えない。
どこかで聞いたことのある話だ。
東日本大震災で同じようなことがなかったか。
私たちは第一次世界大戦から後、ちっとも学んでいないのだ。
リーダーの代表のように言われている山本五十六氏であっても、思うようにまとめられないのが組織である。
今の社会だってそう。そしてその社会の縮図のような企業は山のようにある。
でも変わらなくちゃいけない。変わる時なんだと思う。
だけど変われない。
なぜか。
正しくない人がたくさんいて、自分が正しくないことに気がついていないから。
山本五十六氏は「未来をつくるのは若い力だ」と言っている。
僕もまさしくそうだと思った。
社会を変えるにはこれからの人たちを正しく教育すべきなのである。
教え育むのであるから、教える人が正しくなければ元も子もないけれど、「正しく育てて未来を託す」それが僕たちが今尽力すべきことなのではないかと強く思わされた映画だった。